ガイアセイバーズ9 -萌える若葉を摘む獣-

独楽 悠

文字の大きさ
91 / 109
本編

第10話_看過-2

しおりを挟む
当時別クラスだった蒼矢ソウヤは、レツが会長になると同時期に担任教員から請われ、同じく児童会役員になった。

彼は、集会を重ねるごとに露呈していく烈の的外れな言動を受け、烈が司会する役員会や委員会の日程が近づくと、当日の議題について事前用意がなにもなくても読めば進行出来るような議題のレジュメを、前もって作って渡すようになった。

そんなお膳立てが何度かなされる内、烈も少しずつ自分の役目を自覚していき、蒼矢のレジュメを見様見真似で自作するようになった。
それほど時間をかけずに蒼矢製のレジュメは必要なくなり、真剣に取り組む様子を教員から見直されるようにもなったが、彼の助力がなければ、烈は最後まで迷走のトンネルを抜けだすことは出来なかっただろう。

校内の恒例行事などで、例年の段取りから自分なりに変えたいと思ったこと、やりたいことを提案しようと思った時も、一旦蒼矢に打ち明けて相談・検討し、実際に役員会や教員へ持ち込む時に彼にも帯同を請い、横から注釈や助言を入れてもらった。
烈のアイデアはどれもおおむね好感をもって受けいれられ、任期中の行事は例年に増して盛りあがり、多くの児童にいい思い出として残すことができた。
しかし、説明下手な烈が持ち込んだ提案が他の児童会役員や教員陣へすんなり受け入れられたのは、後ろ盾となっていた蒼矢の信頼性の高さがあってのことだったのだろうと、年月が経つにつれて気付かされていった。


みずからも最難関と名高い中高一貫国立高への外部生受験を控えながら、地元の工業高校への都立入試勉強に悪戦苦闘する烈を毎晩訪ね、試験対策を叩き込んでくれたのも蒼矢だった。

結果的に叶わぬ道にはなったが、バイクがとにかく好きだけれど展望はない、というふわっとした現状しかない烈へ、高校卒業後の進学先に機械整備系の専門学校を勧めてくれたのも蒼矢だった。

『セイバー』になった時でさえ、蒼矢が先に『仲間』としていてくれたことが、烈にとってどれだけ心強かったかわからない。


烈の人生の転機に蒼矢は必ず傍にいて、静かに導いてくれていた。


そういった過去をふり返ると、蒼矢が自分にとってかけがえのない存在だと改めて思い知らされた。

そして同時に、自分は常にはるか先を歩く彼の後ろ姿しか見れていないんじゃないか、彼と同じ場所に立っていても、同じものを見れていないんじゃないか…そんな疑問が、烈の中で少しずつ大きくなっていった。

考えれば考えるほど、烈は自尊心が押しつぶされていくように感じた。

自分は本当に、彼の"恋人"でいていいのだろうか。
自分に自信がないが故の、言いようもない不安が募っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

ニューハーフヘルス体験

中田智也
BL
50代のオジサンがニューハーフヘルスにハマッた実体験と心の内を元にしたおはなし

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

処理中です...