ガイアセイバーズ8 -地中に潜む捕食者-

独楽 悠

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本編

第4話_母の依頼と、父の助言-1

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烈に送られて自宅へ戻った蒼矢ソウヤは、いつも通りの暗い玄関に鍵をさし、ドアを開ける。

「…!」

しかし、中へ足を踏み入れると階段の間接照明が灯っていて、いつぞやと同じくいつもとは違う景色が目の前に用意されており、無言で目を見張った。

自分の履く靴と同じくらいの大きさのビジネスシューズが一組、端に寄せて綺麗に並べて置いてある。
蒼矢の帰宅時間帯にその存在があることはかなり珍しく、目にした瞬間驚きで止まりかけた思考をすぐさま取り戻し、急ぎあがり込んで2階のリビングへ向かった。

リビングは当然明かりがついていて、蒼矢は息を整えてからノブに手をかける。

「!」

ドアを開けた視線の先には、ビジネスシューズの主であり髙城タカシロ家の家主である父・静矢シズヤがいた。
リビングへ入ってきた蒼矢にはすぐ気付いたが、ちらりと視線を送るにとどまり、ダイニング手前の中途半端なところに立ち、数歩ずつ行ったり来たりしながら時おり小さくなにか言葉をもらしている。
どうやら誰ぞと通話中のようで、発端が帰宅直後のことだったのかコートを身に着けたまま、狭い範囲をうろうろと歩き回っている。

一時その場にとどまったものの、取りこみ中と理解し退室しようとした蒼矢へ、静矢はソファで座って待つよう目線と手振りを送ってきた。
上着を脱いで荷物を脇に置き、指示通りソファへ腰かけ、蒼矢は父を目で追いながら声に耳を傾ける。

途切れとぎれに聞こえてくる限りでは、低いトーンで短く会話が交わされていたり、何かを言いかけたきり黙り込んだり、眉間にしわの寄った難しそうな表情からも、あまり明るい話題ではなさそうに見えた。
そのように陰鬱な空気がかもし出されていたものの、蒼矢は今までの経験則から、父の会話相手については確証に近い目星がついていた。

やがて会話は一旦区切られ、保留にしたのか静矢はスマホを蒼矢へ差し出す。

「――母さんだ」
「はい」

短くそう伝えられ、予想した通りだった蒼矢は即応えて立ちあがる。
スマホが手渡される中、静矢は依然険しい顔で息子へ呟いた。

「…断ってもいいんだぞ」
「?」

脈略の読めないそのひと言を聞き、蒼矢はきょとんと父を見返すが、静矢は浅くため息をついてすぐに踵を返し、遅ればせながらコートを脱いでそのまま社用スマホを眺め始めた。
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