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5. 自重?それって美味しいの?

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そして13歳になった春、僕は王国第一学園に入学した。
「え~、じゃあとりあずは新1年、スキルの情報が知りたいから、訓練場で検査をする!動きやすい服を着て、10分後に拡張校舎Bに集合すること!」
と先生が指示を出す…え?言っときますけど、ここから拡張教室Bならともかく拡張校舎Bは距離的には1km近くありますよ?空間系のスキルを持つ人が執事なり、メイドさんなりが持っている可能性が高い貴族の皆さんならともかく、平民出の人たちはおそらく無理ですよ?ほら、僕の隣の子だって顔が青いもん。と辺りを観察し、僕は一つ結論的なものをつけた。
(これはおそらく、貴族からの平民いびり、嫌がらせの一環だろう…はぁ先生も揃いにそろって貴族は自尊心が無駄に高いな)と思いながら着替える。ちなみに、僕はお父さんにお願いして、平民の人たちと同じようにキチンと受験をして受かってここにいるため、僕は今貴族…アリア家の人間だと言うことを隠している…これはおそらく前世が陰キャだったことも関係していると思って無くも無くも無くもない。
「おい平民どもいいのか~?早くしないと遅れるぞ~?」
と煽りながら執事やメイドの空間魔法で飛んでいく貴族のご子息クソガキ。周りのみんなはさらに慌てていた。もちろん、隣の子もだ。
「なっナギエちゃん?なんでそんなにゆっくりできるの?急がないと…あ~でも急いでもあの距離は無理だってぇ~」
と焦っている。
「大丈夫だよパティ。僕は空間魔法のスキル持ってるから。」
と宥めるように言うと、
「じゃ、じゃあ《ワープ》使えるの?」
「うん。《ゲート》も使えるよ。」
と言うと、
「きゅ、救世主だ!救世主がおった!」
と叫ぶと周りの平民出のみんなが押しかけてくる口々に俺も連れて行ってくれと言ってくるので了承する。
「じゃあ、行くよ~《ゲート》!」
と唱えると、目の前の空間が歪み、縦2m、横1mほどの穴がポッカリと空くそしてそこにはいる
「うん成功。無事に着いたね。」
無事に拡張校舎Bに着いた。そして目をまんまるにして驚いている貴族令嬢、子息をガン無視し、校舎に入る
「やっと来たか、時間すら守れないのか?平民風情が」
と罵倒してくる。
「あのですね、そういったことはきちんと砂時計を見てからおっしゃっていただきたいのですが。」
と言い返すと、
「はぁ?何言ってんだお前?もうとっくに砂時計の砂は全て落ちき…って無い⁉︎馬鹿な…こんな距離は空間魔法を持っていないと10分で来れないはず…」
と呆然とする教師を尻目に僕らは集合場所に集まった。ちなみに、僕らより遅かった生徒は
「お前ら!どうして平民にできることができないんだ?もっと真面目にしろ!」
とどなられていた。



『えーじゃあ、まずは魔法の訓練を行う!基本の3属性とその派生属性から始める。6人一組でどんどん回していく。できない属性の魔法があったら、自分の番の時に、「できません」と申告すること!』
と説明がある。そしてはじまった。しかし、僕の目から見てもお粗末なものばかりだった。
「あの~すみません。これ、本気でやってもいいですかね?」
と試験官の先生に本気を出してもいいかを尋ねると、小馬鹿にしたように、
「ええ、もちろん。全力でお願いね。」
と言われる。そして列に戻ると、
「原初なる力の一つ、火の魔力よここに顕現しその力を持って敵を殲滅しろっ!《ファイヤースピア》」
と痛々しい呪文の詠唱をみんなしており、大体が火魔法のファイヤーボール、得意なやつがファイヤースピアを見せており、ファイヤースピアが出るたびに大きな拍手が起きる。
「おい、ナギエ!ぼ~っと突っ立ってないで早くやれお前で最後だ!」
と怒られる。
「わかりました。ではいきま~す《ミラージュ・ノヴァ》」
と言い、僕は右手から手のひらサイズの火炎球を打ち出す
「おいおい、聞いたことない魔法だと思ったらちっちゃいファイヤーボールじゃないかwこれだから知識もろくに無い平民はw」
と数名の子息が鼻で笑う。がしかし先生方はそうではなかった。
「み、皆さん!急いでこの演習用の的から最低でも50歩は離れてください!大変危険です!」
と言い大急ぎで生徒たちを後退させる
「?ただの小さいファイヤーボールでしょう?なぜ後退する必要が?」
と渋々と後ろに下がりながら食い下がるバカ子息…知識がないのはどっちだよ…
と呆れ返っていると、ようやく僕の打ち出した魔法が的に当たった。直後、物凄い爆音と共に火柱がのぼる。
「ん~やっぱりまだ少し威力がなぁ~」
と呟くが、周りが唖然としていた。
「な、ナギエさん?今の魔法は?」
と先生が聞いてくる。
「私が読んでいた本の中に記されていた魔法です。一番威力が出たので。」
と言うと、
「あなた。もういいわ。寮に帰ってなさい。」
と言われてしまい、よくわからないうちに空間魔法で寮に飛ばされてしまった。
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