ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-

独楽 悠

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本編

第3話_誘われる気配-1

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苡月イツキへは留守居を頼み、アキラを合わせた三人で、蒼矢ソウヤの示す最寄り駅の線路向こう側を目指す。
言付かった苡月は突然のことに少し戸惑いを見せていたものの、こちらへ帰って来たばかりで勝手がわかっていないだけと思ったからか、特に理由を聞いては来なかった。
陽は走りながらそんな先刻の状況を思い出し、葉月ハヅキへ視線を流す。

「――これからちょっとやりにくくなるかな。や、苡月が悪いわけじゃねぇけどさ」
「こういうものだと理解してもらうようにすれば、なんとでもなるよ。…状況次第では無理くりでも構わない。なににせよ、あの子を巻き込むわけにはいかないんだから」
「そうだなー…」

そう言葉を交わす二人の前を走る蒼矢ソウヤが、軽く振り返った。

「この先のコミュニティセンターです」
「了解」

辿り着いた区内の公民館は、柵で囲われた敷地や駐車場を含めて閑散としており、遠くから地域のクラブ活動に興じる子どもの声が聞こえてきたりと、普段と何も変わらないような空気感で佇んでいた。

「…あお兄、ほんとにここで合ってるのか?」
「ああ、間違いない」

今までのパターンを鑑みて疑念を向けてくる陽へ、蒼矢は静かに返した。片手を添えるその腕は細かく震え、色白の肌が透けるように青さを増す。

「まだ"狩場"にはなってないようだね。…敷地内を少し確かめようか」

そう言う葉月に呼応し、三人が揃って公民館入口へを歩みを進めた途端、各々の胸元が淡い光を帯び始めた。

「…!」
「狩場出来る前で助かったな、被害最小限じゃん」
「そうだね、早く転送してしまおうか」
「…はい」

一足先に首から下がる銀色のペンダントをシャツから引っ張り出し、陽は鎖の先に黄色く輝く鉱石を握る。
全員が転送準備に入る中、蒼矢は口元だけで小さく呟いていた。

「…誘われてる気がする」
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