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第二章:新しい世界
面倒見の良い人
しおりを挟む「…ったく!
なぁ~にが、”自信が服を着て歩いてる”、だ!
そんなやつ…ほんとにいたら、”イタイやつ”だろ…!」
ついさっき、ハナ隊長とサクヤ隊長に、言われたこと。
ノヴァン隊長は…
2人と別れて、俺と2人だけになった今でも。
まだ…気にしているようだった。
「まあ…。自信があるのは、良いことだと思いますよ。」
「お前それ…フォローになってないからな?
…つーかむしろ、肯定してんだろっ!」
そう言って、目の前に立っていたノヴァン隊長は…
…俺の視界から、消えて。
ーーぐいっ!!
「うわぁ!!!」
気付いたら…
…視界いっぱいに、青空が、広がっていた。
「ワハハ!俺の勝ちぃ~!!!」
その青空に、嬉しそうなノヴァン隊長の顔が。
上から覗き込むように、入ってくる。
俺は、一瞬のうちに…投げ飛ばされて。
芝生の上に、仰向けに…転がされていた。
やっぱり…
「…大人げない。」
俺は、そう…つぶやかずには、いられなかった。
なんで
こんなことになっているのかというと…
さっきまでいた、あの…薄暗い部屋は、やっぱり地下室で。
俺の…”入隊宣言”も、終わり。
そこから出た、隊長3人と、俺。
これから…どうするのかと、思っていたら…
「よっし!朝の運動がてら、早速…
…修行するぞ、ヨウ!」
そう、元気よく告げたノヴァン隊長に連れられて。
地下室を出た足で…そのまま建物の外、すぐ目の前にある、
公園のような…芝生の広がる場所に来ていた。
「俺を倒すつもりで…自信持って、向かってこいっ!!!
…あ!自信と言えば…!さっきのあいつらさぁ~!!!…」
…とまあ、こんな感じで。
組手の最中に、話しかけられ…。
冒頭のやり取りを経て…
…一瞬で、芝生に投げ飛ばされた、俺。
「大人げなく…ないっ!
戦いとは、常に厳しいものなのだよ。」
ハハハと、機嫌よく笑っているノヴァン隊長を、起き上がりながら…改めて見る。
(瞳の色…変わって、ないな。)
つまり…
チカラは、使っていない。
それなのに…
(…動きを、目で…追えなかった。)
チカラとは関係なく…身のこなしの問題なのか?
いや…それとも…瞳の色が変わらずに、チカラを…?
そんなことを、考えていると
「ヨウの実力は、今のでだいたい分かったな!」
「…へっ?今ので!?」
「おう、十分!
…まだまだ、弱っちいな!」
また、嬉しそうに笑っている。そして…
「お前は…
…この俺、”タケト・ノヴァン”が率いる、
特別な人間しか入れない…”特色隊”の、一員になるんだ。
もっともっと、強くなってもらわないと、俺が困んだよ~!
ま!これから毎日、たっっぷりしごいてやるからな!覚悟、しとけよ?」
俺は、さらっと…大事なことを、言われた気がした。
「タケト・ノヴァン隊長の…特色、隊?」
「おお、そうだぜ!
知ってると思うが…カラーズは、大きく分けて…”暖色”か、”寒色”か、だ。
厳密には中性色…なんてのもあるけど。
ま、だいたいのカラーズは近い色で…暖色か寒色かに、分類される。
ただ…
…そんな、一般的な2択に、分けられない色。
そんな特別なカラーズを持つものだけが…俺の、”特色隊”に、入れるのだっ!!」
ビシッと、俺を指差して。
ノヴァン隊長が、キメ顔のまま、続ける。
「ちなみに…
…50人くらいいるブラックアビスで、
特色隊は…俺と、お前だけだ!どうだ、光栄だろっ?」
ノヴァン隊長と…
「…俺だけっ!?」
嬉しそうなノヴァン隊長とは対称的に…
俺は、びっくりしたまま。その場に…固まってしまった。
「なんだよ、そのリアクション!もっと嬉しそうにしろよ~。」
実はさっき…
…地下室を、出た時に。
前を歩いていた俺と、ノヴァン隊長の…すぐ、後ろ。
ハナ隊長とサクヤ隊長の会話。
偶然耳に入ってきた、その会話を思い出す…
『これで、新しく入隊する子、4人…ってわけね。』
『えぇ。ヨウ君以外の3人のうち…
発現者の2人は、僕と…ハナさんの部隊に1人ずつ、ですね。』
『そうね~。どの班に、配属してもらおうかな~。』
『僕は…、ひとまず、僕の班に入ってもらおうかな。』
『うちに来る子は…面倒見が良くて、優しい子の多い班に、しようかな。』
…なんて話が。
外に出るまで…盗み聞こえてきていた。
要するに…
”部隊”の中で、さらに細かく…少人数の班に、分かれているらしく。
だから…俺も…
「面倒見の良い…優しい先輩と…同じ班って…。」
(…思って…たのに!)
つい、正直に思ったことが。
最初の部分が…口に、出てしまっていた。
俺の、心の叫びを聞いた、ノヴァン隊長は…
「はぁ?
面倒見の良い…優しい先輩と…同じ班?
それって…
…俺のこと?ほんとのことだけど、照れるわぁ~。」
…盛大に、勘違い…してくれた。
(やっぱり…”自信が服を着て歩いてる”な…。)
今回は、その自信に助けられた…と思いつつ。
この、優秀だけど…どこか子どもっぽい隊長と…
(2人きりで…大丈夫、かな?)
少しだけ、不安を覚えながらも…
「あの…”特色隊”ってことは…
俺のカラーズが…”特色”って、ことですか?
っていうか、今の俺のカラーズって…”深紅”?”深緑”?…”黒”?」
ずっと、引っかかっていたことを、質問した。
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