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本編
第5話_初護衛任務-4
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『応答せよ。黙秘は抵抗と判断するぞ』
投降を促すテロリストの声と、突きつけられる数多の銃口を無視し、ソウヤは目を閉じる。
すると、彼の身に着けていた黒い護衛用スーツは空気にかき消え、代わりに新たな装いが彼の痩躯を包む。
背後から見ていたイツキ王子は、瞬きする間も無い一瞬で起こった変化に目を丸くし、遅ればせながらぱちぱちと瞬きした。
その姿を目で追っていた誰も把握しえない間隙に、上から下まで純白のアシストスーツに姿を変えたソウヤは、今一度周囲の気配に視覚機能を集中させながら、王子の背に手を回す。
「殿下、失礼」
次いで、後ろ手に彼の身体を持ち上げてくるりと回し、両腕に抱き上げる。
「敵の前線を突破します。あまりお体を動かさないようご協力下さい」
立て続けの事態の急変に王子が声も出せずにいる中、ソウヤは敵兵の待ち受ける東側へまっすぐ駆けた。
高速で接近する標的を、歩兵ロボットが一斉に射撃する。
ソウヤは透明な防御シールドで身体を包み、銃弾を弾き返す。
「っ…!!!」
銃弾の雨の中心に収められた王子は、瞬きを忘れ硬直してしまったものの、揺れないようその身体をソウヤへぴたりと寄せていた。
強行突破を受け、西側に待機していた歩兵ロボットも急行し、後方から銃撃を浴びせる。
囲っていた敵側全勢力の集中砲火を受ける中、ソウヤは壁を走ってロボット兵の前線側面を抜け、崩落した天井の隙間から2階の廊下へと飛び移った。
割れ落ちた床から突然現れたソウヤとイツキ王子に、2階で避難途中だった宮中の給仕や迎賓館の係員たちは、悲鳴をあげながら飛び上がった。
「!? なっ、でっ…殿下!?」
「お前、その手はなんだ!? 殿下に何を…!!」
周囲に動揺が広がる中、ソウヤは無数の銃弾を受けて消耗したシールドを一旦壊し、下階の気配を探る。
追跡経路を作るつもりか、階下から天井を無理矢理打ちつける振動に、2階の床が大きく縦に揺れる。
ソウヤは今度は透明な板状のシールドを展開し、その場一帯の床へ張り巡らす。
「敵襲が来ます。シールドは長くは持ちません、この場からすぐ離れて下さい」
腰を抜かして動けない周囲へそう告げると、ソウヤは手をかざして中庭を望むガラスウォールを丸く溶かし切る。
そして、胸に抱く王子へ目を落とし、にこりと笑いかけた。
「殿下、このまま屋上を目指します。お口を閉じていて下さい」
彼が両手で口を塞ぎ、ぶんぶんと頷くのを認めると、今一度身体をシールドで覆い、開けたガラス壁の縁に足を掛け、大きく跳ね出る。
投降を促すテロリストの声と、突きつけられる数多の銃口を無視し、ソウヤは目を閉じる。
すると、彼の身に着けていた黒い護衛用スーツは空気にかき消え、代わりに新たな装いが彼の痩躯を包む。
背後から見ていたイツキ王子は、瞬きする間も無い一瞬で起こった変化に目を丸くし、遅ればせながらぱちぱちと瞬きした。
その姿を目で追っていた誰も把握しえない間隙に、上から下まで純白のアシストスーツに姿を変えたソウヤは、今一度周囲の気配に視覚機能を集中させながら、王子の背に手を回す。
「殿下、失礼」
次いで、後ろ手に彼の身体を持ち上げてくるりと回し、両腕に抱き上げる。
「敵の前線を突破します。あまりお体を動かさないようご協力下さい」
立て続けの事態の急変に王子が声も出せずにいる中、ソウヤは敵兵の待ち受ける東側へまっすぐ駆けた。
高速で接近する標的を、歩兵ロボットが一斉に射撃する。
ソウヤは透明な防御シールドで身体を包み、銃弾を弾き返す。
「っ…!!!」
銃弾の雨の中心に収められた王子は、瞬きを忘れ硬直してしまったものの、揺れないようその身体をソウヤへぴたりと寄せていた。
強行突破を受け、西側に待機していた歩兵ロボットも急行し、後方から銃撃を浴びせる。
囲っていた敵側全勢力の集中砲火を受ける中、ソウヤは壁を走ってロボット兵の前線側面を抜け、崩落した天井の隙間から2階の廊下へと飛び移った。
割れ落ちた床から突然現れたソウヤとイツキ王子に、2階で避難途中だった宮中の給仕や迎賓館の係員たちは、悲鳴をあげながら飛び上がった。
「!? なっ、でっ…殿下!?」
「お前、その手はなんだ!? 殿下に何を…!!」
周囲に動揺が広がる中、ソウヤは無数の銃弾を受けて消耗したシールドを一旦壊し、下階の気配を探る。
追跡経路を作るつもりか、階下から天井を無理矢理打ちつける振動に、2階の床が大きく縦に揺れる。
ソウヤは今度は透明な板状のシールドを展開し、その場一帯の床へ張り巡らす。
「敵襲が来ます。シールドは長くは持ちません、この場からすぐ離れて下さい」
腰を抜かして動けない周囲へそう告げると、ソウヤは手をかざして中庭を望むガラスウォールを丸く溶かし切る。
そして、胸に抱く王子へ目を落とし、にこりと笑いかけた。
「殿下、このまま屋上を目指します。お口を閉じていて下さい」
彼が両手で口を塞ぎ、ぶんぶんと頷くのを認めると、今一度身体をシールドで覆い、開けたガラス壁の縁に足を掛け、大きく跳ね出る。
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