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番外編
ノワゼット王国例外編―(手違いで)獣になる④―
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ふとマティスは、己が猫になってしまった時のことを思い出した。
「あれはたしか、媚薬の副作用だったっけ……」
夜の生活に変化を求めたローテローゼが、怪しげな媚薬を買い求めたのだ。
「今回もまたそのパターンかもしれない」
マティスは、ベッドの周りを探した。怪しい瓶や錠剤、籠があれば上出来――と思ったのだが。
「うん……あったねぇ……」
思わずマティスの目が遠くなった。またしても紫色の瓶が二つ、転がっていたのだ。
しかも、それを購入したのは――ほかならぬマティスであり、夕べ、二人で一緒に飲んだものである。
今更ながらに焦りながらラベルをよく読めば、異国の言葉でしっかりと『媚薬、ただし、副作用あり』と書いてある。
「えええ……滋養強壮剤だと聞いて、飲んだのに!」
コスプレで夜な夜な激しく致しているため、二人とも疲労が蓄積している。その回復のために、飲んだのだ。
「その結果が、これか……」
あーあ、と、マティスは嘆いた。
それにしても、今回も困った副作用である。ローテローゼが猫になってしまった。しかも、中途半端に。
「人間の体、猫の耳、尻尾……それから若干の猫の習性」
前回はいつの間にか元に戻っていたが、今回もすぐに戻る保証はない。
ぺし、と何かがマティスの頭部を叩いた。
「うん? なんだ?」
顔をあげれば、目の前に楽し気に揺れる猫尻尾。尻尾の先が、マティスの頭をポンポンと打ったらしかった。
「……まったく、暢気なんだから……」
尻尾をきゅっと握って撫でる。もっと、と言うように尻尾がぱたぱた揺れる。
「ん、撫でると気持ちいいのかな?」
返事はないが、尻尾は雄弁だ。くすり、と笑ったマティスは体を起こして、猫のように丸くなって眠っているローテローゼの背中や額を撫でた。柔らかい金髪がサラサラと揺れる。髪も撫で、肩も背中も撫でる。
「気持ちいいですか?」
ぽんぽん、リズミカルに尻尾が揺れた。
ぐるぐる、ごろごろ。
ローテローゼ猫が喉を鳴らす。
「……もっと、撫でるのか?」
そのうち、にゃ、とローテローゼが首を伸ばす。どうやら、喉や胸のあたりを撫でて欲しいらしい。
「……胸、ねぇ……猫化しても、感じるものなのかな?」
マティスの黒い瞳が、好奇心に輝いた。
「んにゃう、にゃあ……」
マティスの右手は仰向けになったローテローゼの胸の突起をクリクリと転がし、左手は尻尾の付け根をトントンする、というなんとも難しい姿勢になっていた。
「ローテローゼさま、次は……」
「にゃあん……」
どうしたことか猫語しか話さないため、猫化したローテローゼの要求はさっぱりわからない。だが、善がるポイントは変わっていないらしい。
赤く尖る乳首を刺激し、乳房全体を揉む。ふにゃ、と、ローテローゼニャーの吐息が漏れ、全身が淡く染まる。
「これならもしかしたら……ちょっと失礼……」
尻尾から手を離し、両太腿の間に手を差し込む。茂みを掻き分け、そっと秘裂を擽る。
「さすがに濡れてはいないか……」
苦笑した瞬間。
「ぎにゃーっ!」
ローテローゼニャーが飛び起き、四つん這いで唸り声を上げた。どうやら気持ちよくなかったらしい。
謝り倒し、再びベッドに寝かせて、今度は秘部をゆっくり刺激する。少し解れてきたところで、指先を差し込んでみた。
シャーシャー! シャー!
「うわわ、うわー!」
いつもしていることなのに、一体何が気に入らないというのか。ローテローゼニャーは背中を持ち上げて威嚇してくる。
「申し訳ない、猫姿のローテローゼさまを抱いてみたくなっただけです!」
しゅっ、と手が、いや、猫パンチが飛んできたのでそれをかわしてベッドから少し距離をとる。
「大丈夫です、無理には抱きません……でもそれだけ色気振り撒いて、俺を煽って……」
「にゃー!!」
がり、と不思議な音がした。次いでピリピリと痛みが走る。己の顔が引っかかれたのだ、と、気付くまでしばらく時間を要したマティスは、慌てて怒れる猫から距離を取った。怒る猫からはそっと距離を取る、これが鉄則だったはずだが、シャーシャーウーウーと威嚇は止まらない。もはや、完全に、猫である。
しかしそれはそれで非常に可愛い。部屋で飼育して愛で倒したいくらいである。
そのローテローゼニャーの目線が己の股間に注がれていることに気付いたマティスは、慌ててシーツで下半身を覆った。
「大丈夫です、手は出しませんから!」
本当は抱きたくてたまらないのだが……。
さてもさても、どうしたものか。騎士の服をきちんときたマティスは、とりあえずベッドで眠るローテローゼにナイトドレスを着せた。
いつも彼女は男装している。そのため、今日もその姿にしたかったのだが……。
「まったく、恨みますよ。俺が触れるたびに、猫パンチや猫キックお見舞いしてくれて……」
うにゃ、と、ローテローゼニャーの手が何かを探すように動いた。
「ローテローゼさま、何か」
近寄ると、ローテローゼの手が、きゅっとマティスのシャツの袖を掴んだ。そのままマティスの手に顔を擦り付けたあと、すやすやと眠る。
「マーキングか!? にしても、猫化したローテローゼさまの寝顔、かっ……可愛すぎるだろ……」
あまりの可愛さに、もうしばらくこのままでいてくれ、と、呟いたマティスであった。
【了】
「あれはたしか、媚薬の副作用だったっけ……」
夜の生活に変化を求めたローテローゼが、怪しげな媚薬を買い求めたのだ。
「今回もまたそのパターンかもしれない」
マティスは、ベッドの周りを探した。怪しい瓶や錠剤、籠があれば上出来――と思ったのだが。
「うん……あったねぇ……」
思わずマティスの目が遠くなった。またしても紫色の瓶が二つ、転がっていたのだ。
しかも、それを購入したのは――ほかならぬマティスであり、夕べ、二人で一緒に飲んだものである。
今更ながらに焦りながらラベルをよく読めば、異国の言葉でしっかりと『媚薬、ただし、副作用あり』と書いてある。
「えええ……滋養強壮剤だと聞いて、飲んだのに!」
コスプレで夜な夜な激しく致しているため、二人とも疲労が蓄積している。その回復のために、飲んだのだ。
「その結果が、これか……」
あーあ、と、マティスは嘆いた。
それにしても、今回も困った副作用である。ローテローゼが猫になってしまった。しかも、中途半端に。
「人間の体、猫の耳、尻尾……それから若干の猫の習性」
前回はいつの間にか元に戻っていたが、今回もすぐに戻る保証はない。
ぺし、と何かがマティスの頭部を叩いた。
「うん? なんだ?」
顔をあげれば、目の前に楽し気に揺れる猫尻尾。尻尾の先が、マティスの頭をポンポンと打ったらしかった。
「……まったく、暢気なんだから……」
尻尾をきゅっと握って撫でる。もっと、と言うように尻尾がぱたぱた揺れる。
「ん、撫でると気持ちいいのかな?」
返事はないが、尻尾は雄弁だ。くすり、と笑ったマティスは体を起こして、猫のように丸くなって眠っているローテローゼの背中や額を撫でた。柔らかい金髪がサラサラと揺れる。髪も撫で、肩も背中も撫でる。
「気持ちいいですか?」
ぽんぽん、リズミカルに尻尾が揺れた。
ぐるぐる、ごろごろ。
ローテローゼ猫が喉を鳴らす。
「……もっと、撫でるのか?」
そのうち、にゃ、とローテローゼが首を伸ばす。どうやら、喉や胸のあたりを撫でて欲しいらしい。
「……胸、ねぇ……猫化しても、感じるものなのかな?」
マティスの黒い瞳が、好奇心に輝いた。
「んにゃう、にゃあ……」
マティスの右手は仰向けになったローテローゼの胸の突起をクリクリと転がし、左手は尻尾の付け根をトントンする、というなんとも難しい姿勢になっていた。
「ローテローゼさま、次は……」
「にゃあん……」
どうしたことか猫語しか話さないため、猫化したローテローゼの要求はさっぱりわからない。だが、善がるポイントは変わっていないらしい。
赤く尖る乳首を刺激し、乳房全体を揉む。ふにゃ、と、ローテローゼニャーの吐息が漏れ、全身が淡く染まる。
「これならもしかしたら……ちょっと失礼……」
尻尾から手を離し、両太腿の間に手を差し込む。茂みを掻き分け、そっと秘裂を擽る。
「さすがに濡れてはいないか……」
苦笑した瞬間。
「ぎにゃーっ!」
ローテローゼニャーが飛び起き、四つん這いで唸り声を上げた。どうやら気持ちよくなかったらしい。
謝り倒し、再びベッドに寝かせて、今度は秘部をゆっくり刺激する。少し解れてきたところで、指先を差し込んでみた。
シャーシャー! シャー!
「うわわ、うわー!」
いつもしていることなのに、一体何が気に入らないというのか。ローテローゼニャーは背中を持ち上げて威嚇してくる。
「申し訳ない、猫姿のローテローゼさまを抱いてみたくなっただけです!」
しゅっ、と手が、いや、猫パンチが飛んできたのでそれをかわしてベッドから少し距離をとる。
「大丈夫です、無理には抱きません……でもそれだけ色気振り撒いて、俺を煽って……」
「にゃー!!」
がり、と不思議な音がした。次いでピリピリと痛みが走る。己の顔が引っかかれたのだ、と、気付くまでしばらく時間を要したマティスは、慌てて怒れる猫から距離を取った。怒る猫からはそっと距離を取る、これが鉄則だったはずだが、シャーシャーウーウーと威嚇は止まらない。もはや、完全に、猫である。
しかしそれはそれで非常に可愛い。部屋で飼育して愛で倒したいくらいである。
そのローテローゼニャーの目線が己の股間に注がれていることに気付いたマティスは、慌ててシーツで下半身を覆った。
「大丈夫です、手は出しませんから!」
本当は抱きたくてたまらないのだが……。
さてもさても、どうしたものか。騎士の服をきちんときたマティスは、とりあえずベッドで眠るローテローゼにナイトドレスを着せた。
いつも彼女は男装している。そのため、今日もその姿にしたかったのだが……。
「まったく、恨みますよ。俺が触れるたびに、猫パンチや猫キックお見舞いしてくれて……」
うにゃ、と、ローテローゼニャーの手が何かを探すように動いた。
「ローテローゼさま、何か」
近寄ると、ローテローゼの手が、きゅっとマティスのシャツの袖を掴んだ。そのままマティスの手に顔を擦り付けたあと、すやすやと眠る。
「マーキングか!? にしても、猫化したローテローゼさまの寝顔、かっ……可愛すぎるだろ……」
あまりの可愛さに、もうしばらくこのままでいてくれ、と、呟いたマティスであった。
【了】
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