ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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十一章

学祭 5

 ノアとの会話もそこそこに、解散。
 学園を見て回る。
 向こうも名残惜しそうだったし。
 本当は2人一緒に回ってもいいんだけど。
 忙しいからね。
 そんな選択肢は無いのだ。

 別に逃げた訳じゃないよ?
 あのままだと怒られそうだったからとか。
 断じてそんなこと考えてはいない。
 おのれ、メスガキめ……
 いや、完全な八つ当たりなのだが。
 どちらかといえば恨むべきはおっちゃんか。
 トードーの串が美味いのが悪い。
 あんな、最高のツマミ。
 しかも割引価格。
 酒が欲しくなって当然である。

 そんな戯言もほどほどに。
 学園内を散策。
 周囲の光景、それにノスタルジーを感じる。
 生徒たちが廊下を歩いている姿。
 窓から覗く教室。
 学園祭っていう非日常だからかテンションこそ高めだが。
 全てひっくるめて。
 その景色がどこか懐かしい。

 よく見てみれば、前世とは何もかも違うのだけど。
 校舎の作りもそうだし。
 廊下を歩く生徒の髪色もカラフルだ。
 この世界に来てからの思い出は……
 学園に一年もいなかったからね。
 懐かしいってか、大体は新鮮味の方が強いはず。
 ほぼ記憶にないし。
 と言うのも、それぐらい薄かったんだよね。
 チートのおかげで、魔法では何も躓かなかったし。
 他は前世と似たようなもの。
 もともと勉強好きでもないのに興味が湧くはずもなく。
 そりゃ、記憶に残る訳ない。
 覚えてるものと言えば、あのノートのことぐらい。
 それだってノアとの一件が無ければ忘れていた。

 それでも……
 ふと、足を止めてまじまじと周囲を見渡す。
 不思議な縮尺だ。
 別に、ここが異世界だからではない。
 前世でもそうだったのだろう。
 単純に、子供用に作られているからこその違和感。
 廊下に置いてあるロッカー。
 背丈が低い。
 上にもう一段ぐらい増やした方が使いやすそうだが。
 届かないからね。
 教室の机と椅子もそうだ。
 こじんまりとしていて、窮屈そうにすら見える。
 そんなのが無限にある。
 特殊な空間だ。
 大体の場所は大人に合わせて設計される。
 でも、ここの主役は子供なのだ。

 何もかもが違うのにノスタルジーを感じる理由。
 多分、これなんだろうな。
 子供の頃見た景色と大人になってみる光景。
 縮尺が狂って見える。
 通学路なんかが顕著だ。
 記憶よりずっと短くて、本当になんでもない道。
 でも、その違和感が感情を刺激する。

 それに、学園祭ってイベントも。
 世界は違うし。
 通ってる生徒も前世でいう上級国民ばかり。
 クオリティーに差もあるが。
 それでも。
 子供たちが作り上げてるってところに変わりはないからね。
 それが懐かしいのだと思う。

 適当に校内を見て回る。
 クラス単位でやってるのはお堅いのが多いらしい。
 魔法の研究だとか。
 植物の研究だとか。
 この国の歴史についてとか。
 そんなんばっか。
 まぁ、学園に遊びに来てる人間も少ないだろうし。
 仕方ないのかもしれないけど。

 そんなん見ても仕方ないしね。
 どちらかといえば、授業よりの展示。
 見せることより。
 調べることに重きを置かれている。

 そのまま、教室が並ぶ場所を抜け。
 こっちの方は俺も初めて来た。
 クラブとか部活とか。
 それ用の部屋が並ぶ部活棟的な場所。

 こっちは、生徒主体なのだろう。
 前世で見たようなものが多い。
 占いとか。
 お化け屋敷とか。
 カフェとか。
 向こうは調べた内容が貼ってあるだけで無人だったし。
 クラブとかの方に力を入れるのが伝統なのかも。
 元生徒なんだけどね。
 なんせ、一度も学園祭を経験していないから。
 そこらへんの知識が全くないのだ。

 講師のノアが忙しくしてた理由も分かる。
 担任とは違う訳だけど。
 むしろ、そっちの方が負担は大きいのかもしれない。
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