エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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自衛隊侵攻

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海設都市の首都『後醍醐』の姫子・南方・金代行と東京の三階堂敏弘首相の間で、電話会談が開かれる。
「では、どうあっても石油やガスなどの供給を再開するつもりはないのかね」
「ええ。我が夫、南方勇人の身柄の釈放がなければ、絶対にお断りします」
姫子はそういって、日本国からの要請を拒否した。
「ほう。なぜそこまで彼に執着するのかね。王女殿下と彼のご婚約は、政略結婚だろうに」
「政略結婚ですって?」
姫子は、艶やかに笑い返した。
「そんなのは、祖父や母が恥ずかしくて一歩踏み出せなかった私の背中を押すために、体裁を整えてくれただけのこと。私、いや私たちは、勇人さんを心から愛しています」
姫子の言葉に、一緒に見ていた玲、美亜、アルカードも頷いた。
「愚かな。思春期の少女の幼い恋心のために、大局を見誤って日本国を敵に回すのかね?」
「ええ。その幼い恋心をねじ伏せるために、大の大人であるあなたたちは本気でかかってきなさい」
そういって、姫子は一方的に通信を切った。
「とうとう日本国が本気を出したみたいですね。治安維持を名目に、この『後醍醐』を一気に制圧しようというつもりでしょう。ですが、私たちは絶対に屈しません。せっかくできた私たちの故郷を守るため、戦いましょう」
その言葉に、ここに集まった各種族のリーダーの顔にも決意が浮かぶ。
「誠也さん。あなたを防衛司令官に任命します。私たちを、暴虐な侵略者の手から守ってください」
「お任せください。『救世主』の妃よ」
『海人類(マーメイド)』の浦島誠也は、そういって姫子の前に跪くのだった。

「これは戦争ではない。治安維持活動である。南方勇人が作った海設都市『後醍醐』は、日本国に所属しながら日本政府に反抗するテロリストたちの本拠地である。よって、わが自衛隊は防衛権を行使する」
自衛隊の指揮官は。そう説明して必死に士気を高めようとするが、隊員たちの顔は暗かった。
「あの首脳会談はまずかったよなぁ」
「おかげで、俺たちは恋する少年少女を自分たちの欲のために引き裂く、悪い大人みたいなイメージを持たれてしまった」
三階堂首相と姫子の電話会談は、玲によってネットに拡散され、世界中で批判をうけるようになってしまった。
「日本政府は何をやっているんだ。少女を相手に大人げない。わが地域は日本に協力しないぞ。下手に後醍醐に手をだして、こっちまで石油や天然ガスの供給を停止されたらたまったもんじゃない」
欧州グループは、そういって静観を決め込む。
「わが国と南方財閥、いや『南方家』とは「相互不可侵条約」を結んでいる上に、日本政府の見解ではこれは戦争ではなく治安維持活動である。よって日米同盟は発動されない」
そういって、アメリカのカイデン大統領は無視する。
自衛隊は初の実戦投入を、単独で行わなければならなくなった。
日本から、艦載機を乗せた海上自衛隊の軽空母数隻が海設都市に向かう。
「今回、自衛隊の大部分を占める陸上自衛隊の出番はない。航空自衛隊と海上自衛隊の合同作戦で行われる。まずは偵察だ」
そういって、軽空母から発進した航空機のパイロットは、後醍醐から10キロまで近づいた時点で驚愕する。
「な、なんだあれは」
ユグドラシルの葉の先から出た砲がキラッと光った瞬間、いきなり航空機のエンジンが動かなくなった。
「いかん。このままじゃ墜落する。脱出だ!」
パラシュートから脱出したパイロットが見たものは、同じように墜落していく他の僚機の姿だった。
「つまり、ユグドラシルの葉から、目に見えないほど細いレーザーが出ていて、エンジンを貫いたというわけか」
脱出したパイロットから報告を受けた統合司令官は、渋い顔をする。
「ええ。おそらく、手加減されたのでしょう。もし狙われたのが燃料タンクだったら、一瞬で空中爆発していたはずです」
「そのせいで海設都市には近づけないし、ミサイルも打ち落とされてしまうわけか……。なら、レーザーが届かない海中から魚雷攻撃だ」
そういって、後醍醐から20キロ離れた地点で進軍を止め、68式3連装短魚雷発射管を用意する。
「よし、もう少しで射程距離にはいる……ぐっ。なんだ?」
艦艇に衝撃が走り、進軍が止まる。
「なんだ!何が起こった?」
「海中からの攻撃です。スクリューがやられました!」
「バカな!レーダーには何も映らなかったぞ」
仰天した司令官は、海軍の水中部隊に潜らせて何が起こったのか確認させる。
戻ってきた潜水夫から報告を受けた司令官は、再び顔をしかめた。
「スクリューに『ユグドラシルの根』が絡みついているだと?」
「は、はい。外側が金属で覆われた根が、すべての艦艇に絡みついて、動けなくしています」
報告をした潜水夫は、理解不能といった顔をしていた。
「なんとかして取り除けないのか?」
「無理です。あの大きなユグドラシルを支えている根ですよ。人の力ではどうすることもできません」
それを聞いて、司令官はほとほど困り果てる。
「空もだめ、海中攻撃も封じられた。近づけないから陸戦隊による直接侵攻も不可能だ。私たちはこれからどうすればいいんだ……」
動きを封じられた艦艇は、ただの海に浮かぶ箱である。本格的な戦闘が始まる前に敗北してしまった司令官は、ただ手をこまねいて立ち尽くすのだった。

「何をしているのだ!素人しかいない海設都市に、プロの日本軍人がいいようにやられおって。貴様たちは恥ずかしくないのか!」
「……申し訳ありません」
リモートで三階堂首相に怒鳴られ、司令官は屈辱に耐えて謝罪した。
「しかし、我々は日本国を守る自衛隊です。侵略してくる敵には命がけで戦いますが、侵略する側に回った場合は満足に戦うことができません」
「なんだと!我々のほうが侵略者だというつもりか」
「海設都市を作ったのは、日本ではなく南方財閥です」
もともとこの侵攻に乗り気ではなかった司令官は、勇気をだして進言した。
「黙れ黙れ。それでも日本軍人ニダか!死ぬまで 戦うニダ!わが祖国のため、日本国民は一億総火の玉になって戦うニダ」
「ニダ?三階堂首相、あなたは……」
「こ、こほん。な、なんでもない」
司令官から不審そうな目をむけられたので、実は第二次世界大戦後、スパイ目的で日本に移住した高麗人の子孫である三階堂首相は咳払いしてごまかす。
「ともかく。海上自衛隊は主力艦艇の多くを行動不能にされました。もはや海設都市に進軍することはできません。なにとぞこのことをご考慮なさって、今後の対応策をご検討ください」
司令官は慇懃に一礼すると、通信を切った。
「おのれ、どうしてくれようか……」
三階堂首相が悩んでいると、執務室に訪問者が来た。
「こ、これは教主さま。このような場所におみ足を運んでくださり、感謝の念に堪えないニダ」
最大限の敬意をもって、訪問者の足元に跪く三階建首相に、訪問者は冷たくつげる。
「やはり人間の軍隊は役にたたないようだな。こうなったら、我ら『世界統合教会』が自ら海設都市に乗り込もう。お前はそのための船を用意せよ」
「ははっ」
世界統合教会教主、12使徒の1人『血人類(バンパイヤ)』のドラクルの前に、三階堂首相は平伏するのだった。
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