調教師ファーマーの気まぐれ漂流記

竹田勇人

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第1話 旅立ち

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ゲルマ「おいクレール!畑仕事頼んだぞ!」
クレール「わかった!やっとく。」
ケープ「クレール、農夫も大分かたがついてきたね。」
クレール「母さん、うん!結構慣れてきたよ。種まきもできるようになったし、苗木も育てられたよ。」
ケープ「頑張りなさい。あと1カ月で旅立ちだからね。それまでに基本は覚えておくのよ。」
クレール「もちろんさ!任せて!」
僕は大きく親指を立てた。この街では15歳で他の街へ行って自分の特技で人を助けられたら一人前の大人と認められる。その特技は騎士だったり魔術師だったり、様々である。僕は調教師を得意としているが父さんの影響で農業が得意だ。調教と言っても鞭や縄を使うあれではなく、魔力を使って魔獣を服従させる地味なやり方だ。イメージで言えばポケ◯ンのあのボールの力を直接手に入れたような感覚だ。そして、この世界の全ての生き物、道具、自然現象などありとあらゆるものにはレベルがついている。例えば、今日の天気予報で今日はレベル3の雨が降るでしょうと言われれば大体梅雨時の雨くらいの少し強めなくらいの雨である。他にも細かい決まりなどもあるが、僕にはあまり関係ない。というのも、それが関係するのはそれを使う仕事だけだからだ。僕の場合は使うのではなく、仲間にするのである。仲間のレベルが高くて困ることなどない。騎士や銃士は自分のレベルを超える装備は持てないが、調教師にその概念はない。持ってはいないからである。しかし、魔獣のレベルによって仲間にできる可能性や数は変動するから注意が必要だ。そして、僕の旅には3つの難関がある。まずは町を出てすぐの魔障の森。敵はさほど強くはないが何せ数が多い。そしてたまに現れるレベルS級。つまり、100以上の上級魔獣。これが厄介だ。中々倒れない上にスキル攻撃や回復を持ってたりする。僕の場合は更にこれらを仲間にしなければならない。正直レベルがまだ10程度の僕ではその可能性は3%もないだろう。そこで、はじめに幸運を持つ魔障の森の限定魔獣の木霊を仲間にしたい。ただそれも、強くはないにせよ中々現れなかったりつばしっこかったりで簡単に仲間にはできない。それよりも何よりも、彼らは自分の気に入った生物にしか運を付加してはくれない。だから、ご機嫌取りも重要というわけだ。そんなこんなでしょっぱなから波乱の予感がしている。
そんな時、近所の幼馴染のミエルが訪ねてきた
ミエル「クレール!いるの~?」
クレール「ミエル!どうしたの?」
ミエル「私ももうすぐ出るからさ。ちゃんと挨拶しようと思ってね。」
クレール「ミエルは何しに行くの?やっぱり先生とか?」
ミエル「ううん!私ね、料理人になるの!そしたら、クレールの野菜料理できるでしょ?」
クレール「そっか!楽しみだな。僕もいい魔獣を仲間にして頑張って農家になるよ!」
ミエル「うん!頑張ろうね!じゃあ、私準備あるから!じゃあね!」
クレール「うん!頑張って。」
元気なミエルの笑顔に少しだけ気が紛れたそんな昼下がりだった。
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