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本編
第8話_二点同時戦闘-2
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しばらく拮抗した衝突を続けていると、陽は『転異空間』内に介入してきた新たな気配を察知する。
「…兄貴…!!」
遅れて到着した烈は、視線を投げてくるサルファーへ無言で頷くとひと飛びし、彼のそばへ降り立つ。
「遅くなったな。…無事か?」
「うん、なんとか!」
顔や戦闘スーツに数か所傷や裂け目をつくるサルファーを見、ロードナイトは一瞬緊張するが、歯を見せてにやりと笑い返してくる彼の表情を確かめると、ひとまず内で安堵する。
そして張りつめた面持ちのまま、『現実世界』での動向を手短に伝えた。
「…お前は知らねぇだろうから、今のうちにはっきり伝えとく。離れたところにいた蒼矢も、[侵略者]に接触した」
「…え…!?」
「アズライトの方には、影斗が向かうことになった。この場にこれ以上援護は来ねぇ。…俺らだけで踏ん張るぞ」
「……!」
想定外の現状を聞かされ、サルファーは目を見張り、言葉を失う。
しかし、強張るロードナイトの表情を受けとめ、動揺を表出しながらも小さく頷いた。
「…わかった。ありがと、ロードナイトだけでも来てくれて助かったよ」
「…おう」
少しうつむきながら漏れる言葉に、ロードナイトは幾分か面差しを緩めた。
ついでの流れで、サルファーはロードナイトへ問いかける。
「来る途中、月兄や苡月には会った?」
「…いや、会わなかった」
「そっか。神社から遠ざかるようには言っといたから、無事逃げられたんかな。…だといいけど」
気がかりだった『現実世界』の状況を把握できたサルファーは、ひとりそう想像し、つられて少し笑った。
ロードナイトは、自分だけが知る『現実世界』での真実――楠瀬兄弟にふりかかった惨劇については、サルファーの心象を思い、一旦黙することにする。
「…[敵]はこいつらだけか? ただの[異形]っぽいけど」
「うん。[侵略者]は、たぶん『現実世界』にいた時から出てきてねぇ」
「あとあと面倒臭いけど、今は助かるな…」
「ほんとによかったよ、来てくれて。…正直、心細かったんだ…これで百人力!!」
「油断するなよ、戦力が乏しいに変わりねぇし、全滅させるまで還れねぇんだからな」
「了解っ」
『現実世界』での不確かな状況の確認が一応取れ、援軍も来てかサルファーの緊張が解け、表情に生気が宿って声高になっていく。
ロードナイトはあまり調子付かないよう彼へ釘を刺すと、薄闇に赤い目を浮かびあがらせる[黒い群れ]を見据えた。
「…兄貴…!!」
遅れて到着した烈は、視線を投げてくるサルファーへ無言で頷くとひと飛びし、彼のそばへ降り立つ。
「遅くなったな。…無事か?」
「うん、なんとか!」
顔や戦闘スーツに数か所傷や裂け目をつくるサルファーを見、ロードナイトは一瞬緊張するが、歯を見せてにやりと笑い返してくる彼の表情を確かめると、ひとまず内で安堵する。
そして張りつめた面持ちのまま、『現実世界』での動向を手短に伝えた。
「…お前は知らねぇだろうから、今のうちにはっきり伝えとく。離れたところにいた蒼矢も、[侵略者]に接触した」
「…え…!?」
「アズライトの方には、影斗が向かうことになった。この場にこれ以上援護は来ねぇ。…俺らだけで踏ん張るぞ」
「……!」
想定外の現状を聞かされ、サルファーは目を見張り、言葉を失う。
しかし、強張るロードナイトの表情を受けとめ、動揺を表出しながらも小さく頷いた。
「…わかった。ありがと、ロードナイトだけでも来てくれて助かったよ」
「…おう」
少しうつむきながら漏れる言葉に、ロードナイトは幾分か面差しを緩めた。
ついでの流れで、サルファーはロードナイトへ問いかける。
「来る途中、月兄や苡月には会った?」
「…いや、会わなかった」
「そっか。神社から遠ざかるようには言っといたから、無事逃げられたんかな。…だといいけど」
気がかりだった『現実世界』の状況を把握できたサルファーは、ひとりそう想像し、つられて少し笑った。
ロードナイトは、自分だけが知る『現実世界』での真実――楠瀬兄弟にふりかかった惨劇については、サルファーの心象を思い、一旦黙することにする。
「…[敵]はこいつらだけか? ただの[異形]っぽいけど」
「うん。[侵略者]は、たぶん『現実世界』にいた時から出てきてねぇ」
「あとあと面倒臭いけど、今は助かるな…」
「ほんとによかったよ、来てくれて。…正直、心細かったんだ…これで百人力!!」
「油断するなよ、戦力が乏しいに変わりねぇし、全滅させるまで還れねぇんだからな」
「了解っ」
『現実世界』での不確かな状況の確認が一応取れ、援軍も来てかサルファーの緊張が解け、表情に生気が宿って声高になっていく。
ロードナイトはあまり調子付かないよう彼へ釘を刺すと、薄闇に赤い目を浮かびあがらせる[黒い群れ]を見据えた。
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