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World1 突き飛ばされて異世界転生したら勇者になってくれと言われたんだが
33話
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突如エレクト村に出現した、空想上の生き物竜。
村の人々はその恐ろしい巨体を目の前にして、ただただ逃げ惑う事しかできなかった。
「おい、あの竜姿が変わっていないか」
「そんなことある訳ないじゃない」
「ちゃんと見てくれよ」
「だからそんなこと…、えっ…」
「おい、前はまだ動かないのか‼」
「誰かが前で門を塞いでるみたいだぞ」
「誰だよこんな時に…、押しのけちまえ!」
「やってるみたいだけど、返り討ちにされてるみたいだ」
「くそっ、こんな事で死にたくないぞ…」
何気ない日常が地獄へと一変してしまう。そんな生活を想像できるであろうか。
人々は、自分が地獄へと迷い込んだ時、何を感じ、どう行動するのだろうか
―――――――――――――――
突如、第二形態へと進化した竜。俺たちは目の前で起こっている事に頭が追い付かず、混乱を極めていた。
「アスカ、この状態の竜について何か知っていることはあるか」
「すみません、竜が姿を変えるなんて想像もできませんでした。攻撃のパターンも全く予想できません」
「勇者、竜が逃げていくわよ」
クラルテの指さす方を見ると、姿が変わった竜が1回り大きくなったその翼を大きく羽ばたかせ、大空へと舞い上がっていった。
「タカヒコ、早く竜を追ってください」
「あぁ、分かった」
アスカの迫真の気迫に押され、俺は二つ返事で竜を追う事を了承し、再び大空へと戻っていった。
「見えた」
雲を抜け、村が米粒ほどの大きさに見える、そんな高さまで飛び、やっとのことで竜に追いつくことができた。
竜はその大きな翼を上、下、また上と上下させ、その巨体を空中で静止していた。いったい何をしているのだろう。)ピカッ
一瞬目の前が光に包まれたかと思うと、次の瞬間には青白い炎が俺の目の前まで迫ってきていた。俺は咄嗟の事で、急降下しどうにか直撃は免れた。
先ほどまでの赤い炎の攻撃とは違い、明確に殺意がこもった一撃、そんな感じを抱かさせる攻撃であった。
「なんなんだ、あの青白い炎は…」
俺が、体勢をもとの状態に戻そうとしたその時、再び竜は青白い光を俺に向かって放った。先ほどとは違い、体勢は整り切っていなかったので、その不意打ちに俺は対応することができなかった。
死を覚悟し、力強く目をつぶる事、それが俺に残されたできる事であった。
真っ青な炎が俺を包み込み、焼き尽くしていった。………
「あ…れ…?」
いつになっても想像していたような体を焼き尽くすような感覚は襲ってこない。恐る恐る目を開けると、そこには竜の吐いた炎を軽々と受け止めている人の姿があった。
普通なら、というより、ラノベの世界なら、俺はこの命の恩人に感謝し、あわよくば仲間になり冒険を共にする、なんて言う事もあるかもしれないが、今回は逆だ、俺は目の前の命の恩人に対して警戒心を抱いた。なんて言ったって、目の前の命の恩人は、純白の翼がないにもかかわらず、大空を飛んでいるのだから。
「神よ、大空よ、雷よ、我に宿りし古より受け継がれし、この力を開放せよ。
雷雲!」
命の恩人がそう唱えると、竜を真っ黒な雲が覆い、眩いほどの閃光が走った。雲が晴れると、竜の姿はもうそこにはなかった。
「なんなんだ、一体…」
俺は目の前で何が起こったのか、全く理解できなかった。頭が追い付かなかったという方が正しい表現かも知れないが、ただ、竜が倒されたという事実が俺にその事が恐怖であることをひしひしと物語っていた。
「お久しぶりだね、勇者タカヒコ」
名前を呼ばれ、後ろを振り向く。声の主もまた、大空を飛んでいたのだが、俺はそれよりも、声の主の正体に驚いた。
「…!なっ、なぜお前がここに‼」
「お前とは失礼な、私にはデストリュクシオンという立派な名前があるのだから、是非それで呼んでほしいものだがなぁ、勇者タカヒコよ」
「魔王がここにいるという事は、竜を倒した彼女は魔王軍の幹部ということだよな」
「ほほぉ、素晴らしい。ご名答だよ、勇者タカヒコ。エレクト、勇者タカヒコに自己紹介を」
「仰せの通りに、我が主。初めまして、勇者タカヒコ。私は魔王軍幹部で電気魔法の使い手、エレクトでございます。以後お見知りおきを」
「…なぜ、なぜ俺を助けたんだ」
「助けた。まぁ、そういう事になるのかな。そうだねぇ、ここで貴様に死なれては困るから、これに尽きるよ」
どういうことだ、魔王は一体何を言っているのだ。魔王は自分の脅威である勇者がいなくなればいい、そう思っているのではないのか。確かに、俺は弱い弱しい勇者であり、今の俺では魔王の足元にも及ばないであろうことは重々承知している。でも、未来を見据えた時、俺は魔王の脅威となることも考えられなくはない。それでも、なぜ魔王は俺に死なれて困るのか、ますます魔王が言っていることが理解できなかった
「そ、それはどういう意味だ」
「直に分かるさ。さぁ、私たちはこのあたりで失礼しようかな」
「ちょっと待て!」
「それでは、勇者タカヒコ。また会える日を楽しみにしているよ」
魔王はそう言い残すと部下のエレクト共に風となって大空へと消えていった。
一人空に残された俺は、目の前で起きた理解しがたい状況にただただ呆然とすることしかできなかった。
村の人々はその恐ろしい巨体を目の前にして、ただただ逃げ惑う事しかできなかった。
「おい、あの竜姿が変わっていないか」
「そんなことある訳ないじゃない」
「ちゃんと見てくれよ」
「だからそんなこと…、えっ…」
「おい、前はまだ動かないのか‼」
「誰かが前で門を塞いでるみたいだぞ」
「誰だよこんな時に…、押しのけちまえ!」
「やってるみたいだけど、返り討ちにされてるみたいだ」
「くそっ、こんな事で死にたくないぞ…」
何気ない日常が地獄へと一変してしまう。そんな生活を想像できるであろうか。
人々は、自分が地獄へと迷い込んだ時、何を感じ、どう行動するのだろうか
―――――――――――――――
突如、第二形態へと進化した竜。俺たちは目の前で起こっている事に頭が追い付かず、混乱を極めていた。
「アスカ、この状態の竜について何か知っていることはあるか」
「すみません、竜が姿を変えるなんて想像もできませんでした。攻撃のパターンも全く予想できません」
「勇者、竜が逃げていくわよ」
クラルテの指さす方を見ると、姿が変わった竜が1回り大きくなったその翼を大きく羽ばたかせ、大空へと舞い上がっていった。
「タカヒコ、早く竜を追ってください」
「あぁ、分かった」
アスカの迫真の気迫に押され、俺は二つ返事で竜を追う事を了承し、再び大空へと戻っていった。
「見えた」
雲を抜け、村が米粒ほどの大きさに見える、そんな高さまで飛び、やっとのことで竜に追いつくことができた。
竜はその大きな翼を上、下、また上と上下させ、その巨体を空中で静止していた。いったい何をしているのだろう。)ピカッ
一瞬目の前が光に包まれたかと思うと、次の瞬間には青白い炎が俺の目の前まで迫ってきていた。俺は咄嗟の事で、急降下しどうにか直撃は免れた。
先ほどまでの赤い炎の攻撃とは違い、明確に殺意がこもった一撃、そんな感じを抱かさせる攻撃であった。
「なんなんだ、あの青白い炎は…」
俺が、体勢をもとの状態に戻そうとしたその時、再び竜は青白い光を俺に向かって放った。先ほどとは違い、体勢は整り切っていなかったので、その不意打ちに俺は対応することができなかった。
死を覚悟し、力強く目をつぶる事、それが俺に残されたできる事であった。
真っ青な炎が俺を包み込み、焼き尽くしていった。………
「あ…れ…?」
いつになっても想像していたような体を焼き尽くすような感覚は襲ってこない。恐る恐る目を開けると、そこには竜の吐いた炎を軽々と受け止めている人の姿があった。
普通なら、というより、ラノベの世界なら、俺はこの命の恩人に感謝し、あわよくば仲間になり冒険を共にする、なんて言う事もあるかもしれないが、今回は逆だ、俺は目の前の命の恩人に対して警戒心を抱いた。なんて言ったって、目の前の命の恩人は、純白の翼がないにもかかわらず、大空を飛んでいるのだから。
「神よ、大空よ、雷よ、我に宿りし古より受け継がれし、この力を開放せよ。
雷雲!」
命の恩人がそう唱えると、竜を真っ黒な雲が覆い、眩いほどの閃光が走った。雲が晴れると、竜の姿はもうそこにはなかった。
「なんなんだ、一体…」
俺は目の前で何が起こったのか、全く理解できなかった。頭が追い付かなかったという方が正しい表現かも知れないが、ただ、竜が倒されたという事実が俺にその事が恐怖であることをひしひしと物語っていた。
「お久しぶりだね、勇者タカヒコ」
名前を呼ばれ、後ろを振り向く。声の主もまた、大空を飛んでいたのだが、俺はそれよりも、声の主の正体に驚いた。
「…!なっ、なぜお前がここに‼」
「お前とは失礼な、私にはデストリュクシオンという立派な名前があるのだから、是非それで呼んでほしいものだがなぁ、勇者タカヒコよ」
「魔王がここにいるという事は、竜を倒した彼女は魔王軍の幹部ということだよな」
「ほほぉ、素晴らしい。ご名答だよ、勇者タカヒコ。エレクト、勇者タカヒコに自己紹介を」
「仰せの通りに、我が主。初めまして、勇者タカヒコ。私は魔王軍幹部で電気魔法の使い手、エレクトでございます。以後お見知りおきを」
「…なぜ、なぜ俺を助けたんだ」
「助けた。まぁ、そういう事になるのかな。そうだねぇ、ここで貴様に死なれては困るから、これに尽きるよ」
どういうことだ、魔王は一体何を言っているのだ。魔王は自分の脅威である勇者がいなくなればいい、そう思っているのではないのか。確かに、俺は弱い弱しい勇者であり、今の俺では魔王の足元にも及ばないであろうことは重々承知している。でも、未来を見据えた時、俺は魔王の脅威となることも考えられなくはない。それでも、なぜ魔王は俺に死なれて困るのか、ますます魔王が言っていることが理解できなかった
「そ、それはどういう意味だ」
「直に分かるさ。さぁ、私たちはこのあたりで失礼しようかな」
「ちょっと待て!」
「それでは、勇者タカヒコ。また会える日を楽しみにしているよ」
魔王はそう言い残すと部下のエレクト共に風となって大空へと消えていった。
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