ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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十章

生徒 7

 おっちゃんと駄弁りつつ。
 屋台を飲み歩き。
 何だかんだ、あっという間に時間も潰れた。
 そろそろ学園の方行きますか。

 考えてみれば、やってること昨日と全く同じだな。
 昼間っから飲み歩いて。
 午後にちょっとだけ入った予定をこなす。
 良いご身分だ。
 我ながらそう思う。
 まぁ、別に昨日に限った事でもないが。
 午前と午後の差こそあれ、普段からこんな感じな気がしないでもない。
 ノームの街で冒険者やってる時も。
 ちょっとだけ薬草採取して。
 そこからギルドの片隅で飲んだくれてる訳だし。
 歩いてる分、健康的まであるかもしれない。

 ……ただ、今更ではあるが。
 酒入った状態で学園の近く行くの、これ大丈夫なのだろうか?
 本当に今更。
 心配するなら初めから飲むなって話だけど。
 今思い至ったのだから仕方がない。

 既に昨日やってはいるが。
 周りから向けられた不審者を見る様な視線、それを思い出した。
 別に視線を向けられる事自体は構わないのだけど。
 初日は見逃された。
 でも、2日連続で学園の近くを彷徨くのは危ない様な。
 今度こそ通報されてもおかしくないのでは?
 いや、一応昨日もノアの関係者だってアピールはしたけど。
 結構長い間付近にいたからね。
 それ知らない人も多いだろうし。

 あそこでノアの事待つのは辞めた方がいいかもな。
 じゃあどうするのかって話だけど。
 仕方ない、魔眼使うか。
 今回は普段使ってるような大雑把な魔力感知ではなく。
 もっと精密に。
 直接、ノアの魔力でも探そうかと。
 魔力ってのは、持ってる生物によって特徴が出る物なのだ。
 姿を見なくともなんとなくの種類の特定が可能。
 結構便利な便利機能である。
 普段使わないのは、その差を覚えるのが面倒で。
 違うのは分かっても。
 名前が表示されてくれたりはしないからね。
 大雑把なことしか分からず、正直あまり役に立っていない。
 別種を比較してもそれなのだ。
 個人での差なんて当然種族差に比べてもかなり少ない。
 意味ないじゃんって話なのだが。
 何だかんだ一緒にいる時間もそれなりに長かったからね。
 肌まで重ねた仲だし。
 ノアの魔力は自然と覚えてしまった。

 えっと、今は何処にいるのかなと。
 そろそろ学園の授業自体は終わってるはずだけど。
 講師だからなぁ。
 生徒の下校と共に退社とはいかないだろうし。
 って、あれ?
 もう学園の外に出てるっぽいな。

 俺の事待ってる感じか?
 やっべ。
 いや、特に時間指定とかしてないしそう焦ることはないのだけど。
 ベットでゴロゴロして。
 その上屋台で飲み歩いての遅刻である。
 自分でもどうかと思う。
 外にいるならまぁ。
 捕まる前にノアが助けてくれるだろうし、さっさと行くか。

 見えてきた、学園の門のすぐ横。
 待ち合わせ場所とか決めてなかったからね。
 分かりやすい場所にいてくれたのだろう。

「よう、待ったか?」
「あ、先輩!」
「もう少し早めに来るべきだったな」
「いえ、全然待ってないですよ」

 ノアはこう言ってくれているが。
 どうだか。
 本当の所は不明だ。
 仮に数時間待たせたとしても。
 平気な顔して、待ってないっていいそうだしね。
 あまり参考にはならない。

 まぁ、いいや。
 過ぎた事だ。
 ノアの方も全く気にしてなさそうだし。
 これから気をつけるってことで。

 ……ノアと一緒にいるとますますクズになって行く気が。

「ノア先生! 私に話って」

 横から声が聞こえた。
 その方向を向くと、例のメスガキ。
 走ってきた。
 あ、なるほどね。

 俺じゃなくてあいつを待ってたのか。
 なら、本当にノアの事は待たせてなかったんだな。
 良かった。
 そもそも授業が終わるぐらいの時間帯ではあるしね。
 そこまで適当ではない。
 焦った理由?
 いや、俺が学園いたのって20年以上前だし。
 変わってる説もあるかなって。
 後、参考にした記憶が曖昧だったからってのも一つ。
 まぁ、もう過ぎたことだ。
 遅刻はしていなかった。
 この事実が重要なのだ。
 つまり俺はまだクズではない、QED。

 メスガキは満面の笑み。
 なんて言って呼び出したのかは知らないが。
 ウキウキだったんだろうな。
 憧れの先生との個人授業。
 何かを期待しないほうがおかしい。
 そんなシチュエーションだ。

「……げ、なんであんたが」

 ノアの事しか目に入ってなかったのか。
 近づくまで俺に気づかなかったらしい。

 なんか、ごめん。
 いや、これ俺は悪くないよな?
 期待させたノアが悪い。
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