77 / 164
◇第五章 ルイス編◇ チャラい彼のヒミツに触れます
第三十二話 「で、でもやっぱり怖いよぉぉぉっっ!!」
しおりを挟む
まずは、この状況を変えなくちゃ。
バジリスクは大蛇みたいだから、たぶん捕食方法としては蛇と変わらないんだと思う。
ええっと、蛇の捕食シーンは前にテレビで見たような……。すっごくグロテスクで、途中で番組を切り替えちゃったけど、たしか、締め付けて獲物が力を失ってからだったはず。
「……」
このままだと、間違いなくエミリア様が食べられちゃうってことだよね。
ううん、そうじゃなくてもあんなに締め付けが続いたら、呼吸ができなくなって死ぬほうが先かもしれない。
だとしたら、今私が起こさなきゃいけない行動は――。
「……っ」
手元に落ちていた小石を一つ拾う。
手のひらが汗ばんで、石を落としちゃいそうになって。慌てて持ち直して、ギュッと握りこむ。
緊張でのどが渇いて仕方ないけど、唾を飲み込んで誤魔化した。
これからすることって、エミリア様がもし意識を戻したら絶対に怒られちゃいそう。
『愚かにも程があるんじゃなくって!?』なんて息巻いて言われるのが想像つくよ。
もしかしたら、彼女が身体を張ってしてくれたことを無に帰すかもしれないけど。
でも、私は少しでも可能性があるんだったら、賭けてみたい。
深呼吸を一回。
息をゆっくりと吸って、吐いて。
痛いほどに恐怖と緊張で訴えてくる、間隔が短い心拍音を抑え込んで。
「大丈夫……」
自分を言い聞かせてるだけだってわかってるけど、それくらいいいよね。
覚悟を決めて手にある石を構えた。
どこを狙えばいいのか、正確にはわからない。だって、顔を向けちゃったら石化しちゃうから。
大体、この辺かな?
「っえい!」
情けない掛け声を上げて、石を放り投げる。石がバジリスクの身体にあたる音がした。
本当のねらいは、顔の部分。
でも多少外してても、怪物の関心をこっちに引ければ問題ない。
「……? シュー…………」
怪訝そうな感じのする鳴き声が聞こえた。
まだ、足りない?
もう一回したほうがいいかも。
ダメ押しのつもりで、同じ方向に向かって石を投げる。
鱗にはね返った石が地面にぶつかって、鈍い音がした。
「ッシュウ!?」
「あ」
やっちゃった。
結構力を入れて投げちゃった。
そして、それは見事バジリスクにあたったみたい。
ううん、むしろ……。
「シュウ~~~ッッ!!」
「あ……え、ええと…………」
滅茶苦茶怒ってる鳴き声が聞こえるよ!?
こ、これって、もしかして……。
「シャァ、シャァァァアアアアアアアァァァァッッッ!!」
「ひゃ、ひゃぁああああ!!?」
力強い威嚇の声が発せられて、私は慌てて背を向けて逃亡した。
そして私を、周囲の木々を薙ぎ払うくらいの物凄い勢いで追いかけて来ようとしてる!?
関心を引くどころか、完全に敵として認識されちゃったよね、これって!?
失敗どころか、大失敗だよ!
で、でもこれで絶対エミリア様には見向きもしなくなったよねっ? そう考えたら、結果オーライなのかも。
「シャァァアアア!!」
「っ! で、でもやっぱり怖いよぉぉぉっっ!!」
思わず泣き言が入った叫び声を上げちゃうのは、しょうがないよね!?
と、とりあえず、バジリスクから走って逃げ切るか、王都まで行って助けてもらわないと……!
「っ!」
でも、ちょっと待って。
街まで逃げて、こんなのに対応するのは誰になるの?
……たぶん、それってきっと。
「ダメ……!」
人々の身の安全を守るのが騎士団の人達だってことくらい、この世界に来て少しの時間しか経ってない私も知ってる。
だから、きっとこんな怪物を退治することも、騎士達の役割なはず。
私やエミリア様を攫って来た人達は、あっという間に殺された。
騎士の人達がいくらそういった荒事の専門で剣の腕が立つからって、無事とは済まないはず。
ううん、むしろ死んでしまう人だって出てしまうかも。
まだ、騎士舎で働き始めて日が浅いけど。不慣れだった私に優しくしてくれた騎士の人達。
第三部隊の人達に、スクワイアさんに隊長さん。
それだけじゃなくて。なにより……ルイスさんに被害が及ぶかもしれない。
「そんなの、嫌……」
――絶対に、ルイスさんを失いたくない。
一番良いのは、たぶん街まで走り抜けることだって思う。
だけど、そうしたら皆を、ルイスさんを傷つけたり失うかもしれない。
……だとしたら。
「撒くしかない、よね」
残された方法は、一つ。
◇◇◇
簡単に撒けると考えてた、私がバカでした。
「~~っ」
荒い息を吐き出して、ひりつくのどを抑えるために唾をのむ。
足がガクガク震えそうになるけど、止まってなんかいられない。
何分走ったのかわからない。
だけど、先輩みたいに運動部に所属してない私には長時間走るのはさすがに限度があるよ。
マラソンみたいな持久力鍛えるもの、何かやっておけばよかった!
今、私がどこを走っているのかさえ把握できてない。
間の距離を稼ぐために木々が多いほうにって思って向かってたから、数えられないくらい右とか左に何回も曲がった。
バジリスクも諦めてくれればよかったのに、よっぽどあの石にムカついたのか全然そんな気配なんてない。
むしろ。
「シャァアアッッ!!」
なかなか捕まらない私に対してイライラが溜まっているみたいで、躍起になってる。
『なんとしてでも追いついてやる』っていう意気込みが伝わってくる鳴き声が後ろから聞こえてくる。
熱意を燃やさないで、住処に帰宅してほしいのに。
面倒になって放置とかにはならないのかな。
「……っぅ」
走りすぎて下腹部が痛くなってきたよ。
足だって重くなってきたし、正直息をするのもつらい。
だけど、距離は全然引き離せてない。
たぶん、このままだと……。
「!?」
目の前に何か大きな物が降ってきた。
なんで、折られた木!?
進路を突然ふさがれて、とっさの対応なんて回らない頭でできるはずもない。
「っ!?」
方向転換しきれなくて、足がもつれて転んだ。
地面に勢いよく身体を打ち付けて、痛みが襲ってくる。
その拍子に何かが地面に落ちて、カランと乾いた音を立てた。
でも、それが何かを確かめてる時間も余裕だってない。
「…………っ」
痛い。
膝だって、腕だってすり傷だらけになってるし、痺れたみたいに鈍痛が地面にぶつけた部分から広がってくる。
だけど、逃げなくちゃ。
でないと……。
「……シュー」
満足そうな、蛇の鳴き声がすぐ傍で聞こえた。焦れたバジリスクが、あの大木を投げつけてきたの?
「シャァアアアアッッ!!」
「っぅ!」
追いかけるのはもう終いだって言わんばかりの、バジリスクの咆哮。
鼓膜が震えて、痛い。
振り返ることすらできない。
バジリスクが私を獲物として目に映してる光景は、わかっているから。
もしも背後を確認しちゃったら、その時点で石になっておしまい。
きっとそんな風になってしまうことも、予想できる。
だからって、体勢を立て直してもう一度走ることすらできそうにない。
長い間走り抜けてたせいで、足がもう、言うことを聞きそうにないから。
「…………ぁ」
でも、このまま諦めるの?
それってつまり、もう二度と会えなくなるってことになるよね。
「…………ルイ、……ス、さん…………」
かすれた声が、私ののどからこぼれた。
無理矢理絞り出したせいで、その息自体にむせちゃって、呼吸がしんどくなる。
「ッ…………ぅ」
ああもう、なにやってるのかな。
この世界にいる間は、ルイスさんの傍にいるって約束したのに。
…………破りたくなんてないよ。
たとえ彼自身に拒絶されたって、嫌われることに怖がらないで近づいておけばよかった。
そうすれば、もっと一緒にいれたのに。
――会いたい。会いたいよ、ルイスさん。
ギュッと手のひらを握りこめば、その身動きに伴って地面がジャリッと音を立てた。
後ろから、ゆっくりと蛇が這って身を近づけようとしてる。
地面とその鱗の擦れる音がなくなった瞬間が、私の死ぬときなのかもしれない。
ふいに、私のこぶしに何かがあたった。
「っ?」
もしかして、さっき私が倒れるときに地面に落ちた物かな?
一体何だったの?
「…………」
視線を指先へと移動させてみると、そこにあったのは以前ルイスさんに買ってもらった物。
花祭りで結局断り切れなくて、受け取ったままにしてた。
なんとなく手放せなくて、毎日持ち歩くのが習慣になってた。
だから今日も私のスカートのポケットに入っていたのが、さっきの転んだ衝撃で飛び出ちゃったんだ。
手を伸ばしてみると、木製の柄の部分がしっかりと手に馴染んだ。
「……っ」
手首を返すと、表面の鏡が青白い月の光を反射して優しく輝いた。
かがみ……?
「!」
そっか、鏡があれば……!
腕を使って身体を急いで起こしあげた。
「っぅ……!」
全身を巡る鈍痛に顔がしかめっ面になるけど、そんなのに構ってる場合なんかじゃない。
イチかバチか。確率なんて限りなくゼロに近いけど。
試さないで死ぬより、最後まで逆らってからでも遅くなんてないはず。
手にした鏡に力を込める。
震える指先のせいで、落としたりなんかしないように。
「ッシュシュー…………?」
私の動きに不信感を持ったバジリスクが、近づくのをやめてその場で停止した。
警戒心を表に出してこっちをうかがってくるバジリスクに向かって、私は覚悟を決めて振り返った。
――胸の正面で手鏡を構えた状態で。
バジリスクは大蛇みたいだから、たぶん捕食方法としては蛇と変わらないんだと思う。
ええっと、蛇の捕食シーンは前にテレビで見たような……。すっごくグロテスクで、途中で番組を切り替えちゃったけど、たしか、締め付けて獲物が力を失ってからだったはず。
「……」
このままだと、間違いなくエミリア様が食べられちゃうってことだよね。
ううん、そうじゃなくてもあんなに締め付けが続いたら、呼吸ができなくなって死ぬほうが先かもしれない。
だとしたら、今私が起こさなきゃいけない行動は――。
「……っ」
手元に落ちていた小石を一つ拾う。
手のひらが汗ばんで、石を落としちゃいそうになって。慌てて持ち直して、ギュッと握りこむ。
緊張でのどが渇いて仕方ないけど、唾を飲み込んで誤魔化した。
これからすることって、エミリア様がもし意識を戻したら絶対に怒られちゃいそう。
『愚かにも程があるんじゃなくって!?』なんて息巻いて言われるのが想像つくよ。
もしかしたら、彼女が身体を張ってしてくれたことを無に帰すかもしれないけど。
でも、私は少しでも可能性があるんだったら、賭けてみたい。
深呼吸を一回。
息をゆっくりと吸って、吐いて。
痛いほどに恐怖と緊張で訴えてくる、間隔が短い心拍音を抑え込んで。
「大丈夫……」
自分を言い聞かせてるだけだってわかってるけど、それくらいいいよね。
覚悟を決めて手にある石を構えた。
どこを狙えばいいのか、正確にはわからない。だって、顔を向けちゃったら石化しちゃうから。
大体、この辺かな?
「っえい!」
情けない掛け声を上げて、石を放り投げる。石がバジリスクの身体にあたる音がした。
本当のねらいは、顔の部分。
でも多少外してても、怪物の関心をこっちに引ければ問題ない。
「……? シュー…………」
怪訝そうな感じのする鳴き声が聞こえた。
まだ、足りない?
もう一回したほうがいいかも。
ダメ押しのつもりで、同じ方向に向かって石を投げる。
鱗にはね返った石が地面にぶつかって、鈍い音がした。
「ッシュウ!?」
「あ」
やっちゃった。
結構力を入れて投げちゃった。
そして、それは見事バジリスクにあたったみたい。
ううん、むしろ……。
「シュウ~~~ッッ!!」
「あ……え、ええと…………」
滅茶苦茶怒ってる鳴き声が聞こえるよ!?
こ、これって、もしかして……。
「シャァ、シャァァァアアアアアアアァァァァッッッ!!」
「ひゃ、ひゃぁああああ!!?」
力強い威嚇の声が発せられて、私は慌てて背を向けて逃亡した。
そして私を、周囲の木々を薙ぎ払うくらいの物凄い勢いで追いかけて来ようとしてる!?
関心を引くどころか、完全に敵として認識されちゃったよね、これって!?
失敗どころか、大失敗だよ!
で、でもこれで絶対エミリア様には見向きもしなくなったよねっ? そう考えたら、結果オーライなのかも。
「シャァァアアア!!」
「っ! で、でもやっぱり怖いよぉぉぉっっ!!」
思わず泣き言が入った叫び声を上げちゃうのは、しょうがないよね!?
と、とりあえず、バジリスクから走って逃げ切るか、王都まで行って助けてもらわないと……!
「っ!」
でも、ちょっと待って。
街まで逃げて、こんなのに対応するのは誰になるの?
……たぶん、それってきっと。
「ダメ……!」
人々の身の安全を守るのが騎士団の人達だってことくらい、この世界に来て少しの時間しか経ってない私も知ってる。
だから、きっとこんな怪物を退治することも、騎士達の役割なはず。
私やエミリア様を攫って来た人達は、あっという間に殺された。
騎士の人達がいくらそういった荒事の専門で剣の腕が立つからって、無事とは済まないはず。
ううん、むしろ死んでしまう人だって出てしまうかも。
まだ、騎士舎で働き始めて日が浅いけど。不慣れだった私に優しくしてくれた騎士の人達。
第三部隊の人達に、スクワイアさんに隊長さん。
それだけじゃなくて。なにより……ルイスさんに被害が及ぶかもしれない。
「そんなの、嫌……」
――絶対に、ルイスさんを失いたくない。
一番良いのは、たぶん街まで走り抜けることだって思う。
だけど、そうしたら皆を、ルイスさんを傷つけたり失うかもしれない。
……だとしたら。
「撒くしかない、よね」
残された方法は、一つ。
◇◇◇
簡単に撒けると考えてた、私がバカでした。
「~~っ」
荒い息を吐き出して、ひりつくのどを抑えるために唾をのむ。
足がガクガク震えそうになるけど、止まってなんかいられない。
何分走ったのかわからない。
だけど、先輩みたいに運動部に所属してない私には長時間走るのはさすがに限度があるよ。
マラソンみたいな持久力鍛えるもの、何かやっておけばよかった!
今、私がどこを走っているのかさえ把握できてない。
間の距離を稼ぐために木々が多いほうにって思って向かってたから、数えられないくらい右とか左に何回も曲がった。
バジリスクも諦めてくれればよかったのに、よっぽどあの石にムカついたのか全然そんな気配なんてない。
むしろ。
「シャァアアッッ!!」
なかなか捕まらない私に対してイライラが溜まっているみたいで、躍起になってる。
『なんとしてでも追いついてやる』っていう意気込みが伝わってくる鳴き声が後ろから聞こえてくる。
熱意を燃やさないで、住処に帰宅してほしいのに。
面倒になって放置とかにはならないのかな。
「……っぅ」
走りすぎて下腹部が痛くなってきたよ。
足だって重くなってきたし、正直息をするのもつらい。
だけど、距離は全然引き離せてない。
たぶん、このままだと……。
「!?」
目の前に何か大きな物が降ってきた。
なんで、折られた木!?
進路を突然ふさがれて、とっさの対応なんて回らない頭でできるはずもない。
「っ!?」
方向転換しきれなくて、足がもつれて転んだ。
地面に勢いよく身体を打ち付けて、痛みが襲ってくる。
その拍子に何かが地面に落ちて、カランと乾いた音を立てた。
でも、それが何かを確かめてる時間も余裕だってない。
「…………っ」
痛い。
膝だって、腕だってすり傷だらけになってるし、痺れたみたいに鈍痛が地面にぶつけた部分から広がってくる。
だけど、逃げなくちゃ。
でないと……。
「……シュー」
満足そうな、蛇の鳴き声がすぐ傍で聞こえた。焦れたバジリスクが、あの大木を投げつけてきたの?
「シャァアアアアッッ!!」
「っぅ!」
追いかけるのはもう終いだって言わんばかりの、バジリスクの咆哮。
鼓膜が震えて、痛い。
振り返ることすらできない。
バジリスクが私を獲物として目に映してる光景は、わかっているから。
もしも背後を確認しちゃったら、その時点で石になっておしまい。
きっとそんな風になってしまうことも、予想できる。
だからって、体勢を立て直してもう一度走ることすらできそうにない。
長い間走り抜けてたせいで、足がもう、言うことを聞きそうにないから。
「…………ぁ」
でも、このまま諦めるの?
それってつまり、もう二度と会えなくなるってことになるよね。
「…………ルイ、……ス、さん…………」
かすれた声が、私ののどからこぼれた。
無理矢理絞り出したせいで、その息自体にむせちゃって、呼吸がしんどくなる。
「ッ…………ぅ」
ああもう、なにやってるのかな。
この世界にいる間は、ルイスさんの傍にいるって約束したのに。
…………破りたくなんてないよ。
たとえ彼自身に拒絶されたって、嫌われることに怖がらないで近づいておけばよかった。
そうすれば、もっと一緒にいれたのに。
――会いたい。会いたいよ、ルイスさん。
ギュッと手のひらを握りこめば、その身動きに伴って地面がジャリッと音を立てた。
後ろから、ゆっくりと蛇が這って身を近づけようとしてる。
地面とその鱗の擦れる音がなくなった瞬間が、私の死ぬときなのかもしれない。
ふいに、私のこぶしに何かがあたった。
「っ?」
もしかして、さっき私が倒れるときに地面に落ちた物かな?
一体何だったの?
「…………」
視線を指先へと移動させてみると、そこにあったのは以前ルイスさんに買ってもらった物。
花祭りで結局断り切れなくて、受け取ったままにしてた。
なんとなく手放せなくて、毎日持ち歩くのが習慣になってた。
だから今日も私のスカートのポケットに入っていたのが、さっきの転んだ衝撃で飛び出ちゃったんだ。
手を伸ばしてみると、木製の柄の部分がしっかりと手に馴染んだ。
「……っ」
手首を返すと、表面の鏡が青白い月の光を反射して優しく輝いた。
かがみ……?
「!」
そっか、鏡があれば……!
腕を使って身体を急いで起こしあげた。
「っぅ……!」
全身を巡る鈍痛に顔がしかめっ面になるけど、そんなのに構ってる場合なんかじゃない。
イチかバチか。確率なんて限りなくゼロに近いけど。
試さないで死ぬより、最後まで逆らってからでも遅くなんてないはず。
手にした鏡に力を込める。
震える指先のせいで、落としたりなんかしないように。
「ッシュシュー…………?」
私の動きに不信感を持ったバジリスクが、近づくのをやめてその場で停止した。
警戒心を表に出してこっちをうかがってくるバジリスクに向かって、私は覚悟を決めて振り返った。
――胸の正面で手鏡を構えた状態で。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない
白神ブナ
恋愛
高校一年一学期から三年三学期まで続く長編です。気になるサブタイトルを見つけて途中からでもお楽しみいただけます。
女子校あるあると、先生あるある、受験あるあるを描く学園恋愛ドラマ。
佐藤サトシは30歳の独身高校教師。
一度は公立高校の教師だったが心が折れて転職し、私立白金女子学園にやって来た。
一年A組の受け持つことになったサトシ先生。
その中の一人、桜井美柑はガチでサトシ先生に恋してしまった。
サトシ先生は、桜井美柑という生徒の存在を意識してしまいつつ、あくまで職務に忠実であろうと必死に適度な距離を保とうとするが……
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる