ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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七章

散策 6

「へい、お待ち」
「おぉ!」
「美味そう」

 少し経って、魚料理の方が運ばれてきた。
 時間があったからな。
 つい話し込んでしまった。
 価値観の違いが出たが。
 前世のせい。
 では、ないよな。
 俺の倫理観が……
 ま、一生夏休みみたいな生活してればな。
 そんなこともあるか。

 それよりも、料理だ。
 美味そうな匂い。
 時間かけて調理してただけある。
 包み焼きと言うのだろうか。
 大きな葉っぱに包まれている。

 これも山菜かな?
 おそらく火に強い種類なのだろう。
 アルミホイル代わり。
 とことんそれ尽くしの店だ。
 まぁ、売りなのだろう。

 植物が火に強いと言うのも不思議な気はするが。
 異世界だしな。
 それに、ここまで極端じゃ無いにしてもだ。
 火に強い植物というのは前世にもあった。
 葉一枚で耐性があるなんていうのは流石に知らないけれど。
 あれは木だったか。
 わざと雷を落として山火事を誘発させ。
 周囲の植物を焼き。
 焼け野原で自らの生息域を広げるという。
 なかなかに殺意の高い植物。
 異世界でも通用する程度にはファンタジー色強めである。
 って、山菜はいいのだ。
 この料理のメインは言うまでもなく魚。

 大皿に、1匹がドンと置いてある。
 確かに形がいいな。
 山の近く。
 ほぼ渓流みたいな場所なのに。
 60センチはありそう。
 川幅は狭く、流れが早い。
 多分、尺を越えれば大きい方のはず。

 あの環境でよく生きていけるものだ。
 流石に源泉付近じゃないだろうけど。
 下流まで行けば。
 それこそ、奴隷を洗った温泉プールぐらいの温度の場所。
 あの辺りで取れたのだろうか?
 温度も下がるし。
 酸性の度合いも幾分かマシになる。

 ま、そもそも魚自体も前世より丈夫だしね。
 源泉でもなければ。
 案外、適応出来るのかもしれない。

「デカいっすね」
「だな」
「こんなのが川で……」
「流石、ここの店主のおすすめなだけある」

 ぺらっと、魚を包んでいた葉っぱを剥がす。
 元からいい匂いではあったが、閉じ込められてた空気が一気に解放。
 湯気が溢れるように登る。
 それが直接嗅覚を刺激。
 さっきまで山菜の味を生かした、優しめの料理を食ってたせいか。
 口内に涎が……
 こりゃ、絶対美味いやつだな。

 一つの皿に盛られてる訳で。
 2人でつつくことになるが。
 ま、俺たちおっさん同士だしな。
 気にはならない。
 向こうが気にするってならあれだけど。
 先に手を伸ばしてるし。
 問題はない。

 いただきます!

 綺麗な白身だ。
 皮との間にも油がたっぷり。
 はむ。

 ……え?
 これ。

 見た目は普通の白身魚。
 だけど、味がマスに近い気がする。
 マスだ。
 サーモンとか、シャケとか。
 いや、色々違うんだけど。
 でも、大筋ではその系統の味だ。

 白いのは餌の問題だろうか。
 いや、そもそもこの世界じゃピンクになるとも限らないしな。
 見つけた。
 こんな身近にいたとは。

「どうだ? って、何涙ぐんでやがる」
「いや、泣いてはないですよ。ちょっと感動しただけで」
「そんなにか。確かに美味いが」
「昔食べてそれからずっとこの味を探してたので、つい」
「思い出の味ってやつか」
「まぁ、そんな感じですね」

 魚を食べるってなったら、港町まで行ってたからな。
 いや、もともと好きだからノームではたまに川魚を食べてたんだが。
 物足りないし。
 わざわざ温泉街で食べるって発想にならなかった。
 山の幸の方がうまいだろって勝手な先入観。
 まさか、求めてたものがこんなすぐそばにあったとは。

 おっちゃんには感謝だな。
 もし、この店紹介されなかったら。
 ずっと気づかないままだったかもしれない。
 見た目も何もかも違うからなぁ。
 顔も、身も。
 偶然気づく可能性は低かっただろう。
 これからは好きな時に食べられる。

 宿に奴隷預けるのも相まって。
 こりゃ、温泉街に来るの冬だけで済みそうにないな。
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