満月の夜の幻想

藤堂樹里

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プロローグ

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 ごめんね。もっと一緒に居たかった。でも、ずっとあなたの幸せを祈ってる。だから、最期に笑顔になれる人生をおくって。
この手紙を書いているは綺麗な満月の夜。すべての元凶が二年前の満月だったの。あの夜も綺麗な満月だった。王宮の踊り手として初めて王の前で踊った。その次の日に出会ったのが王宮に使えるあの人。だからあの夜のことを私は全く後悔していない。あなた達に出会えたのだから。私はあなたを思い続けて生きるわ。

これを読んでも決して私を探さないで。探せば生きていられない。私はあなたに生きて欲しい。そしてこのことを誰にも話さないで。分かるはず。この手紙の意味も言ってはいけない理由も。私は王...
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