夢を叶えるまで…

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上京

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「あんた朝起きれるの?いつもいつも起こしても起きないじゃない!お母さんもう心配よ~」
「大丈夫だって、しつこいな…」
「時間ないからそろそろ行くぞ。忘れ物ないな?」
「ないない。大丈夫大丈夫。じゃあ、お母さん行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。頑張るのよ。」
両親とそんな話をして、父の車で上京したのはほんの1ヶ月前のことだ。

私、今井美香(いまい みか)は短期大学の保育学科を卒業した後、声優の専門学校へ入学するために上京した。
保育の道へ行くかどうか迷ったが、声優の夢を捨てきれず、同級生たちが4月から新社会人として働こうとしている中、夢を追いかけて東京へ。
同級生から見たら私はどう映っているのか…
上京してから1ヶ月たった今、そんな心配をしてる暇などないくらいに忙しい。
新聞配達に学校…
学校は今のところは楽しいが、新聞配達で朝早いため、眠くて眠くてしょうがない。
まあ、でも文句は言ってられない。
クラスメイトのほとんどが新聞奨学生というやつで、新聞配達をしながら学校に通っているのだから。
ただ、私がお世話になっている日本橋の専売所はどうやら新聞の種類が多く、配達量も多いため、他の専売所に比べたら終わる時間が遅い。
よって、配達が終わってすぐに学校に行かなければならない。
午前3時から昼の12時10分までずっと起きていることになるのだ。
なかなかにきつい。
でも、仕事は慣れてきたし、学校も楽しく過ごしている。
母が朝起きれるのかと心配していたが、仕事となれば意外と起きれるもので、自分でも驚いている。
友人も出来て、専売所のみんなとも仲が良い。
学校も有名で、実力ある声優さん達を輩出している。

私も芝居がどんどん上達して、エレベーターの中に貼りだされている、有名声優さん達の名前の隣に載りたいな…
そんな呑気なことを考えていた。

この時は思ってもいなかった。
地獄のような学校生活が始まるなんて…


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