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03. つい先日知ったばかりなんですが…。3
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演技派に違いないし、もしかしたら高位の爵家に良くある演技のサラブレッドで天性の演技者なのかも知れないし。
疑惑をノアンがシーヴァルトに掛けている所に戻る。
そこまでしてまで、何故に自分に求婚しなければならない理由が知りたい。
政略結婚だと言うのなら、そういうの、要らないよね、別に。それくらい、分別あるよ僕。
………………とは思うものの、やはりシーヴァルトが演技してまでプロポーズの言葉を明言する理由にはならない。
知りたい知りたくない、訊きたい訊けない。
ぐるぐるとノアンは悩んだ。答えの何を聞いても怖くて勇気が出ない。
シーヴァルトの生家は公爵家である。筆頭では無いが、多分その次くらいには高位であったはずだ。王女だって娶れるくらいには見劣りしない家格がある。家格も高いが財力も高い。農業も工業も質が高く豊かだ。この国の中で唯一自己完結が可能な領地で有り、一国の国の様な領地だった。それも、その領地が過去には小国であり、公国を経て現王国に吸収された歴史を紐解けば納得出来るのである。
だから、シーヴァルトの正妻として嫁いでくる人物はどんな人だろうと、ノアンは興味津々だった。よくご令嬢達が餌に群がる魚のように目当ての男子に自己アピール合戦をやっているのを舞踏会などで見掛けるが、売り込みでどうにかなるレベルで到底ない。それこそ生まれる前から生まれる前提で各家間に駆け引きがあり、高度な政治的判断でもって決められていたはずだ。ノアンはシーヴァルトには少々悪いが、そんな感じで決定される許嫁の人はどんな人かと紹介される日をワクワクしていた。早く見てみたい。
見れるかどうかは別として、相手がいるとは聞いていたが、誰なのかは公表されていなかったのだ。公表されなかったが為に王立学院に通う、同年代の年頃の生徒達よりお相手は勝手に想像され、一人歩きをしていた。
そうこうしている内に、やがて”シーヴァルトのお相手は他国のやんごとなき身分のご令嬢にと王家から打診されているらしい。正式発表は折を見て行われるらしいぞ”と、ノアンの耳にも聞こえるくらいには生徒間ではいつからか、そう噂になっていた。
……のを知っていたから話題に上がらずとも仕方無いなあと思っていたある日、シーヴァルトが何の脈絡も無く『それは噂だから信じるなよ』とノアンに言ってきた。『興味無いから別にいいよ』と答えたらシーヴァルトが哀しい顔をした。
別に言えない事情くらい貴族社会たるもの、各々有るのだから、どんなに親しくしてても不利益になりうる懸念は排除しておくのは当然の事として親族でもないノアンが知らなくても不服と思う事はない。
ノアンが『興味無いと言うか持ったらいけない系の話かと思って』と残念ながら友人の婚姻相手への興味の前に、身分とお家事情が有るのだから詮索しては駄目な事くらい知っているから、と説明しても、それはそれでシーヴァルトの哀しい顔は元に戻らなかった。
肩を落とし、数日間しょげ返っていたので『ほら、やっぱり触れちゃならない話題だったじゃないか』と認識を深め、友人を傷付けてしまった事を深く反省したノアンは、あれこれご機嫌取りを敢行した。結果、シーヴァルトのしょげた肩の角度は少しだけ戻った。
はー、良かった。元気戻ったかな?
全く何でそんなに気落ちしてるのかノアンには理解出来なかった。で、また考えて思い付く。
―――実は破談になってたのに慰めもしなかったから傷付いていたのかも知れない。
考え抜いた末に出した予想を伝えてみたらシーヴァルトの若干戻った肩の角度は再び落ちた。
ついでに言うと、彼の肩から上の方に細かい黒のストライプの縦線の幻覚が視えた気がしてノアンは何度も目をこすり、何度目かでその場面を目撃したシーヴァルトに目をこするな!と怒られた。何か悪い事してたかな。
とりあえずシーヴァルトの縁談の話題は一端そこで途切れ、落ち着いて忘れた頃にノアンがまた訊ねると困惑してかなり渋面となった。
確かその時は『婚約ってなったら僕も身の振り方を考えなきゃいけないし』と理由を付けて誤魔化したのだが、実際問題となりノアンの中に表面化した。
そう。幼少期から一緒にいた時間が多くてシーヴァルトといるのが自然となっていたのに遅ればせながら気が付いたのだ。
なんてことだ!人は誰しも大人になれば独り立ちするものだ、いつまでもべったりと癒着していてはいけない!……癒着?あれ、癒着?まあいいや、とにかく親友の慶事を祝ってやれる心の土台はすでに整地済み…………………。
「余計な事を考えるなよ。空回りもするなよ」
整地済み、で心のセリフが遮られた。
「思うにさ、ちっちゃい頃から一緒にいたから僕の中ではどうやら普通になったっぽいんだよね。別々な時だってそりゃあったからシーヴァルトが絶対いないと駄目なんじゃないけど、今後は婚約者を優先するシーヴァルトが当たり前になるんだから今の内に別々に行動する事に慣れる準備があると」
「…………………」
ノアンのセリフの内の三分の一は良かった。
一緒にいたからそれが普通。
息吸うように二人でいるのが当たり前の事。
しかし後の三分の二は頂けなかった。
『絶対いないと駄目なんじゃない』
『別々に行動するのに慣れておかないと』
離れようとしている!
シーヴァルトが内心青ざめた。
どこのどいつだ、変な知恵付けさせるんじゃない!!
シーヴァルトの心に怒りと呪いが瞬時として、どす黒く湧き上がる。
前回といい、今回といい、何なんだ!
地団駄踏みたい。
今は流石にしないが、ノアンのいない所で八つ当たりは何かにやりたい。
怨恨渦巻く心中を隠し、シーヴァルトが渋面から少し穏やかな表情に切り替えた。その変貌振りを間近にし、ノアンが惜しみない拍手を贈る気持ちでいっぱいになった。
切り替えが早い、僕には難しい。
「…………………ノアン、もし俺に婚約者がいたら例え政略結婚でも蔑ろにはしないぞ。でも政略結婚なのだから最低限には優先するが、俺のプライベートにまでしゃしゃり出て来られて我慢出来る程、俺は人間が出来ていない」
「言ってる事は分かる気がするけど、それってどうなの?」
言ってる内容が政略結婚相手に対して『君を愛さない』だし、プライベートは別と区切りが付けてある。ノアンは未来の正妻さんが気の毒になってきた。人間出来てないって、どうするつもりなのか。
ノアンが内心『ええぇ』と怯えている中、あくまでも仮想敵を想定しての言葉だったのでこう言ってしまったが、後々自分の首を絞めかねない可能性に思い至りシーヴァルトは「む」と考えた。
ダメダメだ、やはりこいつが絡むと簡単な計算が出来ない。
仮想敵とはノアンの中のシーヴァルトの婚約者である。残念な事にノアンの敵ではない。
さて今の自分のセリフを反芻するに、こいつは実はちゃんと覚えていて、自分は自分で死ぬ事間違いなし。
『政略結婚なのだから最低限には優先する』
『プライベートまでしゃしゃり出て来られて我慢出来ない』
『だって前に、そう言ってたよね?』
小悪魔っぽく笑顔で言うバージョン、こてんと首を傾けてあざとく言うバージョン、拗ねてそっぽを向いてしまうバージョン、哀しげにまつ毛を震わせて涙を浮かべるバージョン、等々。
瞬時に様々なノアンの表情が思い浮かんだが、一番しっくりくるのが前述にない朗らかに曇りのない笑顔で『ね?』と同意を求めて人の心を抉るバージョンだ。
感情を伴っての発言ではなく、ただの過去の事実を言っただけの無関心。
好きの対義語は無関心なのだ、シーヴァルトがこれを無視出来ようものか。
心の中でシーヴァルトはぷるぷる震えた。
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《※本文中ですがお知らせ ※※このお知らせは目的が達次第に削除します。見苦しくて申し訳ありません》
いつも有難うございます。現在投稿中の今作ですが、作品タイトル変更を模索中です。つきましては今後いきなりタイトルが変更になっても寛大な気持ちで許してやって貰えると大変助かります。後書き欄が無いので本文中に失礼致します。有難うございました。
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だから、シーヴァルトの正妻として嫁いでくる人物はどんな人だろうと、ノアンは興味津々だった。よくご令嬢達が餌に群がる魚のように目当ての男子に自己アピール合戦をやっているのを舞踏会などで見掛けるが、売り込みでどうにかなるレベルで到底ない。それこそ生まれる前から生まれる前提で各家間に駆け引きがあり、高度な政治的判断でもって決められていたはずだ。ノアンはシーヴァルトには少々悪いが、そんな感じで決定される許嫁の人はどんな人かと紹介される日をワクワクしていた。早く見てみたい。
見れるかどうかは別として、相手がいるとは聞いていたが、誰なのかは公表されていなかったのだ。公表されなかったが為に王立学院に通う、同年代の年頃の生徒達よりお相手は勝手に想像され、一人歩きをしていた。
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……のを知っていたから話題に上がらずとも仕方無いなあと思っていたある日、シーヴァルトが何の脈絡も無く『それは噂だから信じるなよ』とノアンに言ってきた。『興味無いから別にいいよ』と答えたらシーヴァルトが哀しい顔をした。
別に言えない事情くらい貴族社会たるもの、各々有るのだから、どんなに親しくしてても不利益になりうる懸念は排除しておくのは当然の事として親族でもないノアンが知らなくても不服と思う事はない。
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ついでに言うと、彼の肩から上の方に細かい黒のストライプの縦線の幻覚が視えた気がしてノアンは何度も目をこすり、何度目かでその場面を目撃したシーヴァルトに目をこするな!と怒られた。何か悪い事してたかな。
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そう。幼少期から一緒にいた時間が多くてシーヴァルトといるのが自然となっていたのに遅ればせながら気が付いたのだ。
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「余計な事を考えるなよ。空回りもするなよ」
整地済み、で心のセリフが遮られた。
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ノアンが内心『ええぇ』と怯えている中、あくまでも仮想敵を想定しての言葉だったのでこう言ってしまったが、後々自分の首を絞めかねない可能性に思い至りシーヴァルトは「む」と考えた。
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仮想敵とはノアンの中のシーヴァルトの婚約者である。残念な事にノアンの敵ではない。
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『プライベートまでしゃしゃり出て来られて我慢出来ない』
『だって前に、そう言ってたよね?』
小悪魔っぽく笑顔で言うバージョン、こてんと首を傾けてあざとく言うバージョン、拗ねてそっぽを向いてしまうバージョン、哀しげにまつ毛を震わせて涙を浮かべるバージョン、等々。
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感情を伴っての発言ではなく、ただの過去の事実を言っただけの無関心。
好きの対義語は無関心なのだ、シーヴァルトがこれを無視出来ようものか。
心の中でシーヴァルトはぷるぷる震えた。
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