96 / 276
十章
生徒 13
しおりを挟む
これ、本当はトラウマの原因をどうこうする方向性から。
ゆっくりと時間を掛けて解決するんだろうけど。
……ごめん、面倒臭い。
それに、そこまで時間を掛けるつもりもないのだ。
俺は別に教師ではないし、そっちは勝手にやってもらうとして。
多分、ノアとかその辺りが何とかするでしょ。
今は目先の問題をどうにかしようかと。
要は魔法さえ使えればいい訳で。
魔力の制御を安定させられれば、それでいいのだ。
たとえトラウマが残ったままだったとしても。
それで魔力が乱れなければ。
魔法自体は問題なく発動出来る。
これだけに絞れるのであれば、話は簡単。
メスガキの障害になってるのは相変わらず心理的な問題であるが。
本来、この手の病はかなり面倒で。
物理的な怪我なんかと違って目に見えないし。
治し方も結構な遠回りが必要。
ポーション使ってはい終わりとは行かない。
しかし……
根本的な解決を望まないのであれば、もっと別の手段が取れる。
過去がどうだとか、記憶がどうだとか。
そんな話は全てどうでも良くて。
突破すべきは今現在の心理的な障害に限られる。
そもそも、メスガキの体自体には何ら問題はないのだ。
言い換えて仕舞えば思い込み。
要は、それを塗り替えてしまえば解決。
自分は魔法を使えると言う強い自己意識。
これを与えるのだ。
トラウマすらも塗り替えるほど、強烈に。
「ちょっと体に触れてもいいか?」
「……変態」
「いや、そういうのじゃなくて」
罵りつつも手を出してくれた。
本当、口は悪いが良い子ではあるんだよな。
可愛いやつめ。
「ひゃっ、何これ」
「心配しなくていい、すぐ終わる」
そのための手段だが、単純に魔法を使おうかと。
回復魔法ではない。
どちらかといえばバフ魔法の一種か。
戦争に向かう兵士を初め、彼らの恐怖を和らげる為に用いられる魔法。
別に薬でやってもいいんだけど。
これ麻薬に近いからね。
結構依存性強いし、子供に使う物じゃない。
効果としては抗うつ剤とかそんな感じ。
知ってるか?
前世じゃ、抗うつ薬が下水を通って川に流れ込み。
取り込んだザリガニが強気になって暴れてるとか。
攻撃的になり、鳥に攻撃し。
当然敵うわけもなく食べられるという。
それぐらい無鉄砲になれるって事だ。
冷静な判断が出来なくなるって意味じゃデメリットもデカいが。
むしろ、それぐらいの方が。
過去のトラウマに苛まれてる訳だからね。
彼女にはちょうどいい。
トラウマを突破するにはきっかけが必要なのだ。
PTSD治療とか。
麻薬でよくなる例もあるみたいだし。
ただ、これだけじゃ時間がかかる。
動かし方を知らない、トラウマがなくなっただけでしかない。
経験値が不足しているのだ。
正しい方法を教える必要がある。
本来、これにも膨大な時間がかかる訳だが。
俺にはチートがあるのだ。
そこは、直接魔力をコントロールしてやればいい。
一発で正しい魔力の動かし方を教えられる。
後は体で覚えてもらうだけ。
……うん、案外すぐ解決出来そうだな。
「どうだ?」
「えっと、何も変わらないけど?」
ま、すぐ実感出来る物でもないか。
麻薬と違って副作用も少ないしな。
幻覚とか。
そういうの見えるタイプじゃないし。
自覚症状は少なめか。
「このまま、魔法を使うぞ」
「え?」
「俺がお前が魔法を使うのに邪魔な障害を全て取り除く」
「そんな事出来るの!?」
「いいから」
「……あぁ、もう分かったわよ」
ちょっと集中するか。
魔眼に魔力を流し。
メスガキの体内の魔力の流れ、回路。
それを鮮明に。
脳裏へと描写しイメージを固める。
緊張しているのだろう。
少し手が震えてる。
大丈夫、失敗はしないから。
なんせ俺がサポートするのだ。
いや、こういうのは俺も初めてだけど。
そこはね。
チート能力あるし、多分問題ない。
「ファイア」
空中に火球が生成され、射出。
壁にぶつかった。
傷にならないのは一緒。
でも、明らかに威力が強い。
余波がこっちの方まで。
ちょっと熱かった。
「これを私が……」
「そうだ、正真正銘君が使った魔法だ」
魔力を操りはしたが、ブーストはしてない。
正真正銘メスガキが使った魔法。
驚いている。
あからさまに威力上がったからね。
彼女の能力的に、俺が使った魔法は認知できないだろう。
当然、魔力を操作されてる事なんて想像の外。
手を少し握られただけ。
それでここまで分かりやすい変化である。
今までずっと解決出来ずに悩んできた問題が、一瞬で。
そりゃ、驚きもするか。
ゆっくりと時間を掛けて解決するんだろうけど。
……ごめん、面倒臭い。
それに、そこまで時間を掛けるつもりもないのだ。
俺は別に教師ではないし、そっちは勝手にやってもらうとして。
多分、ノアとかその辺りが何とかするでしょ。
今は目先の問題をどうにかしようかと。
要は魔法さえ使えればいい訳で。
魔力の制御を安定させられれば、それでいいのだ。
たとえトラウマが残ったままだったとしても。
それで魔力が乱れなければ。
魔法自体は問題なく発動出来る。
これだけに絞れるのであれば、話は簡単。
メスガキの障害になってるのは相変わらず心理的な問題であるが。
本来、この手の病はかなり面倒で。
物理的な怪我なんかと違って目に見えないし。
治し方も結構な遠回りが必要。
ポーション使ってはい終わりとは行かない。
しかし……
根本的な解決を望まないのであれば、もっと別の手段が取れる。
過去がどうだとか、記憶がどうだとか。
そんな話は全てどうでも良くて。
突破すべきは今現在の心理的な障害に限られる。
そもそも、メスガキの体自体には何ら問題はないのだ。
言い換えて仕舞えば思い込み。
要は、それを塗り替えてしまえば解決。
自分は魔法を使えると言う強い自己意識。
これを与えるのだ。
トラウマすらも塗り替えるほど、強烈に。
「ちょっと体に触れてもいいか?」
「……変態」
「いや、そういうのじゃなくて」
罵りつつも手を出してくれた。
本当、口は悪いが良い子ではあるんだよな。
可愛いやつめ。
「ひゃっ、何これ」
「心配しなくていい、すぐ終わる」
そのための手段だが、単純に魔法を使おうかと。
回復魔法ではない。
どちらかといえばバフ魔法の一種か。
戦争に向かう兵士を初め、彼らの恐怖を和らげる為に用いられる魔法。
別に薬でやってもいいんだけど。
これ麻薬に近いからね。
結構依存性強いし、子供に使う物じゃない。
効果としては抗うつ剤とかそんな感じ。
知ってるか?
前世じゃ、抗うつ薬が下水を通って川に流れ込み。
取り込んだザリガニが強気になって暴れてるとか。
攻撃的になり、鳥に攻撃し。
当然敵うわけもなく食べられるという。
それぐらい無鉄砲になれるって事だ。
冷静な判断が出来なくなるって意味じゃデメリットもデカいが。
むしろ、それぐらいの方が。
過去のトラウマに苛まれてる訳だからね。
彼女にはちょうどいい。
トラウマを突破するにはきっかけが必要なのだ。
PTSD治療とか。
麻薬でよくなる例もあるみたいだし。
ただ、これだけじゃ時間がかかる。
動かし方を知らない、トラウマがなくなっただけでしかない。
経験値が不足しているのだ。
正しい方法を教える必要がある。
本来、これにも膨大な時間がかかる訳だが。
俺にはチートがあるのだ。
そこは、直接魔力をコントロールしてやればいい。
一発で正しい魔力の動かし方を教えられる。
後は体で覚えてもらうだけ。
……うん、案外すぐ解決出来そうだな。
「どうだ?」
「えっと、何も変わらないけど?」
ま、すぐ実感出来る物でもないか。
麻薬と違って副作用も少ないしな。
幻覚とか。
そういうの見えるタイプじゃないし。
自覚症状は少なめか。
「このまま、魔法を使うぞ」
「え?」
「俺がお前が魔法を使うのに邪魔な障害を全て取り除く」
「そんな事出来るの!?」
「いいから」
「……あぁ、もう分かったわよ」
ちょっと集中するか。
魔眼に魔力を流し。
メスガキの体内の魔力の流れ、回路。
それを鮮明に。
脳裏へと描写しイメージを固める。
緊張しているのだろう。
少し手が震えてる。
大丈夫、失敗はしないから。
なんせ俺がサポートするのだ。
いや、こういうのは俺も初めてだけど。
そこはね。
チート能力あるし、多分問題ない。
「ファイア」
空中に火球が生成され、射出。
壁にぶつかった。
傷にならないのは一緒。
でも、明らかに威力が強い。
余波がこっちの方まで。
ちょっと熱かった。
「これを私が……」
「そうだ、正真正銘君が使った魔法だ」
魔力を操りはしたが、ブーストはしてない。
正真正銘メスガキが使った魔法。
驚いている。
あからさまに威力上がったからね。
彼女の能力的に、俺が使った魔法は認知できないだろう。
当然、魔力を操作されてる事なんて想像の外。
手を少し握られただけ。
それでここまで分かりやすい変化である。
今までずっと解決出来ずに悩んできた問題が、一瞬で。
そりゃ、驚きもするか。
76
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主』
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。