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(25)デートにしたかった男⑨
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「ケイトさんっっ!!」
「御免。アポなしで来て…」
目の前にケイトがいる。
初めて来てくれた。いないかも知れなかったのに、いる時に来てくれるなんて奇跡的だ。
ジョルジオは神を信じたくなった。
信じられなくなったのは、ついこの前の事。
大物魔族がこちらの世界に侵入して、よりによって映画鑑賞をぶち壊した事件の時の出来事だ。
勇者の業務連絡によると、その魔族は勇者に恭順の意を示し、魔族にも有効な魔法誓約書にサインしたはずだった。なのに突如として反旗を翻した。反意を起こした時点で魔族は消滅するはずだったのだが、生き延びたのだ。恐らく魔王辺りが助力してやったのだろうと勇者は言っていた。
人間界に現れて人が多く集まる場所を狙ってくる当たりが納得といえば納得な。それにしてもよりによって、あの日はないだろうというジョルジオには腸の煮えくり返った日の事だ。
勇者の言う事ではないけれど、首絞めてやりたい、神様もあの上級魔族も。貴様を聖剣で刺してやるぞ、と神様向けで勇者はごくたまにぼそっとひくーい声で呟く時があり、なんて不遜なと思っていたが今回ばかりは勇者の気持ちが分かった気がした。
でも今日の今この時は見直してやってもいいかな~と思い直した。でも、首は絞めないがハリセンで頭は叩いても許されるはず。
「…連絡するのも、なんか」
「上がって下さい!少し散らかってますけど」
ケイトは首を横に振った。
「取り敢えず中に入って…」
躊躇った後、ケイトは玄関口までは入った。
そして頭を下げる。
「この間はすみませんでした」
「え?」
「貴方達の仕事の邪魔をする気はなかったんですが、結果として邪魔をしてしまったのは事実です。本当に申し訳ありませんでした」
「………」
ジョルジオが言葉を失う。いきなり距離が遠くなって、いきなり他人行儀な口調になって、いきなりこれを最後に関わり合いを断つつもりだと感じてしまった。
掛ける言葉を探している内にケイトが頭を上げた。
「これだけはどうしても言いたかったんだ。邪魔してすみませんでした。じゃ…」
帰ろうとジョルジオに背を向けた。
「待って下さい!!」
恐る恐るジョルジオの方へ顔だけ振り返った。
「あ、やっぱり謝罪受け取らないですよね」
「違います」
ケイトが軽く首を傾げる。
「違います、この間の事はもういいんです。むしろ俺の方が怒鳴ったりとか」
「あれはだから俺が悪かったって…」
「勝手に離れようとしないで下さい!」
「………」
「あんなくらいで根に持ったりしません。そんな子供じゃありません」
「あ、あの馬鹿にするつもりじゃ」
「分かってますよ」
ジョルジオが近づいて玄関ドアに片手をつく形になった。
「もしかして迷惑かけたから嫌になったって思いました?ましたよね?だから疎遠になる前に取り敢えず謝って気持ちをスッキリさせたかった?」
「………………」
「モヤッとしたまま、嫌ですもんね」
ケイトは俯いて沈黙した。
「…………責めてません。そう聞こえたら、すみません」
ケイトは困っていた。
謝りに来たのに謝り返されて、どうすれば良いのか分からない。
えーとえーとえーと、と考える。
「ああ~、もう!」
がしがしっとジョルジオが頭をかく。
「本当に怒ってないので!あんなの想定内の範囲ですから大丈夫なんです」
は、とジョルジオが短く息を吐く。
「…どこの国でも勇者様見たさにチラホラ隠れたりしている人がいるんです。警報出しても出歩く人なんか普通にいるし、わざわざ騒ぎのある方に駆け付けてくる人もザラだし。ハッキリ言って面倒見切れません。言う事聞かない人なんか普通にいますから。いちいち本気で怒っていたらキリがないので」
……これは俺は密かに愚痴られているのだろうか。
ケイトが悩む。
悩んでいる内に力説するジョルジオがちゃんと目に映って。
少しだけ心の中の何かが消えた気がした。
「御免。アポなしで来て…」
目の前にケイトがいる。
初めて来てくれた。いないかも知れなかったのに、いる時に来てくれるなんて奇跡的だ。
ジョルジオは神を信じたくなった。
信じられなくなったのは、ついこの前の事。
大物魔族がこちらの世界に侵入して、よりによって映画鑑賞をぶち壊した事件の時の出来事だ。
勇者の業務連絡によると、その魔族は勇者に恭順の意を示し、魔族にも有効な魔法誓約書にサインしたはずだった。なのに突如として反旗を翻した。反意を起こした時点で魔族は消滅するはずだったのだが、生き延びたのだ。恐らく魔王辺りが助力してやったのだろうと勇者は言っていた。
人間界に現れて人が多く集まる場所を狙ってくる当たりが納得といえば納得な。それにしてもよりによって、あの日はないだろうというジョルジオには腸の煮えくり返った日の事だ。
勇者の言う事ではないけれど、首絞めてやりたい、神様もあの上級魔族も。貴様を聖剣で刺してやるぞ、と神様向けで勇者はごくたまにぼそっとひくーい声で呟く時があり、なんて不遜なと思っていたが今回ばかりは勇者の気持ちが分かった気がした。
でも今日の今この時は見直してやってもいいかな~と思い直した。でも、首は絞めないがハリセンで頭は叩いても許されるはず。
「…連絡するのも、なんか」
「上がって下さい!少し散らかってますけど」
ケイトは首を横に振った。
「取り敢えず中に入って…」
躊躇った後、ケイトは玄関口までは入った。
そして頭を下げる。
「この間はすみませんでした」
「え?」
「貴方達の仕事の邪魔をする気はなかったんですが、結果として邪魔をしてしまったのは事実です。本当に申し訳ありませんでした」
「………」
ジョルジオが言葉を失う。いきなり距離が遠くなって、いきなり他人行儀な口調になって、いきなりこれを最後に関わり合いを断つつもりだと感じてしまった。
掛ける言葉を探している内にケイトが頭を上げた。
「これだけはどうしても言いたかったんだ。邪魔してすみませんでした。じゃ…」
帰ろうとジョルジオに背を向けた。
「待って下さい!!」
恐る恐るジョルジオの方へ顔だけ振り返った。
「あ、やっぱり謝罪受け取らないですよね」
「違います」
ケイトが軽く首を傾げる。
「違います、この間の事はもういいんです。むしろ俺の方が怒鳴ったりとか」
「あれはだから俺が悪かったって…」
「勝手に離れようとしないで下さい!」
「………」
「あんなくらいで根に持ったりしません。そんな子供じゃありません」
「あ、あの馬鹿にするつもりじゃ」
「分かってますよ」
ジョルジオが近づいて玄関ドアに片手をつく形になった。
「もしかして迷惑かけたから嫌になったって思いました?ましたよね?だから疎遠になる前に取り敢えず謝って気持ちをスッキリさせたかった?」
「………………」
「モヤッとしたまま、嫌ですもんね」
ケイトは俯いて沈黙した。
「…………責めてません。そう聞こえたら、すみません」
ケイトは困っていた。
謝りに来たのに謝り返されて、どうすれば良いのか分からない。
えーとえーとえーと、と考える。
「ああ~、もう!」
がしがしっとジョルジオが頭をかく。
「本当に怒ってないので!あんなの想定内の範囲ですから大丈夫なんです」
は、とジョルジオが短く息を吐く。
「…どこの国でも勇者様見たさにチラホラ隠れたりしている人がいるんです。警報出しても出歩く人なんか普通にいるし、わざわざ騒ぎのある方に駆け付けてくる人もザラだし。ハッキリ言って面倒見切れません。言う事聞かない人なんか普通にいますから。いちいち本気で怒っていたらキリがないので」
……これは俺は密かに愚痴られているのだろうか。
ケイトが悩む。
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少しだけ心の中の何かが消えた気がした。
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