ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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十二章

騒動 6

 突然、何を言い出すかと思えば。
 3人でって……
 つまりはそういう事よな?

 少し前まで夜遊びもした事なかったくせに。
 こんな事を言い出すようになるとは。
 嘆かわしい。
 この数ヶ月見ない間に都会に染まってしまったらしい。
 ……いや。
 流石にそれは違うか。
 どう考えても王都に行く前の影響だな。
 これ、完全に嬢の責任である。

 妹分扱いして可愛がってるのはいいけど。
 悪影響を与えるのは如何なものか。
 と言っても。
 多少、仕方のない面もあるのだが。
 しょっちゅう一緒だったし。
 初めての時も。
 俺が嬢とノアに嵌められた形だったからね。
 当然その場にいたのだ。
 そのせいだろうか?
 元の知識が真っさらだったのも相まって。
 認識の方がバグちゃってる様子。

「急に何口走ってんの!?」
「だって、」

 俺に突っ込まれると、少し照れて視線を逸らす。
 おい!
 自分で言っておいて何恥ずかしそうにしてるんだよ。
 なら言うなや。
 向こうさんもびっくりしてるだろ。

 そう思って見ると笑っていた。
 今のやり取りが何処か可笑しかったらしい。
 まぁ、そんなもんか。
 同級生だもんな。
 当然、俺と同い年。
 下ネタも、流石に耐性ぐらいあるか。
 良かった。
 ノアの発言も軽く受け流してくれそうな感じ。

「今のは冗談なんで、すいません」
「いえいえ」
「それで折角なんですけど、何かして貰おうとは思っていないので」
「え、どうして?」
「学園は自分で辞めただけですし」
「……そう」
「それに」
「?」
「今のままでも、それなりに楽しく暮らせてますから」

 多少哀れに見えるかもしれないが。
 今の俺からすれば天職だからな。
 他の仕事とか紹介されても、正直面倒なだけだし。
 楽しくやれているのだ。
 今の環境で十分。
 学園の教師とのコネなんて。
 本来なら大金積んででも得難い物なんだろうけど。
 俺には不要。
 少々勿体無い気もするが。
 まぁ、無理して使う物でもないだろうし。

「ロルフくんって意外と謙虚な人なんですね」
「意外って」
「いや、そんな性格だったかなと思って」
「へ?」
「当時はもっと……。もしかして、ノアさんの前だからカッコつけてたり?」
「えっと、あはは」

 え、俺ってそんな感じのキャラだったっけ?
 とりあえず笑って誤魔化しはしたが。
 全く記憶にない。
 そもそも、クラスメイトすら思い出せないほど綺麗さっぱり忘れているのだ。
 当時のキャラなんて覚えているはずもなく。
 意外と言われても。
 ちょっと、反応に困る。

 揶揄われてるんだか、本当に疑問に思ってるだけなのか。
 この教師常にふわふわしてるから分かり難い。
 でもまぁ、言われてみれば。
 どんな行動したか覚えてないけど、既に適当に生き始めてた気がするし。
 確かに、いわゆる真面目な生徒ではなかったかもしれない。

 ノアの前だからって事はないんだが。
 別にそう捉えてもらっても。
 特に支障はないし、否定する必要もないか。

「でも、残念。少し楽しそうだと思ったのに」

 ……!?
 今、なんて?

「ロルフくん、どうかしました?」
「いや、え? 今楽しそうって」
「そう言いましたけど」
「それってつまり、そういう事?」

 相手の目を見つめる。
 ダメだ。
 表情からだと、冗談なんだか本気なんだか。
 全くもって分からねぇ。

 俺が盛大に混乱していると、肩を軽く叩かれた。
 ノアだ。
 呆れたような視線を向けられる。
 やっと気づいたかとでも言いたげな表情。
 ん?
 もしかしてだけど、そもそも初めから誘われてたって事?
 ナンパがどうとか。
 言いがかりだと思ってたけど。
 本当にそういう感じだったのかもしれない。

 噂の、清楚系ビッチ的な?
 しかも女教師である。
 まさか本当に実在したとは。

 だから話してるの見てすっ飛んで戻って来たと。
 知り合いか詰められた理由もそれ。
 にしては、そこからしばらく静かだったような気がするが。
 あぁ、俺が学園通ってたとか言い出したから。
 それどころじゃ無くなったのか。

 しかし、なんで俺なんか……
 いくらビッチとは言っても好みぐらいあるだろうに。
 それこそ美人なんだし。
 貴族で女教師で、よりどりみどりなのでは?

 同級生だからか?
 心当たりなんてそれぐらいしかないし。
 でも、何故。
 これ、理由になるのか?
 もしかして、同級生コンプリートしたいとかそう言う……
 トロフィー的な。
 俺以外のクラスメイトは全員抱いたから最後の1人。
 辞めた年齢が年齢だからね。
 流石のビッチもまだ目覚めていなかったと。
 無いな。
 え、無いよね??

 顔を伺うも、相変わらず笑顔。
 何故だろうか。
 何も変わっていないのに、そう思って見ると。
 とんでもない痴女に見えて来た。

 体のラインが出ない服装も。
 逆にエロい気がする。

「ノア、いいの?」
「3人でなら、ですからね!」

 こそこそと確認。

 まぁ、俺が誘われたらどうなるか想像つくだろうからな。
 せめて自分の見ている前でやれと。
 そういう話らしい。

「前言撤回! 俺と楽しいことしましょう」
「……ロルフくん、その言い方は変態さんみたいです」
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