クソ親に捨てられたが、いつの間にか家族ができてました。

甘夏かん

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本編

 24話 精神の崩れる音⑦

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「何しに来たんだよ…!」
かあさん…と言うことは目の前にいるのはマコトの母で間違いないだろう。普段優しいマコトがここまで警戒の色を顕にするところは見たことがないため、私はこっそりと真琴の後ろに移動した。
「やぁね、マコト。そんなに警戒しなくたっていいじゃない。貴方が出て行ってからもう1ヶ月は経ってるのよ?その間どれだけ私が心配したことか。わかってるの?」
とその女性は言う。その言葉にマコトは、
「何が心配だ!寝言は寝てから言え!僕をあの家から追い出したのは誰か自分が1番よく知ってるだろ!それで心配してただ?ふざけてんのか?アンタなんか母親じゃねえよ!母親失格者が何母親面してんだ!」
と明らかな怒りと憎悪で染まりきった声で返していた。すると、マコトの母親はみるみるうちに顔が真っ赤になり、
「何よその言種は!こっちが優しく接して下手に出てやってんのに調子に乗りやがって!早く家にかえってこいや!こっちはお前がいなせいで苦労してんだよ!お前がいないせいで家事が回ってないんだ!」
と大声で捲し立てるとマコトの腕を強引に掴んで引っ張ろうとしたが、すぐにマコトの手で振り払われた。
「いい加減にしろよ?家事が家事がって家事をメインに生活するのは子供や父親じゃない。専業やってる母親の…アンタの仕事だ。僕らはあくまでお手伝いなだけでメインは専業主婦やってるアンタなんだよ!」
と言い返されるとグッとなった。恐らくだが、言い返す言葉がないのだろう。マコトの母親は顔を真っ赤にして口をぱくぱくしながら目をキョロキョロとさせ、必死に何かを探しているようだった。そしてその目はなぜか私を食い入るように見ると、
「わかった。なるほど、そう言うことだったのね…」
と呟くと次の瞬間、あり得ないことを言い出した。
「貴方ね?マコトの後ろに隠れている貴方!貴方が元凶でしょ!きっと、そうだわ。絶対そう。私にはわかるの隠したって無駄ですからね!うちの子を騙そうたってそうは行きませんよ!ほら消えろ!消・え・ろ、消・え・ろ…」
と子供じみたループコールを交えて美琴を激しく叱責する。周りからは「なんだ?喧嘩か?」と言った感じに人だかりができる。ちらっと美琴を見たが涙目で俯き、今にも泣きそうな感じだった。だから、
「ともかく、アンタの元に帰る気はない。これ以上、干渉してくるようならこっちもそれ相応の対応をさせてもらう。それに今の一連のアンタの行動、かなり衝動的な行為もしてたからな、いくつか違法行為に当たるかもな。あ、そうそう、この会話録音したから。」
とだけ言うと僕は後ろの美琴の頭を軽く撫で、
「終わったよ。いこっか。」
と言って帰路に着こうとすると、
「待って!私が悪かったから!置いていかないで!」
と言い僕にしがみついてきたうざったいものかあさんを振り解いて、
「いい加減にしてね?もうそろ警察呼ぼっか?」
と言うと、目に見えておとなしくなったのでそれ以上は何もせずに2人で家に帰った。




…もちろん、背後には気をつけて帰ったことは言うまでもないが…
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