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第二章:新しい世界
真っ黒が正義
しおりを挟む「いいえ、ヨウ君…。結論から言うと、君は…”黒の悪魔”では、ありません。
…”今は”…ですが。」
頭の中を、”死”という言葉が巡り始めた時。
突然、サクヤに、そう言われて。
俺は、咄嗟に、伏せていた顔を上げ。
間髪入れずに、その真意を問いただした。
「今は…?それって…どういうことですか!?」
興奮を隠しきれない俺に、冷静なままのサクヤが答える。
「落ち着いてください。
”黒の悪魔”…つまり、”漆黒のチカラ”は。
日光を全く必要としない…つまり、通常では…ありえないチカラです。
闇夜でも使用できる、そのチカラ……いまだ、その多くが、謎に包まれています。
だから…君が何故、あの時、伝承や7年前の【黒の誕生】と同じ姿で、
強大なチカラを解放できたのか…はっきりとは、僕たちにも、分からないんです。」
サクヤは、俺の目をまっすぐ見たまま、話を続ける。
「ただ、推測できるのは…、ヨウ君の”禁色”である”深紅”のチカラと、
アオバ君の”深緑”のチカラが、何かしら影響し合って…ということです。
ひとまず”、”あの日”の、あのチカラは…
”あの瞬間”に、”何かの条件が整って”…偶発的に引き起こされたチカラ、なんです。
なので…、もう一度、あのような特殊な状況にならない限り。君は、”黒の悪魔”では、ないんですよ。」
サクヤは、優しげな表情で微笑み。俺に…言い聞かせるように、話してくれた。
でも…
「推測って…。じゃあ、”今の”俺が、”黒の悪魔”じゃないって…保証は、ないんじゃ…。」
自分で言っていて、もう…わけが分からなかった。
俺は…俺の身体は、一体…。
「ああ!それなら、大丈夫っ!推測っていうか…もう”確実に違う”から。」
黙ってサクヤの後ろで聞いていたノヴァンが。
さっき一瞬見せた、真剣な表情は、どこへやら。
また、例のヘラヘラした様子で、手を挙げて主張した。
「俺ね、そういうの…全~部、分かっちゃう人なのよ!
そんな俺が言うんだ、”お前は絶対に、黒の悪魔じゃない”、よ。」
ものすごいドヤ顔で。自信満々に、そう告げられた。
「あと、ついでに言うと…
7年前の【黒の誕生】の元凶、要するに、”本物の”黒の悪魔は、
…まだ、生きてる。
あ、もちろん、お前じゃない、からな。」
「えっ!?」
「えっ!?それ…!ノヴァン隊長、ほんとですか!?」
後半の発言には、俺以上に、サクヤの方が驚いていた。
「おう。今回の、ミタ山での事件を調べてて…確実に、”分かった”。
ーー”本物の”黒の悪魔は、間違いなく、まだ生きているよ。」
それを聞き、そのまま…何やら真剣な様子で、考え込むサクヤ。
俺は、そんなサクヤから、改めてノヴァンに視線を戻し、
その自信満々な笑顔を、じっと見つめる。
本当に…。
「あなたには…分かる、んですか?…どうして…?」
俺を、違うと言ってくれるのは、正直嬉しいけど…。
この人の”チカラ”は、そんなに何でも”分かる”、ものなのか…?
「え?
いやぁ~俺、まあまあすごい発現者なんだよね。
この、溢れ出る才能…、子どもには、まだ分かんないかなぁ~。」
ノヴァンは、嬉しそうに。ニヤニヤと俺を見つめる。
正直…その笑顔が、うさん臭い。
そんな、俺の表情を読み取ったのか
「ヨウ君には…信じられないでしょうが。
この人、こんな感じだけど…、まあ、本当にすごい人、なんですよ。…こんな感じだけど。」
サクヤが、後ろのノヴァンの方は見ずに。俺に向かって、コソコソ話のように言う。
「うおい!聞こえてんぞ!
こんな感じって…どんな感じだよ!大事なことだから、2回言いました~ってか!?」
後ろでも、ちゃんと聞こえていたらしい、ノヴァンのツッコミが聞こえてきた。
それでもサクヤは、後ろは一切見ずに続ける。
「まあ、そういうことですので。君は…”今の君”は、黒の悪魔でも何でもないんです。
ただ…今後、またなにかのきっかけで、”黒の悪魔になる”、可能性は…ある。
つまり君は…、言い方は悪いが、貴重な存在。黒の悪魔に関する、1つの”手がかり”なんですよ。
なので…
”禁色”かつ”手がかり”、でもある君の…”保護”と、
”黒の悪魔になる可能性”を、完全には捨てきれない君の…”監視”も兼ねて。
私達の組織…”深淵の黒色隊=ブラックアビス”に、入って…くれませんか?」
サクヤは笑顔で、その右手を…、
拘束されている、俺の右手でも、届く距離に、突き出した。
「僕たちは…”黒の悪魔”を復活させ…世界を支配しようとしている、
高潔の白色隊(ホワイトノーブル)を止めるため、立ち上がった組織です。
”黒の悪魔”の、真の消滅…”悪魔よ、深淵に”。ただ、それだけを、願う…
…僕たちは、深淵の黒色隊(ブラックアビス)。
一緒に…ホワイトノーブルの真の野望を阻止して、世界の平和を、守りましょう!」
そう言って、サクヤはニコッと笑う。
その顔は…やっぱりどこか、アオ兄に、似ていた。
「まあ、そういうわけよ!」
ノヴァンも、ニヤッと笑って。
椅子から立ち上がり…右手を、サクヤと同じように、俺に差し出した。
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