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刃。
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いくつかの時代を見てきた。
太陽の沈まぬ夜も年中雪が降りやまず愚かにも争いあう時代も、遠い過去の話である。
ようやく訪れた平穏に、私は安堵と心の底から湧き出るつまらなさを感じていた。
「なぁ、お前もそうなんだろ?」
私の前に立った男が問いかけてくる。
この男は戦争で財を成した男。平穏の中では役に立たず、むしろ悪の時代の象徴として他者から石を投げられている。
一体何が『そうなんだろ』なのか、問い返してみたかったが私にその機能はない。
「お前も俺も今の時代には必要ないんだ」
この状態を自棄というのだろうか。私に嗅覚があれば、酒臭くてたまらなかっただろう。
男は酒瓶を投げ捨てると、私を手に取った。
「ああ、あの頃は良かったなぁ」
私の先端を自らの喉元に突き立てると、一気に突き刺す。次の時代を待てばいいだけだというのに、今の苦しみが耐えられなかったのだろう。
また一つ私に鉄臭い過去が残った。私はいつも命を奪う、戦いの象徴として。
太陽の沈まぬ夜も年中雪が降りやまず愚かにも争いあう時代も、遠い過去の話である。
ようやく訪れた平穏に、私は安堵と心の底から湧き出るつまらなさを感じていた。
「なぁ、お前もそうなんだろ?」
私の前に立った男が問いかけてくる。
この男は戦争で財を成した男。平穏の中では役に立たず、むしろ悪の時代の象徴として他者から石を投げられている。
一体何が『そうなんだろ』なのか、問い返してみたかったが私にその機能はない。
「お前も俺も今の時代には必要ないんだ」
この状態を自棄というのだろうか。私に嗅覚があれば、酒臭くてたまらなかっただろう。
男は酒瓶を投げ捨てると、私を手に取った。
「ああ、あの頃は良かったなぁ」
私の先端を自らの喉元に突き立てると、一気に突き刺す。次の時代を待てばいいだけだというのに、今の苦しみが耐えられなかったのだろう。
また一つ私に鉄臭い過去が残った。私はいつも命を奪う、戦いの象徴として。
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