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第二章:新しい世界
ヒマリの決意
しおりを挟む「それで…。報告、というのは?」
ブレイズ隊長が、冷静な声で、二ジィール隊長に問いかけた。
「あぁ。そうだったな。
報告では…
ミタ山周辺に…ヨウ・オリーヴァーの姿は、すでに、無いそうだ。」
(もう…ミタ山には、いない。)
…確かに、あれからもう…2日も、経っている。
ミタ山に行きたいと、ブレイズ隊長に交渉していたけど。
…頭では、いつまでもあそこにいるわけ無いって…分かってた。
でも…
「じゃあ…、ヨウは、どこに…?」
私は、誰に言うでもなく。
そう、思ったことを、つぶやいていた。
私のつぶやきが、聞こえたのかは分からないけど。
二ジィール隊長が、そのまま話を続ける。
「ヨウ・オリーヴァーの行方は…そのまま、捜索中だそうだ。
だが、手がかりが…無いわけではない。
ジャアナの住人の目撃情報をまとめると…
『意識を失った…ヨウらしき少年を、複数の人間が、連れ去っていった。』
『連れ去ったのは…。闇に溶け込むような、真っ黒な軍服を着た、2人組だった。』
だ、そうだ。」
「真っ黒の、軍服…。」
ブレイズ隊長が、顎に手を当てて、考え込む。
「つまり…”黒の悪魔”は、生きている可能性が高い…って、ことですわね。」
チェリーナ隊長も、神妙な顔つきで、つぶやいた。
「そういうことに…なるな。
”黒の悪魔”を連れ去って…一体、どうするつもりなのか。
ま…良からぬことなのは、確かだな。」
二ジィール隊長も、真剣な様子で答える。
私は…
「ヨウをっ!”黒の悪魔”を、探しましょう!
このままには…しておけませんっ!!」
ホワイトノーブルをまとめる、最強の3人に…
…懇願するように、そう、主張した。
「私も…私にできること、何でもやりますっ!だから…っ。」
お父さんとお母さんの顔を思い出して…溢れそうになる涙を、必死にこらえる。
「私…っ!戦いますっ!
絶対に…ヨウ…”黒の悪魔が、死ぬまで”…!」
…私の、必死の訴え。
3人の隊長は、黙って最後まで、聞いてくれていた。
そして…
「…そうね。”黒の悪魔”は、私達、人類にとって脅威…。
平和を守る、ホワイトノーブルのチカラで、必ず…この世から、抹消しましょう。」
「お前も…【黒の再来】で…大変だった、そうだな。
”黒の悪魔”、俺たちで絶対…倒そう。世界の、平和のために。」
チェリーナ隊長と、二ジィール隊長が、
それぞれ、私の決意に、同意してくれた。
そして、いまだ…1人だけ。
口を開かずに…考え込んだままの、ブレイズ隊長に。
「ブレイズ…隊長…?」
私は恐る恐る…声をかけた。
すると、
私の呼ぶ声に、ハッとして…
「あぁ…。もちろん、ですよ。
ホワイトノーブルの手で、必ず…。世界を、平和にしてみせます。」
いつもの…私の安心する優しい笑顔と声色で。
ブレイズ隊長は、そう答えてくれた。
「考えていたのですが…。
真っ黒の隊服に、少し…心当たりがあります。」
ブレイズ隊長は、先程の微笑みから…
また、真剣な表情に戻って、私達に言った。
「なにっ!?ほんとか!」
「本当ですか!さすが、ブレイズ隊長っ!」
二ジィール隊長とレンが、嬉しそうに反応する。
「わたくしが、調べましょうか?」
チェリーナ隊長が、そう提案する。
「いえ…。今回は、私が調べましょう。
ユンナさんには…、2人の、”チカラ”を、見てもらいたい。」
そう言って、ブレイズ隊長は、私達に向き直る。
「ユンナさんは、”暖色系”の隊長です。
君達2人のカラーズは…”禁色”の赤みがかった黄色…黄丹。それに、赤みがかったオレンジ色…赤橙。
配属は、間違いなく”暖色系”になります。」
ブレイズ隊長は、優しく、諭すように。私達に、そう言った。
「ユンナ・チェリーナ隊長は、暖色系の”チカラ”を、極めています。
きっと、色々なことを、教えてくれるでしょう。」
最後には…ニコッと笑いながら
「”黒の悪魔”の居場所が分かったら…必ず、2人に伝えます。
その時には…君達2人が、今よりもっと強くなって…
…私と、一緒に。共に戦ってくれると、信じています。
世界を平和に。
私達ホワイトノーブルの手で、必ず…。」
私とレンの頭を、
片手ずつ、ポンポンと。優しく、撫でるように叩く。
「「はいっ!!!」」
私とレンの決意は、ピッタリと重なった。
(部隊は”暖色隊”だけど…。
私は、これから…ブレイズ隊長に、ついていく。
敵(かたき)をうつため、世界の平和のため…
……”黒の悪魔が死ぬまで”…!)
私は、声に出さずに。
静かに、だけど…強い気持ちで。改めて、そう、決意した。
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