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十章
生徒 14
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「次は1人でやってみて」
「は、はい!」
うん、良い返事だ。
さっきまでの疑わし気な視線は何処へやら。
現金な奴め。
まぁ、分かりやすく改善したからね。
当然ではあるが。
やる気も十分といった所。
魔力が集まり、球体を形成する。
……うーん。
球の形が歪。
いや、別に真球に近い方が魔法の威力が上がったりとかそんなことはない。
意図して形を変えることもあるし。
集中させて点の威力を上げたり、とか。
広げて範囲を取ったり、とか。
ただ、それは本人の意思がある場合に限る。
使うのはさっきと同じ魔法。
まだ基礎も出来てないのに、応用をするつもりもないはず。
メスガキとしても火球を作ってるつもりなのだろう。
その円が無意識のうちにブレる。
多少ならともかく。
ちょっとブレが大きい。
魔法で無意識レベルな魔法への忌避感を消してるから。
普段通りのつもりで、ちょっと魔力を使いすぎてるって所かな。
そのせいで制御の技術が追いついてない。
ま、何も気にせず魔法を使えるのなんて久々だろうし。
不慣れだからな。
流石に一回やっただけじゃ体も覚えきれなかったか。
「ファイア」
結果としては、予想通り。
最初と同じ、いや最初より酷いか。
暴発しないだけ良かったなと。
そのレベルだ。
メスガキが俺の方へ振り返った。
感覚がおかしかった自覚もあるのだろう。
泣きそうな顔をしている。
ブランクがあるからね。
思い切り出来るとはいえ、体がついて来るかは別。
まだ使い方は下手くそって事だ。
道筋を立ててやる必要がある。
「今度こそ!」
失敗したのにまた行こうとする。
魔法の効果出てるな。
ただ、このままじゃ意味ない。
「はい、ストップ!」
「え?」
こう言うのは初日が肝心。
完治したんだと、自分で思い込まないと。
このまま繰り返して上手く行かない記憶が残ったら。
余計悪化しかねない。
病は気からなんて言うが。
心持ちは大事だ。
特に、今回の場合本当に心の病だし。
プラシーボ効果とか、あれ案外ばかに出来ないからね。
効果のないただの小麦粉も。
薬だと言われて飲み続ければ実際に効いてくるとか。
今やってるのもそれと同じだ。
まぁ、俺医者じゃないし。
本当にこれで合ってるのかはよく分からないが。
ヤブ医者?
まさにその通りだ。
でも、彼女が効いたと思い込めばその時点で効果あり。
実際躊躇いなく魔法使えてはいるのだ。
その意味じゃ順調ではあって、あともう一押し。
心が成長を阻害させてたのだから。
こういうのが効くのだ、多分。
「これ、使ってみろ」
「え? もしかしてミスリルの杖?」
「正解」
すぐ気づいたのか、これも成長だな。
まぁ、魔力の通りがいいしね。
気づく人は気づく。
特に魔法使いなら。
普段から微弱な魔力が体から漏れてるし。
そこと反応するのだ。
制御が身について来つつある。
それに、魔力への無意識レベルでの忌避感が無くなった。
その効果だろう。
まぁ、俺が魔法で消してるだけだが。
最初はそれでいいのだ。
「なんでこんな貴重な物」
「拾った」
「いや、拾ったってそんなの」
「いいから」
「……ロルフ先生って普段からそんな感じ何ですか?」
「さぁな」
余計なことは気にしなくていいのだ。
「行きます、ファイア」
火球が射出され、壁にぶち当たる。
お、明らかに威力が上がった。
それに、熱がこちらまで伝わってくる。
余波は俺と一緒に使った時並みにはあるか?
魔力の方も。
杖の効果もあるが安定してるし。
それに、だ。
「……あ」
「よくやったな」
わお、このメスガキ壁の一部を砕きやがった。
今回の魔法でというより、同じとこに撃ちまくってたからだろうけど。
それでも上出来だ。
学生でこれは、結構凄いんじゃないか?
このミスリルの杖、俺が作った特別性。
中に魔力の回路が組んである。
人間にあるのと似たような物だ。
まぁ、俺が頑張って作ったというか銀の杖に魔力流し込んでミスリルにした時の副産物なんだけど。
強制的に魔力を流したからね。
過度な圧力が加わって逃げやすい方向に逃げた時の通り道。
ただ、魔法を使う上では結構有用なのだ。
特にメスガキみたいな経験の浅い魔法使いには。
補助輪のような役割をしてくれる。
強制力は俺が直接魔力を操ったほど強くはない。
でも、弱くもない。
ステップとしてはちょうどいいだろう。
その効果が今の景色だ。
まだ補助輪なしでは怖いけど。
これを繰り返していけば、そのうち改善するはず。
「は、はい!」
うん、良い返事だ。
さっきまでの疑わし気な視線は何処へやら。
現金な奴め。
まぁ、分かりやすく改善したからね。
当然ではあるが。
やる気も十分といった所。
魔力が集まり、球体を形成する。
……うーん。
球の形が歪。
いや、別に真球に近い方が魔法の威力が上がったりとかそんなことはない。
意図して形を変えることもあるし。
集中させて点の威力を上げたり、とか。
広げて範囲を取ったり、とか。
ただ、それは本人の意思がある場合に限る。
使うのはさっきと同じ魔法。
まだ基礎も出来てないのに、応用をするつもりもないはず。
メスガキとしても火球を作ってるつもりなのだろう。
その円が無意識のうちにブレる。
多少ならともかく。
ちょっとブレが大きい。
魔法で無意識レベルな魔法への忌避感を消してるから。
普段通りのつもりで、ちょっと魔力を使いすぎてるって所かな。
そのせいで制御の技術が追いついてない。
ま、何も気にせず魔法を使えるのなんて久々だろうし。
不慣れだからな。
流石に一回やっただけじゃ体も覚えきれなかったか。
「ファイア」
結果としては、予想通り。
最初と同じ、いや最初より酷いか。
暴発しないだけ良かったなと。
そのレベルだ。
メスガキが俺の方へ振り返った。
感覚がおかしかった自覚もあるのだろう。
泣きそうな顔をしている。
ブランクがあるからね。
思い切り出来るとはいえ、体がついて来るかは別。
まだ使い方は下手くそって事だ。
道筋を立ててやる必要がある。
「今度こそ!」
失敗したのにまた行こうとする。
魔法の効果出てるな。
ただ、このままじゃ意味ない。
「はい、ストップ!」
「え?」
こう言うのは初日が肝心。
完治したんだと、自分で思い込まないと。
このまま繰り返して上手く行かない記憶が残ったら。
余計悪化しかねない。
病は気からなんて言うが。
心持ちは大事だ。
特に、今回の場合本当に心の病だし。
プラシーボ効果とか、あれ案外ばかに出来ないからね。
効果のないただの小麦粉も。
薬だと言われて飲み続ければ実際に効いてくるとか。
今やってるのもそれと同じだ。
まぁ、俺医者じゃないし。
本当にこれで合ってるのかはよく分からないが。
ヤブ医者?
まさにその通りだ。
でも、彼女が効いたと思い込めばその時点で効果あり。
実際躊躇いなく魔法使えてはいるのだ。
その意味じゃ順調ではあって、あともう一押し。
心が成長を阻害させてたのだから。
こういうのが効くのだ、多分。
「これ、使ってみろ」
「え? もしかしてミスリルの杖?」
「正解」
すぐ気づいたのか、これも成長だな。
まぁ、魔力の通りがいいしね。
気づく人は気づく。
特に魔法使いなら。
普段から微弱な魔力が体から漏れてるし。
そこと反応するのだ。
制御が身について来つつある。
それに、魔力への無意識レベルでの忌避感が無くなった。
その効果だろう。
まぁ、俺が魔法で消してるだけだが。
最初はそれでいいのだ。
「なんでこんな貴重な物」
「拾った」
「いや、拾ったってそんなの」
「いいから」
「……ロルフ先生って普段からそんな感じ何ですか?」
「さぁな」
余計なことは気にしなくていいのだ。
「行きます、ファイア」
火球が射出され、壁にぶち当たる。
お、明らかに威力が上がった。
それに、熱がこちらまで伝わってくる。
余波は俺と一緒に使った時並みにはあるか?
魔力の方も。
杖の効果もあるが安定してるし。
それに、だ。
「……あ」
「よくやったな」
わお、このメスガキ壁の一部を砕きやがった。
今回の魔法でというより、同じとこに撃ちまくってたからだろうけど。
それでも上出来だ。
学生でこれは、結構凄いんじゃないか?
このミスリルの杖、俺が作った特別性。
中に魔力の回路が組んである。
人間にあるのと似たような物だ。
まぁ、俺が頑張って作ったというか銀の杖に魔力流し込んでミスリルにした時の副産物なんだけど。
強制的に魔力を流したからね。
過度な圧力が加わって逃げやすい方向に逃げた時の通り道。
ただ、魔法を使う上では結構有用なのだ。
特にメスガキみたいな経験の浅い魔法使いには。
補助輪のような役割をしてくれる。
強制力は俺が直接魔力を操ったほど強くはない。
でも、弱くもない。
ステップとしてはちょうどいいだろう。
その効果が今の景色だ。
まだ補助輪なしでは怖いけど。
これを繰り返していけば、そのうち改善するはず。
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