181 / 276
蛇足
春風 11
しおりを挟む
流石に、そろそろ時間だろう。
日も暮れてきたし。
解散かな?
あまり拘束するのも悪い。
こういうのは先輩側が言い出さないと、向こうも帰りにくいしな。
「おばちゃん、お会計」
「お、あんたが払うんかい?」
「俺を何だと思ってるんだ!」
「そりゃ、ねぇ……」
胡散臭い物を見るかの様な視線を向けられる。
何故?
後輩にちょっと飲み代を奢るって言っただけでこの扱い。
一応抗議してみたものの。
効果無し。
それどころか若干含みのある言葉が返ってきた。
色々と言いたい事はありつつも。
ま、長い付き合いだからね。
受付嬢がギルドに就職する以前からの関係である。
こうもなるか。
俺が飲み代足りなくてノアから酒代巻き上げてたのとか。
ほら、例のノートを売ったやつ。
他にも心当たりがちらほらと。
個別の事例を覚えてるかどうかは別として。
見てはいるのだ。
それは、こんなイメージにもなる。
「後輩の昇級の前祝いだからね」
「へぇー、成長したってこったな」
「……どっちが?」
「さぁね。どっちだろうか」
そんなこんなで、多少不本意な扱いを受けるも。
無事会計を済ませた。
「ロルフさん、ご馳走様です!」
「そんなのいいって」
んな、お礼言われるほどの金額でも無いしな。
ちなみに、パティーメンバーは自分の分は払ってったらしい。
急に巻き込まれたのに……
しっかりしてやがる。
全然奢るつもりだったんだけどね。
本当、俺はちょっと話しただけだけどいい仲間だと思う。
信頼出来るかって大切だからね。
冒険者のパーティーは強けりゃいいってもんじゃない。
少人数。
命懸けで共通の依頼に挑むのだ。
完全に背中を預けられるかって結構重要。
まぁ、強さに関しても。
Bランク目前まで来てる訳だからな。
そこは折り紙つきなのだろうが。
「次会うのは、多分依頼から帰ってきた後かな」
「頑張ります!」
「あぁ、上手くやれよ」
「はい!!」
やる気十分と言ったところか。
ちょっとでもプラスになったのなら良かった。
絶対成功してくれとは言わないが。
今日、一緒に飲んで。
多少なりとも情が湧いてしまったらしい。
あまり死んでほしくはないな。
これは、口には出さないけどね。
彼としてはBランクに上がる気満々だろうし。
そもそもとして。
仲間見捨てて逃げれるやつでも無いのだ。
仲間じゃなかったとしても。
確かこの依頼、村近くでのオーガの目撃情報があってどうこうって内容だったはず。
仮に、村が襲われてたら。
放っておけずにきっと助けに入ってしまう。
そんなやつだ。
だから、生きて英雄になってくれ。
……
もう少し飲みたい様な気もするが。
今から飲み直すのもな。
それに、俺もそろそろ時間か。
「あ、おじさん帰るんですか?」
青年を見送って一息。
ギルドを出ようと席を立ったところで、受付嬢に声を掛けられた。
いや、早くね?
普段から帰る前に一言二言話すことも多いのだが。
今日は。
特に早かった気がする。
俺の事をずっと監視してた訳じゃなかろうな。
仕事中だったし、そんな訳ないのだけど。
少し前からだ。
今日ほどじゃ無いにしても。
ギルド内での行動を大方把握されてる様な気が。
「何でそんな目で見るんですか?」
「やけに早いなと」
「おじさんが彼と話してたから……、って言わせないでくださいよ!」
口には出していなかったのだけど。
視線でバレたらしい。
つまる所、嫉妬か。
それだけ聞けば実に可愛らしい物なのだが。
その内容よ。
俺、後輩の冒険者と飲んでただけだぞ?
これに嫉妬は。
流石にいかがなものかと。
「何を勘違いしてるか知らないが、俺は男には興味無いからな」
「ノアさんとああなったのに勘違いだと?」
「あれは例外」
「私にその区別はつかないです!」
勘違いだと訂正を試みたものの。
逆に怒らせてしまった。
確かに、この区別は俺以外にはつかないか。
頬を膨らませて。
分かりやすく怒ってますとアピールする受付嬢。
俺に他にも相手がいることは知ってるし。
これに関して、あまり怒ったりはしないのだが。
言い訳が良くなかったらしい。
……ごめんって。
日も暮れてきたし。
解散かな?
あまり拘束するのも悪い。
こういうのは先輩側が言い出さないと、向こうも帰りにくいしな。
「おばちゃん、お会計」
「お、あんたが払うんかい?」
「俺を何だと思ってるんだ!」
「そりゃ、ねぇ……」
胡散臭い物を見るかの様な視線を向けられる。
何故?
後輩にちょっと飲み代を奢るって言っただけでこの扱い。
一応抗議してみたものの。
効果無し。
それどころか若干含みのある言葉が返ってきた。
色々と言いたい事はありつつも。
ま、長い付き合いだからね。
受付嬢がギルドに就職する以前からの関係である。
こうもなるか。
俺が飲み代足りなくてノアから酒代巻き上げてたのとか。
ほら、例のノートを売ったやつ。
他にも心当たりがちらほらと。
個別の事例を覚えてるかどうかは別として。
見てはいるのだ。
それは、こんなイメージにもなる。
「後輩の昇級の前祝いだからね」
「へぇー、成長したってこったな」
「……どっちが?」
「さぁね。どっちだろうか」
そんなこんなで、多少不本意な扱いを受けるも。
無事会計を済ませた。
「ロルフさん、ご馳走様です!」
「そんなのいいって」
んな、お礼言われるほどの金額でも無いしな。
ちなみに、パティーメンバーは自分の分は払ってったらしい。
急に巻き込まれたのに……
しっかりしてやがる。
全然奢るつもりだったんだけどね。
本当、俺はちょっと話しただけだけどいい仲間だと思う。
信頼出来るかって大切だからね。
冒険者のパーティーは強けりゃいいってもんじゃない。
少人数。
命懸けで共通の依頼に挑むのだ。
完全に背中を預けられるかって結構重要。
まぁ、強さに関しても。
Bランク目前まで来てる訳だからな。
そこは折り紙つきなのだろうが。
「次会うのは、多分依頼から帰ってきた後かな」
「頑張ります!」
「あぁ、上手くやれよ」
「はい!!」
やる気十分と言ったところか。
ちょっとでもプラスになったのなら良かった。
絶対成功してくれとは言わないが。
今日、一緒に飲んで。
多少なりとも情が湧いてしまったらしい。
あまり死んでほしくはないな。
これは、口には出さないけどね。
彼としてはBランクに上がる気満々だろうし。
そもそもとして。
仲間見捨てて逃げれるやつでも無いのだ。
仲間じゃなかったとしても。
確かこの依頼、村近くでのオーガの目撃情報があってどうこうって内容だったはず。
仮に、村が襲われてたら。
放っておけずにきっと助けに入ってしまう。
そんなやつだ。
だから、生きて英雄になってくれ。
……
もう少し飲みたい様な気もするが。
今から飲み直すのもな。
それに、俺もそろそろ時間か。
「あ、おじさん帰るんですか?」
青年を見送って一息。
ギルドを出ようと席を立ったところで、受付嬢に声を掛けられた。
いや、早くね?
普段から帰る前に一言二言話すことも多いのだが。
今日は。
特に早かった気がする。
俺の事をずっと監視してた訳じゃなかろうな。
仕事中だったし、そんな訳ないのだけど。
少し前からだ。
今日ほどじゃ無いにしても。
ギルド内での行動を大方把握されてる様な気が。
「何でそんな目で見るんですか?」
「やけに早いなと」
「おじさんが彼と話してたから……、って言わせないでくださいよ!」
口には出していなかったのだけど。
視線でバレたらしい。
つまる所、嫉妬か。
それだけ聞けば実に可愛らしい物なのだが。
その内容よ。
俺、後輩の冒険者と飲んでただけだぞ?
これに嫉妬は。
流石にいかがなものかと。
「何を勘違いしてるか知らないが、俺は男には興味無いからな」
「ノアさんとああなったのに勘違いだと?」
「あれは例外」
「私にその区別はつかないです!」
勘違いだと訂正を試みたものの。
逆に怒らせてしまった。
確かに、この区別は俺以外にはつかないか。
頬を膨らませて。
分かりやすく怒ってますとアピールする受付嬢。
俺に他にも相手がいることは知ってるし。
これに関して、あまり怒ったりはしないのだが。
言い訳が良くなかったらしい。
……ごめんって。
56
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。