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思い出のマカロン
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しかし、山田はそのまま話を進めた。
「そのキスの場所や仕方によって、それに見合った昨日の話をしてあげよう」
「ふざけんなっ。絶対しねぇからな」
「いいのかい?翔平くんが何も覚えてないなら僕は嘘を言いふらすかもしれないよ」
「くっ・・・・・・なんだよそれ。好きな相手にすることじゃねぇだろ」
俺が不満を口にすると山田は微笑みで愉悦を表現する。
「好きな相手が追い詰められているのを喜ぶ人もいるんだよ。勉強になったね」
「なんだよそれ。厄介すぎんだろ」
「で、どうする?」
「す、すりゃいいんだろっ。キ、キスくらい」
そう言いながら俺は山田の左手を掴み、自分の唇へと運んだ。
ちゅっと言う可愛らしい音が響く。
山田は少し驚いた顔をしてから声を出して笑った。
「はははっ、確かにそれもキスだ。可愛らしいキスだこと」
「うるせぇ。さっさと教えてくれませんかね」
「そうだなぁ、今のキスだと教えられるのは、翔平くんと僕が出会った時間が昨夜の十一時ってことくらいかな」
くそ、頭の中がパニックで正常な判断ができない。
何してんだ俺は。
そう思いながらも、全てを思い出すために俺は行動する。
山田のシャツを掴み、自分に引き寄せた。
「あら、何されるのかな」
おちゃらけるように笑みを浮かべる山田。
「黙ってろ」
言い放ってから俺は山田の首筋に唇をつけた。
すると山田はくすぐったそうに笑う。
「ふっ、そこにするんだ?」
「口にするよりマシだろ。いいから早く話せよ」
「そうだねぇ、頑張った方だと思うから教えてあげるよ。翔平くんは居酒屋からベロベロに酔って出てきたのさ。今にも倒れそうだった翔平くんを心配した僕は声をかけた。すると翔平くんはマカロンが食べたいと呟いた」
マカロンってこれのことか。
朝、山田が言っていた言葉と繋がり、の昨夜の状況を少しだけ思い出す。
同僚の松岡たちと飲んでいた俺は元カノのメールを見て動揺し、酒を飲みすぎてしまった。
段々と気持ち悪くなってきた俺は、外の風を浴びたいから帰ると言って店を出る。
松岡たちと別れた俺は居酒屋の前で、山田と出会ったのだった。
「この顔・・・・・・そうか、なんとなく思い出した」
「僕は異動のために引っ越してきたばかりで、コンビニで買い物をしていたんだよ」
「なんでこんな奴に出会ってしまったんだ」
「随分なことを言うんだねぇ。酔っていた翔平くんを介抱してあげたっていうのに」
「介抱してて、なんでお互い全裸になってるんだよ」
「それを知りたいなら、ほら、することがあるよねぇ?」
なんて嫌な奴なんだ、と俺は顔をしかめる。
だが、山田の話を聞けば自分の記憶が蘇ることはわかった。
キスさえすれば、さえ思ってしまう自分がいる。
想像していたよりも山田にキスすることを嫌だと思っていない。
俺はそのまま背伸びをして山田の額にキスをする。
すると山田は自分の額に触れながら嬉しそうに微笑んだ。
「よく届いたね」
そう言いながら俺の頭を撫でる山田。
俺はその手を振り払い、睨みつける。
「やめろよっ。いいから続きを話せ」
「マカロンを買いに行く、と言って翔平くんはケーキ屋さんに向かった。もう開いてないと思うよ、って止める僕の声を聞かずにフラフラしながら翔平くんは商店街に向かったんだよ。そんな翔平くんを見過ごせなかった僕はついて行った」
「商店街のケーキ屋さん・・・・・・そうか、あのケーキ屋さんか」
俺は変に納得してしまった。
マカロンだけでは思い出せなかったのだが、商店街のケーキ屋さんで思い出したことがある。
元カノと一緒によく行っていたケーキ屋さんだ。
元々、俺は甘いものがそれほど好きではない。しかし、元カノが買ってきてくれたマカロンをきっかけに食べるようになった。
そのマカロンが商店街にあるケーキ屋さんのものだったのである。
「そのキスの場所や仕方によって、それに見合った昨日の話をしてあげよう」
「ふざけんなっ。絶対しねぇからな」
「いいのかい?翔平くんが何も覚えてないなら僕は嘘を言いふらすかもしれないよ」
「くっ・・・・・・なんだよそれ。好きな相手にすることじゃねぇだろ」
俺が不満を口にすると山田は微笑みで愉悦を表現する。
「好きな相手が追い詰められているのを喜ぶ人もいるんだよ。勉強になったね」
「なんだよそれ。厄介すぎんだろ」
「で、どうする?」
「す、すりゃいいんだろっ。キ、キスくらい」
そう言いながら俺は山田の左手を掴み、自分の唇へと運んだ。
ちゅっと言う可愛らしい音が響く。
山田は少し驚いた顔をしてから声を出して笑った。
「はははっ、確かにそれもキスだ。可愛らしいキスだこと」
「うるせぇ。さっさと教えてくれませんかね」
「そうだなぁ、今のキスだと教えられるのは、翔平くんと僕が出会った時間が昨夜の十一時ってことくらいかな」
くそ、頭の中がパニックで正常な判断ができない。
何してんだ俺は。
そう思いながらも、全てを思い出すために俺は行動する。
山田のシャツを掴み、自分に引き寄せた。
「あら、何されるのかな」
おちゃらけるように笑みを浮かべる山田。
「黙ってろ」
言い放ってから俺は山田の首筋に唇をつけた。
すると山田はくすぐったそうに笑う。
「ふっ、そこにするんだ?」
「口にするよりマシだろ。いいから早く話せよ」
「そうだねぇ、頑張った方だと思うから教えてあげるよ。翔平くんは居酒屋からベロベロに酔って出てきたのさ。今にも倒れそうだった翔平くんを心配した僕は声をかけた。すると翔平くんはマカロンが食べたいと呟いた」
マカロンってこれのことか。
朝、山田が言っていた言葉と繋がり、の昨夜の状況を少しだけ思い出す。
同僚の松岡たちと飲んでいた俺は元カノのメールを見て動揺し、酒を飲みすぎてしまった。
段々と気持ち悪くなってきた俺は、外の風を浴びたいから帰ると言って店を出る。
松岡たちと別れた俺は居酒屋の前で、山田と出会ったのだった。
「この顔・・・・・・そうか、なんとなく思い出した」
「僕は異動のために引っ越してきたばかりで、コンビニで買い物をしていたんだよ」
「なんでこんな奴に出会ってしまったんだ」
「随分なことを言うんだねぇ。酔っていた翔平くんを介抱してあげたっていうのに」
「介抱してて、なんでお互い全裸になってるんだよ」
「それを知りたいなら、ほら、することがあるよねぇ?」
なんて嫌な奴なんだ、と俺は顔をしかめる。
だが、山田の話を聞けば自分の記憶が蘇ることはわかった。
キスさえすれば、さえ思ってしまう自分がいる。
想像していたよりも山田にキスすることを嫌だと思っていない。
俺はそのまま背伸びをして山田の額にキスをする。
すると山田は自分の額に触れながら嬉しそうに微笑んだ。
「よく届いたね」
そう言いながら俺の頭を撫でる山田。
俺はその手を振り払い、睨みつける。
「やめろよっ。いいから続きを話せ」
「マカロンを買いに行く、と言って翔平くんはケーキ屋さんに向かった。もう開いてないと思うよ、って止める僕の声を聞かずにフラフラしながら翔平くんは商店街に向かったんだよ。そんな翔平くんを見過ごせなかった僕はついて行った」
「商店街のケーキ屋さん・・・・・・そうか、あのケーキ屋さんか」
俺は変に納得してしまった。
マカロンだけでは思い出せなかったのだが、商店街のケーキ屋さんで思い出したことがある。
元カノと一緒によく行っていたケーキ屋さんだ。
元々、俺は甘いものがそれほど好きではない。しかし、元カノが買ってきてくれたマカロンをきっかけに食べるようになった。
そのマカロンが商店街にあるケーキ屋さんのものだったのである。
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