ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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七章

散策 12

 女将と目が合う。

「いや、これは違くっ……」

 咄嗟に言い訳しようとした瞬間。
 パクリと。
 息子を食べられてしまった。
 言葉に詰まる。
 ちょっ、獣っ娘さん状況分かってます?
 女将さんいるから。
 見られてるから。
 もう少しだけ待ってださい。

「?」

 手で制するも、首を傾げるだけ。
 すぐに再開しようと口を近づける。
 おい!
 恥ずかしかったりとか無いの?
 このままだと俺。
 色んな意味で、死ぬ気がするんだけど。

 いや、別に責められる言われはない。
 強制とかしてないし。
 獣っ娘の方から手を出してきたのだ。
 仮に強制したとして。
 俺の奴隷だし。
 自分の奴隷とそういう事して責められる理屈はない。
 ないのだが……
 何故だろうか。
 謎に後ろめたい気持ちの俺がいる。

 女将が部屋に上がる。
 そのまま、俺と獣っ娘の近くまで。
 何で黙ってるんですか?
 怖いんですけど。
 別に怒ってるようには見えない。
 でも、時には真顔の方が恐ろしいと言うか。

 一瞬、美人局という言葉が頭をよぎる。
 いやいや。
 俺の奴隷だし。
 それはない。
 自分の奴隷に美人局かけられるのは前代未聞。

 ……って、言うほどでもないか。
 時の権力者って大抵。
 奴隷って言われて差し出された女が実は演技してただけとか。
 いくらでも聞いたことある。
 いや、大丈夫でしょ。
 契約の時魔法ちゃんとかかってるの確認してるから。
 さっき疑ったせいで不安だが。
 うん、問題ないはず。

「あ、あの女将さん。これはですね」
「待ってるように言ったのに」
「え?」
「ロルフ様と先始めちゃってたのね」

 どゆこと?
 獣っ娘を見る。
 こくんと頷く。

 いや、頷かれましても。
 意味わからないから。

「どうかいたしましたか?」

 俺の表情に気づいたのか、女将がそんなことを聞いてくる。
 どうかいたしましたかじゃないが?
 全くもって意味不明。
 とりあえず懸念したような事態ではないって事は確か。
 怒ってるようには見えないし。
 それどころか。
 今の状態も、女将にとっては事前に知ってたとでも言いたげな様子。

「怒ってたり、とか?」
「お客様が自分のお部屋でなさる事に、目くじら立てたりはいたしませんよ」
「ですよね」
「あんまりお声が大きいとかならともかく」

 あ、はい。
 そこは気をつけます。

 じゃなくて、

「えっと、俺に何か用事でも」
「そうですねぇ。ロルフ様に用事と言うよりは、彼女に」
「?」
「この娘にお願いされてしまって」
「お願い、ですか?
「経験ないから教えて欲しいって」
「それって、そういう」

 いや、これから女将さんに見られながら。
 それどころか、教えられながらするって事?
 どんなプレイだよ。

 ……でも、グッジョブ獣っ娘。
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