ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ

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23.戦闘開始

『いけぇぇぇええええええええええええええええ!!!』

 一斉に敵へと向かって走り出した。
 だが、誰も戦ったことのない相手。それどころ、初めて見る魔物だ。
 どんな攻撃を仕掛けてくるのか全く予想できない。

「俺たちも行こう」
「うん!」

 俺とサリナも他の人たちに続くようにして武器を構えて走り出す。
 出し惜しみして負けたら元も子もない。

 俺はそう思い、変形武器を最初から手にしていた。
 サリナも俺と同じ考えのようだった。

『ヒィィィィィィブフォォォォオオオオン!!!』

 走り出す俺たちを見た敵も雄叫びのようなものを上げながら向かってくる。
 とりあえず、あの額に生えた刃には気を付けないとな。

 まだ敵とは距離がある。
 この変形武器の弓を使うには今が最適なタイミングかもしれないな。

 俺はサリナを確認する。
 サリナは俺の意図を察したようでこくり、と頷いた。

 俺は弓に矢をつがえて射る。
 隣のサリナは同じタイミングで変形武器の狙撃銃で敵に照準を合わせ、引き金を引く。

「くらえ!!!」
「いけぇっ!!!」

 俺の放った弓矢は勢いよく飛んでいき、速度を一度も落とさないどころか段々と加速させながら敵の方へと向かっていった。
 その弓矢の後ろからはサリナの撃った銃弾も加速している。

 弓矢と銃弾は敵の前足に直撃した。

「当たった……けど……」
「平然と立ってるね」
「やっぱり魔法も一緒に使うべきなのかもしれないな」
「そうだね。幸い今回の戦いにはいろんな人たちが参加してくれてるから魔法を準備する時間は十分にありそうだね」

 今日、参加している人の中に軽い気持ちで参加している人は絶対にいないだろう。
 そんな彼らが前衛で戦ってくれているのだ。

「サリナ、準備はいい?」
「うん、いつでも大丈夫」
「よし、それじゃあ魔法の用意をしようか」
「わかった。やっぱり速度と威力を上げるなら雷系の魔法だよね?」
「ああ、そうだな。雷系魔法でいくか」
「オッケー」

 呼吸を整え、俺たちは魔法を放つ用意をする。

 体中に巡る魔力を右手に集中させて、そこから弓矢へと流す。
 弓矢がバチバチッと雷を帯び始める。

 今回はいつもよりも時間をかけることができたため、強力な魔法を放つ用意ができた。相手は一体ではなく大量にいるのだから、強力な魔法でなければ敵全体にダメージを負わせることは難しいのだ。
 これは、前衛の人たちが頑張ってくれているお陰だな。

「俺は準備できたぞ」
「私もちょうど今、準備できたよ! いつでもいける!」
「いくぞ!」

 俺の魔力を帯びた弓を強く引いて、放つ。

「【雷の矢サンダー・アロー】」

 矢は雷を纏いながら敵方向へと一直線に飛んでいく。

「【雷の銃弾サンダー・バレット】」

 サリナも雷を纏わせた銃弾を敵方向へと撃つ。

 俺たち二人が放った矢と銃弾は前衛で戦ってくれている人たちよりも奥にいる魔物たちに向かって行く。奥にいる魔物たちを倒していかないと、前衛の人たちが疲弊していくだけになってしまうからな。

「前衛の方々は味方の攻撃に当たらないよう気を付けてください!」

 敵ばかりに集中しすぎて味方の攻撃範囲内に入ってしまって味方の放った攻撃に当たってしまう可能性も少なくないので、俺は出来るだけ大きな声で注意喚起を促した。

 矢と銃弾は、奥にいる大量の魔物たちがいる地面に直撃する。
 端から見れば俺たちの攻撃は外れてしまったのか、と思うかもしれないが俺たちの目的は魔物に直撃させることではない。広範囲に攻撃を与えることだ。
 つまり、俺たちは狙い通りの場所に攻撃を放てたのだ。

 矢と銃弾が直撃した地面は爆発し、雷がその地面から魔物たちに流れていく。

『『『ヒィィィブフォフォフォォォォォオオオオオオオオオオン!!!』』』

 魔物たちは苦しそうに叫び声を上げている。
 中には矢と銃弾が当たった地面のすぐ近くにいたせいで直撃はしていなくても直撃したのと同じくらいの威力の雷をその身に受けてしまい、口から泡を吹きだしているやつもいた。

 地上に近い場所に生息している魔物なら確実に息絶えていただろうが、流石だ。
 今の攻撃を受けても、口から泡を吹いていても、ほとんどがまだ意識を保てている。

 だが、俺たちの目的は地面を爆発させ、雷の攻撃を与えることだけではない。

 地面を爆発させた振動により、壁の一部が崩壊し、岩や折れた巨大な木の枝などが落ちてくる。
 魔物側の壁だけが崩壊しているため、その岩や木の枝は魔物たちの方へと流れていく。

 俺とサリナが奥の魔物を狙ったのは、前衛の人たちには攻撃を当てずに魔物だけに攻撃を当てる。それでいて、広範囲攻撃を当てたかったからだ。
 俺たちの狙いは予想通りに上手くいったようだった。

 多くの魔物が岩や木の枝に潰されていく。

『避けろぉぉぉおおおおおおおおお!!!』

 一人の男が突然、そう叫んだ。
 俺は困惑したが、その意味をすぐに理解することとなった。

「ユウくん危ない!!!!!!」
「え……? ぐ……ッ……う……」
「ユウくん!!!!!!」

 俺は腹の中央に痛みを感じた。
 恐る恐る腹を見てみると、そこには刃が刺さり大量の血が流れていた。

 どういうことだ……?

 何が起きた……?

 俺は腹を押さえながら、魔物たちの方に目を向ける。
 そこには、岩に潰されながらもギリギリ生き延びたと思われる魔物の額からゆっくりと刃が生えていく瞬間を目の当たりにした。

 は?

 今、刃が生えている。
 え? 元々、生えてなかったか?

 ――避けろぉぉぉおおおおおおおおお!!!

 男の叫んでいた言葉を思い出した。

(ああ、そういうことか)

 恐らく、あの魔物は額の刃を俺に向けて飛ばしたのだ。
 つまり、この腹に刺さっている刃はあいつの額に生えていた角か……。

「ヤバいなこれ」
「ユウくん!!!」

 サリナが涙を流している。

「大丈夫だサリナ。俺はまだ生きてる」

 俺の言葉を聞いたサリナは一瞬、安心した表情を見せたがすぐに不安そうな表情に戻った。
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