黒の悪魔が死ぬまで。

曖 みいあ

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第一章:あの日、再び

ついに、迎えるーー

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「奥の手、と聞こえたので。
用心して、この距離から…。勅令するーーノエル、舞い狂え。」

また、あの猛吹雪が、ブレイズの周りを包む。

どんどんと、吹雪が大きくなっていく…。
…確実に、俺たちを消すために。

俺は…アオ兄を抱きしめる腕に、さらに力をこめた。
置いて逃げるなんて、できない。

絶対に、離さない。

最後くらい…俺だって、アオ兄を守りたかった。


「アオ兄、ごめんっ。」

泣きながら、続ける。

「チカラのっない、無能なっ弟で、ごめんなさいっ。」

ずっと、ずっと、謝りたかった。
今日だけじゃない…俺はずっと、アオ兄に守ってもらっていたから。

「アオ兄、ありがとう。
…チカラのない俺を、ずっと守ってくれて。ありがとうっ。」

そう言って、最後にアオ兄を抱きしめる。


「俺、アオ兄が大好きだから。
もう、頑張らなくていいからっ。…最後まで、一緒にいさせてよっ。」

俺は最後まで、ただ…泣きながら。アオ兄を抱きしめることしかできなかった。




「ーーヨウの笑顔は…、太陽だから。」

アオ兄の声が、耳元でハッキリと聞こえた。

「ほんとに…最後だからさ。
…ヨウのとびっきりの笑顔、見せてくれないかなぁ。」

肩を掴んで、抱きしめていたアオ兄を引きはがす。


笑顔のアオ兄の………
…瞳は。今まで見てきた中で、一番、”深緑色に”輝いていた。



「だめだっ!」

直感で、アオ兄が、その消えそうな命を…最後に、燃やしつくそうとしているのが分かった。

「死んじゃっ!いやだっ!!」

ずっと怖くて口にできなかった、”死”という言葉が、口から溢れる。

…まただ。

また、俺を守って、家族が死のうとしている。

また、”あの日”みたいに…。


「俺は、もう、いいんだっ。」

(俺も、今度は一緒に…。)

「置いていかないでよ!!!」


俺は、無我夢中で叫ぶ。

でも…、アオ兄の瞳は…チカラは、止まらない。


「俺が死んでも…ヨウが無事なら。兄ちゃん、すごく嬉しいなぁ。」

アオ兄は笑顔で、俺に”1人でも生きて欲しい”と言う。

「ヨウは、無能なんかじゃないよ…。
ヨウの兄ちゃんとして、一緒に過ごせて、本当に幸せだった。俺のことは忘れて…幸せにな。」




アオ兄が、どこにそんな力が残っていたのか、
俺の腕を強く掴んで、ボロボロの身体を起こそうとする。

アオ兄の身体はボロボロなのに…いつの間にか血が止まり。
代わりに、じわじわと…濃い、深い深い緑色のモヤが、溢れてくる。


「やめてっ!やめてくれぇっ!」

俺を掴んで起き上がろうとする、”死ぬ”、決意の溢れる、
その力強い手を引き剥がす。

俺は頭を、何度も振り回す。
何度も何度も何度も何度も何度も。

「いやだ!いやだ!いやだ!!」

どんどん、周りが濃く、深い緑に覆われる。
アオ兄の顔も…もう、見えない。

「さよならだ。」

モヤの中から、優しい声。それと…

「最後まで…すごいチカラです。私も、本気でいきます。」ブレイズの、厳しい声。




ーーもう、何も分からない。

ただ、生きていてほしいだけなのに。

自分よりも…大好きな、この人に。

自分以上に、アオ兄に、生きていてほしい。

俺は、守られたいわけじゃないんだ。

ずっと守ってくれてたこの人を…本当は、ずっと、守りたかったんだ。


ずっと守ってくれたアオ兄を。

最後くらい…最後だからこそ…

チカラのない、俺でも…



「やめろぉぉぉぉぉおお!!!!」………守るんだ。命に替えても。



ーーブチンっ。

ーーー頭の中で、そう、聞こえた気がした。



瞬間



ーーー””ドォォォォオオオン!!””ーーー






ーーー【黒の再来】を、ついに、迎えるーーー
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