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『付いてる娘』③

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『付いてる娘』③
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 抱き合って、ヴィランがしばらく停止する。

 勢い的に、そのまま一気に服の下にでも手を入れて来そうな雰囲気だったのが急にだ。
 ただ、抱きしめられてるだけでもめっちゃ興奮してる。
 体が大きくて、力強くて、このまま押し潰されちゃうんじゃないかって体格差。

 キュンキュンする。
 魔力を使ってるわけでもないのに下腹部が熱を持つ。
 女の子なら子宮があったであろう場所だ。

「……お前、男だったのか?」

「なんだ、今更気づいたのか」

「……」

 密着すれば体のあちこちが当たる訳で。
 僕がヴィランの胸板やらを堪能してるのと同じように、ヴィランも僕の体を感じているのだ。
 しかも、僕の興奮しておっきくなっちゃってたし。

 そりゃ、気づくよね。
 でも、今更気がついてももう手遅れだ。
 だって……

「言ったろ、あんた随分特殊な性癖だなって」

「いや、俺に男の趣味は」

「そうは言っても、僕が男だと分かってますます大きくなってるぞ」

「……」

「本当に変態だな。まぁ、僕も人のこと言えた義理じゃないけど」

 男のモノなんて気持ち悪いとしか思えなかったはずなのに、どうしてだろうな?

 しかも、密着してるのに。
 大きくなったヴィランのアソコを体で感じて、もの凄く逞しく魅力的に感じる。
 包まれてる現状に安心して、どこかリラックスしている。

 なんだかんだ、ストレスだったのだ。

 自分の命が掛かってるなんていう今の状況もそうだし、
 妹に裏切られて生贄にされた事も、
 幼い頃から信じて疑わなかった魔法少女って存在がただのまやかしだった事も、

 今だけは、そんな物事が全てどうでも良く思える。
 ヴィランの胸に包まれている間は。
 目の前の男の事で頭がいっぱいで、他のことなんて考えられない。

「あなた、もう二度とこんなに興奮できないよ」

「は?」

「多分、男でも女でもダメなんだ。もともとその毛があったのかは知らないけど、今のあんたは女だと思って抱こうとした僕が男だった事そのものにも、男だと理解した上でまだ抱こうと思える自分自身にも興奮を覚えてる。そうでしょ?」

「いきなり、何を言って」

「女だと思っていた相手、でも本能的な部分できっと違和感を覚えていた相手だ。女から感じる魅力とは別の何か、それに今まで好きに女食いまくって来たあなたの何かが反応しちゃった」

「……」

「今の興奮は最初だからだ。しかも、僕が魔法少女っていう女前提の相手だったからだ。貴方は二度と騙されないし、二度と自分の目を騙せない。男かも、そう思った時点でこんなに興奮できない」

 ヴィランはただ呆然としている。
 でも、アソコは依然として大きなままだ。
 体は正直って奴?

 つくづく、知的生命体は性欲には抗えないらしい。
 僕も含めて。
 ほんとに呆れるレベルだ。

「そう、かもな」

「でしょ?」

「全く、俺以上に俺を理解した様な事言いやがって」

「似てたからじゃない? 僕もまさか男で興奮するとは思わなかったし」

「嫌な似たもの同士だ」

「本当に?」

 そっとヴィランのアソコに手を伸ばす。
 体に当たっていたのとは違う。
 しっかりと手の触覚で形を感じる。

 さっきまで先輩を犯していたモノだ。
 気持ちよさそうに喘がせていた。
 そして、これから僕を犯してくれるモノだ。

 大っきい。
 硬い。
 僕の愚息子とは大違いだ。

「……この、変態め!」

「あっ♡ いきなり」

 自然と声が出た。
 自分の声とは思えない。
 男に媚びた声だ。

 恥ずかしい。
 顔が真っ赤になる。
 でも……

 このヴィランのせいで出たと思うと、悪くない。

「お互い離れられねぇってことかよ」

「そうだよ、運命共同体ってやつ」

「なら遠慮なく、その方がお好みだろ?」

「んっ♡ よく、分かってるじゃないか」

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