エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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白竜

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復活した白竜は勇人たちを無視して、南東に向けて進んでいった。手をこまねいているうちに、進行途上にあった街や村が蹂躙されていく。
ついに白竜は、日本海に達して、海に泳ぎ出した。
「あいつ、どこに向かっているんだ」
「おそらく、日本の富士山に向かっているのだと思うわ。そこを噴火させ、さらにエネルギーを取り入れようとしているみたい」
エルフリーデの予測に、勇人は真っ青になる。
「冗談じゃない。富士山が噴火したら、どれだけの被害が日本に起こるか……」
歯ぎしりして白竜を見るが、あまりの大きさに、『魔人類(デモンズ)』である勇人の雷も通用しそうになかった。
「くそっ。あのでかい竜を止めるには、どうすればいいんだ」
勇人が自分の無力さに絶望しかけたとき、白竜の進行方向にある海が盛り上がり、聞きなれた声が響き渡った。
「勇人様。俺に任せて下さい。『玄武』様で奴を抑えます」
「誠也さん!」
声の主は、『海人類(マーメイド)』の王子、浦島誠也だった。
「すでにすべての『海人類(マーメイド)』は『流亀城』から退避させました。勇人様、母と同胞を頼みます」
巨大な海亀が浮上し、白竜に対峙する。
「玄武様。最後のお仕事です。世界を救うために、白竜を抑えましょう」
誠也はそういいながら、流亀城の操縦室で玄武を操作する。玄武は咆哮をあげながら、白竜にのしかかっていき、その甲羅で白竜の胴体を組み敷いた。
「グォァァァァァ」
白竜は激怒して、玄武に向かって炎をはく。炎のブレスが直撃した甲羅に、無数のひび割れが生じた。
「誠也さん!」
「あなたに仕えられてよかった。同胞たちの未来を繋げることができた」
その声と共に、玄武が爆発する。それによって生じた破片が白竜に降りかかり、その体を切り裂いた。
「グアァァ」
苦痛の叫び声とともに、白竜の身体が海に沈んでいく。
傷ついた白竜は、胴体を切り離し、首だけになる。巨大な蛇となった白竜は。、なおも日本を目指して泳いでいった。
「勇人ちゃん。あのうなじの逆鱗を雷で貫いて!」
エルフリーデが、甲羅に覆われて今まで隠れていた大蛇の背中側にある金色の鱗を指さす。
「あの鱗の下には脳に通じる神経が通っているの。もしかしたら、脳に電気ショックを与えることで、白竜の記憶が戻るかもしれない」
「わかりました」
勇人は雷神剣を掲げ、巨大な電の槍を発生させる。
「くらえ!『サタンブレイカー』」
勇人から放たれた稲妻の槍は、白竜の逆鱗を正確に貫くのだった。

雷に貫かれた白竜の目に、理性の光が宿る。
「あれ?……ワシ、何をしていたのかのぅ」
白竜の姿が縮んでいき、仙人のような老人の姿になって、空に浮き上がる。
そして、勇人たちの元にやってきた。
「これ、そこの坊主。何がおこったのか説明してくれんかのう。なぜワシが地上に復活したのじゃ」
老人はとぼけた顔で、勇人に聞いてくるのだった。
「なるほど。それはワシの不詳の子孫が迷惑をかけたのう。この12使徒の1人『竜人類(ドラゴン)』のバイロン。心から謝罪しよう。いや、暴れてしまって、本当に悪かった。あまりにも長く眠っていたので、頭がボケておったのじゃよ」
勇人から話を聞いた白竜は、深く頭を下げる。
「あの雷のおかげで、全部思い出したぞ。そういえばワシはブラックナイトを出たあと、竜に転生していたのだった」
「竜?」
「そうじゃ。今では絶滅してしまった、恐竜の正統なる子孫のことじゃよ」
白竜によれば、竜とは恐竜の遺伝子を引き継いだ唯一の種族で、その体には老化の遺伝子が存在しないらしい。
寿命がないがゆえにため込む力も膨大で、その中でもデーモン星人の知恵が合わさった白竜は、現地の人間から『神』として崇められていたという。
「それが1000年前のある日、住処としていた白竜山に噴火の兆候がみられたのじゃ」
白竜の顔が、悲しみに沈む。
「白竜山が噴火すれば、人類絶滅の危機を迎える。困ったワシは、『森人類(エルフ)』に転生していた盟友であるエルロンに相談した」
「私の前世ね」
エルフリーデが補足する。
「彼女の力を借り、ワシは自らを大地に封印して噴火を抑えることにしたのじゃよ。その際マグマの制御に意識を集中し続けられるように、邪魔になる理性を封印した上でな」
白竜のおかげで噴火は最小限に抑えられ、人類絶滅の危機は免れたという。
「しかし、ワシはその影響で、長い眠りにつくことになったのじゃ」
白竜は万一将来自分の力が必要になったとき、封印を解くことができる『呪文(プログラム)』を『森人類(エルフ)』の血に託すと、そのままマグマ制御を続ける、
そうして気づけば一千年の長い時間が過ぎていたという。
「本当にすまんかった。寝起きの上攻撃されたものじゃから、ついつい暴れてしまってのう」
白竜は再び頭を下げてくる。
「勇人君。許してあげて。彼に悪気はなかったのよ」
「でも……誠也さんが」
勇人が暗い顔でつぶやいた時、ヒュルルーという音がして、空から小屋ぐらいの大きさの亀の甲羅が落ちてきた。
「ふう……。まさか流亀城の操縦室が脱出機能も備えていたとは知らなかった。死ぬかと思ったけど、なんとか助かったぞ」
甲羅から出てきたのは、死んだかと思われた誠也だった。
「誠也さん!」
勇人は喜びの声をあげると、誠也の元に駆け寄る。
その様子を好々爺然とみていた白竜は、勇人に告げた。
「どうやらワシは長い間生きすぎたようじゃ。勇人よ、ワシの魂をブラックナイトに還してはくれんかのぅ」
「……いいのか?」
「うむ。今の時代、もはやワシのような老人の力は必要ない。若き勇者たちよ、皆を頼むぞ。ワシは仲間たちがくるまで、のんびりと過ごしておこう」
白竜はそういって、空を仰いだ。
「わかった。ナイト」
「はっ」
天空のブラックナイトから、黒い結晶体が降りてきて、その光にさらされた白竜の身体から、魂が抜けていく。
こうして、長い年月を生きた最後の竜は消滅していくのだった。
「エルフリーデさんは、戻らなくていいんですか?」
「私はまだまだブラックナイトに還る気はないわよ。可愛い娘もいるし、そもそも一万年も地球人類として転生してきたんだから、今更デーモン星人に戻ってもね。それに同胞たちも救わないと」
エルフリーデはそういって、愛しそうに姫子の肩を抱いた。
「わかりました。俺も協力しましょう」
こうして、姫子の誘拐に端を発した騒動は終結するのだった。
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