上 下
48 / 92

48. ナギエ復活?

しおりを挟む
何かフワフワする…暗い何も無い空間で全身の力を抜いて浮かんでいる感覚だ。
「…ここは…どこなんだ…?」
と僕はつぶやき右手を見ると、最近よく見る細くしなやかで小さな手ではなく、それより少し大きな男の手だった
「戻ってる…?」
と呟くと、
「そうだよ、湊くん。」
という声と共に僕の目の前に見慣れた少女…ナギエが現れた。
「…ナギエ?なんでここに?お前の体には今まで僕が入っていたはずじゃ…」
というと、
「今、この体には僕と君の2人分の魂が入っている状態なの。だからこうして面と向かって話せてるんじゃん。」
と、おちゃらけたように言う。
「それで?ここに何の用だ?」
と聞くと、ナギエは深刻な顔をして、
「実は、現在この体は、一つの体に2個分の力があるの。まあ簡単に言うと、2人を圧縮して一つの体にした感じなの。だから、スキルも、能力も2つこの体にあるの。でもね、ッこれはゲームでいうバグの用なものなんだ。バグったらゲームは正常に動かなくなるでしょ?今この体はそう言う状態なんだ。」
と説明をする。
「ば、バグってこのまま時間がたったらどうなるんだ?」
と聞くと、
「死ぬね。確実に。正確には後1ヶ月ともたずに力に体が耐えきれなくなって崩壊するね。」
と冷酷なまでの事実を突きつけてきた。その事実に絶句しながらも、
「死ぬって回避する方法はないのかよ?」
と聞くと、
「無いことはないんだけど…難しいと思うよ。」
と言った。
「どう言うことだ?」
と聞くと、
「いや…ね、やっぱりこの魂を入れる器がいるんだよ。まっさらな魂の入っていない器となる肉体がいるんだよ。…まぁそんな都合の良いことなんてないと思うんだけどね…。」
と半ば諦めムードでナギエは言った。
「肉体…か…なぁ一つ質問いいか?」
と僕はナギエに一つの疑問を提示した。
「今までこの体で使っていたスキルは僕の魂に刻まれているもの…っていう解釈でいいのか?」
と聞くとナギエはそうだよ。と首肯した。
「じゃあどうにかなりそうだな…」
と僕は笑みを浮かべた。

「…ナギエ、大丈夫だ…俺がお前を絶対に死なせないからな…」
とルイトが氷魔法をフル活用してナギエの体を冷却していた。首筋や脇の下など、大きな血管が体表に近い場所にある場所に濡れたタオルを置いてそれをキンキンに凍らせているが一向に効果がないようにも思えるがそれでも続けた。
しかし、いくらルイトでも魔法力には限りがある。そしてとうとうルイトにも限界がきて、ルイトは力尽きたようにナギエの眠るベッドに突っ伏した。
「ナギエ…お前があの日アリア領のスタンピードでドラゴンを倒した時シンプルに俺お前のことスゲェっと持ったんだよ。でさ、俺お前を越えようと思ったんだよ…だからさ、俺の中ではある意味お前は良きライバルだったんだよ…だからさ、こんなところで俺の前からいなくならないでくれよ…」
と涙ながらに訴えていた。そんな時だった。
「大丈夫だよ。ルイト。こんなところで僕は死なないよ。」
ぽんっとベッドに突っ伏しているルイトの頭を撫でながらそう言うと、僕はベッドから降りた。
「お、おい動くなよ!まだ熱が40度近くあるんだぞ!」
撮る糸は慌てて叫び、僕のことを止めようとするが、魔法力切れの影響か、うまいこと動けていないようだった。そんなルイトに僕は、
「頑張りすぎだよ、ルイト。少し休んでて…《スリープ》。」
と僕はルイトに睡眠魔法でルイトを眠らせた。ルイトはこういう状態異常をかける魔法に対する耐性が良くこんな低級魔法にかかる訳が無い。よっぽど僕が死なないように頑張ってくれていたようだ。
「ありがとうね。ルイト…」
と言い僕はスキル《創造》を発動させた…
しおりを挟む

処理中です...