エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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猫屋敷美矢

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水素自動車の販売好調により、後醍醐の工場エリアに創られたエンジン工場はますます拡大していった。
雇用が増え、それに伴い住人も増えていく。
そうなると次第に海設都市での仕事が増えていき、獣の体力と人間の精緻さを併せ持つ獣人類は引っ張りだこになっていった。
「そういえば、最近日本円をみてないな」
「別にいいんじゃね?どうせすべてアジア通貨で決済できるし」
通貨決済バイオチップ『ゴスペル』を受け入れ、住民登録した『獣人類(ジャガー)』がそんな会話をしている。
最初は現物の通貨が存在しない生活に戸惑っていたが、慣れてくると誰も仮想通貨で決済することが当然になっていく。
海設都市で働く者が増えるにつれて、仮想通貨「アジア」の信用が高まり、いつしか日本円を使用せずアジア通貨だけで完結した生活を送ることができるようになっていった。それにつれて、徐々に海設都市の独立性も高まっていく。
いつしか工場エリアは、獣人類が堂々と外を歩ける専用階層のようになっていった。
「海設都市こそが、私たちの新たな故郷だにゃ」
「俺、ここに骨をうずめるウォン」
「ここなら私たちも、安心して住めるピョン」
「運送業を始めるヒン」
「建設会社で雇ってもらえたモー」
正体を現しても安心して暮らせる都市と評判が広がり、キャットビーフル、ワーウルフ、バニーラビット、ケンタウロスやミノタウロスなどの人間から隠れるように生きてきた獣人類たちが、世界中からぞくぞくと集まってきた。
「まるでここだけファンタジーの世界だな」
ネコ耳イヌ耳は当たり前で、ウサギや馬、牛などさまざまな特徴を持つ人々がひしめき合う街を見て、勇人は苦笑する。
「これで新国家建設に大きく近づいたな」
どんどんバラエティ豊かになる住民たちに、勇人は希望を感じるのだった。

新しくできた獣人階層エリアで、勇人と美亜はデートしていた。
周囲ではどんどんプレハブ小屋が建てられている。働いているのは筋骨たくましい、ケンタウロスやミノタウロスなど大型の獣人類だった。
「しかし、ほんとに獣人類はよく働くよな」
「当然にゃ。うちたちに体力があるにゃ。それに接客業もバッチリにゃ」
美亜は新しくできた商店街を指さす。そこでは動物や半人間の姿になった獣人族が、可愛らしい姿で一生懸命接客していた。
「う、ウサミミ姉ちゃん。可愛いぜ」
「かわいいー。わんこが働いている」
『獣人類(ジャガー)』による接客は、後醍醐の住人たちにとって大人気だった。大勢の『女人類(ウィッチ)』や『土人類(ドワーフ)』、受刑者などが空いた時間に獣人族エリアにやってきている。
「ここでうちの母がカフェを開いたにゃ」
美亜に誘われて、勇人は新しくできた猫カフェにはいってみる。そこではデレデレとした顔で、一匹の猫とたわむれている老人がいた。
「美矢……なんで突然いなくなったんだ。探してたんだぞ」
「ご主人様、ごめんにゃ。でも正体をばらすわけにはいかなかったから、仕方なかったんにゃ」
二本のしっぽを持つ猫を優しくなでているのは、勇人の祖父である源人だった。
「ご主人様、しゃべる猫は嫌いかにゃ?」
「何を言う。お前が何者であれ、ワシの家族であることは変わりないぞ」
源人はそういって、美矢と呼んだ猫を抱きしめる。
「お、お婆ちゃん?ここで何やっているにゃ?」
それを見て、美亜がすっとんきょうな声をあげる。源人にまとわりついている猫は、美亜の祖母の猫屋敷美矢だった。
「娘がお店を開くって聞いて、お手伝いしようと来たら、ご主人様に会えたにゃ」
美矢はそういって、愛しそうに源人の頬をなめた。
「美矢、この子はお前の孫なのか?」
「そうにゃ」
「そ、そうか。ワシの手からミルクを飲んでいた、あの小さくて可愛かった美矢に孫ができるとは。ワシも年をとったもんだ」
源人はそういうと、感慨深そうに美矢の体を撫でまわした。
「愛するご主人様に、また会えてうれしいにゃ」
美矢はうっとりした顔でつぶやく。怪しい雰囲気を感じ取って、勇人は思わず突っ込んでしまった。
「愛するって、お爺さん。まさか猫と?」
「勇人、何を勘違いしているのだ。美矢はワシが少年の頃、捨てられているの拾って育てた、家族も同然のペットだ。財閥の御曹司として生まれたワシの孤独を、ずっと慰めてくれた」
源人は優しい顔で、美矢を撫でまわす。
「ふふっ。でも子種はもらったけどにゃ」
しかし、美矢の爆弾発言で撫でまわす手がピタリと止まってしまった。
「ま、まさか、お前が姿を消す前日、あの満月の夜に夢に現れた、美しい猫娘は……」
「ご想像通り、夢じゃなかったにゃ」
美矢はそう言って、源人に身をすりよせる。そして
ピョンと身をひるがえして店の奥に入ると、入れ替わりで猫耳をつけた妖艶な美魔女が出てきた。
「さあ、みんな、出てきてお爺ちゃんに挨拶するにゃ」
人間の姿になった美矢が手をパンパンと叩くと、奥から美亜の母と弟妹達が出てくる。
「お父さん……会いたかったです」
美亜の母はそういって、涙ぐんだ。
「お爺ちゃんにゃ」
「おやつちょうだいにやー」
弟妹たちは喜んで源人に抱き着く。可愛い子猫たちに懐かれて、源人は歓喜の表情を浮かべた
「おお、おお。ワシに娘が。それに可愛い孫たちがこんなにいっぱい。うれしいぞ」
子猫たちを抱きしめて涙を流している源人に、勇人と美亜は大きくため息をついた。
「つまり、俺と美亜も従姉弟だったってことか」
「おばあちゃん、よくやるにゃ。今夜は満月。うちも頑張らないと」
なぜか美亜は、覚悟を決めた顔になる。
そんな二人を優しい目でみながら、美矢は勇人にペコリと頭を下げた。
「勇人くんがこの街を作ってくれたから、みんな堂々と正体を明かせるようになったにゃ。この12使徒の1人『獣人類(ジャガー)』のミーヤン、一族を代表して深く感謝しますにゃ」
こうして、『獣人類(ジャガー)』たちは勇人に忠誠を誓うのだった。

その日の夜
「ふわぁぁぁ。眠い。そろそろ寝ようか」
自室のベットに入った勇人は、何か柔らかい膨らみがあることに気づく。
「なんだこれ?」
布団を取ってみると、真っ白い美しい猫が潜り込んでいた。
「猫?いったいどこから入ってきたんだ?」
「にゃーん」
猫は鳴きながら、勇人にすりよってくる。
「よしよし。人懐っこくて可愛いな。お前、俺のペットになるか?」
「にゃん!」
猫は同意するように鳴き、勇人の膝の上にのった。その時、尻尾が二本ある事に気づく。
「……って、お前美亜だろ」
「ばれちゃったにゃ」
白猫は身をひるがえすと、その姿を変える。現れたのは、勇人のメイドをしている美亜だった。
「ち、ちょっと!服!」
勇人は慌てて目を隠す。当然のことながら、美亜は一糸まとわぬ裸だった。
「どうせ服を脱ぐからいいにゃ」
美亜は荒い息をつきながら、勇人をベットに押したおした。
「み、美亜、どうしたんだ?」
「今夜は満月にゃ。もう我慢できないにゃ」
なぜかいつもの無邪気な様子と違い、妖艶な雰囲気をまとっている。美亜はうるんだ声でそういうと、身をすくめる勇人の服を手際よくはぎ取っていった。
「キャットピープルは、満月の夜に発情して、愛するオスを襲うにゃ。勇人君をうちのものにするにゃ」
月明りに照らされた美亜の顔は、普段の姿とは同一人物とは思えないほど色っぽかった。
「ま、まって……そ、そんな。俺たちまだ高校生……」
「ふふふ。可愛いにゃ。観念してお姉ちゃんにすべてを任せるにゃ」
美亜はケモノのような激しさで、勇人に覆いかぶさる。
(ま、待てよ。たしか猫って妊娠率100%だったと聞いた。このままやったら、確実にパパになってしまう)
突然訪れた身の危険に、勇人は必死に思考を巡らせる。
(そ、そうだ。眠らせよう)
そう思った勇人は、指先に『催眠』の電気信号を込めて美亜の首筋に手を触れた。
「ふにぁぁぁぁぁん。勇人君」
美亜は甘い声をあげて姿が縮んでいき、白い猫の姿に戻っていく。そして安心しきった顔で、勇人の傍で眠りについた。
「まったく、玲といい美亜といい、俺の従姉妹は一筋縄ではいかない奴ばかりだな」
白猫になった美亜の可愛い姿を見て、勇人は苦笑する。
「まあ、可愛いからいいか」
勇人は美亜を抱っこすると、そのまま眠りに落ちるのだった。



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