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第十八話 中二病な黒歴史ノートっぽいモノ

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 第十八話 中二病な黒歴史ノートっぽいモノ
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 もしかして、ついにバレた?

 当たり前と言えば当たり前かもしれない、ばれるのも時間の問題だったのだろう。幼女ももう幼女と呼べなくなる程度には大きく成長してきているわけで、そうなれば当時のように単純に何事も誤魔化せるという風に考える方が無理があるというもの。ただ適当こいて搾取してくる奴のこと疑問に思わない方がおかしいという物である。

 魔術書を渡しちゃったのも少しまずったかもしれない。正しい知識というのを身につけたおかげで、俺がどれだけ適当こいているかというのが手に取るようにわかるようになるといった寸法である。

 一つでもそんなことがあれば、当然他も調べる。その結果はお察しであろう。全てでまかせなのだから、調べられた瞬間雑に塗ったペンキが一気に剥がれ落ちるというものである。

 じゃあ魔術書渡さなかったら特に問題にならなかったのかといえば、そんなこともないはずだ。そもそもからして色々無理がありすぎたわけで、たとえきっかけになっていたとしても些細な問題に過ぎないだろう。

 形式上俺は幼女の師匠ってことになっているが、そもそも俺は幼女の前でまともに魔法なんて使ったことがない。幼女基準でのまともな魔法なんて、そんな高難易度なものそもそも使えないから至極当然なんだけど。師匠として疑う理由としてはそれで充分であろう。

 正直心当たりが多すぎて、ばれた理由に見当がつかない。そもそも始まりが魔力が欲しいっていう欲に負けてのなし崩しだったせいだったのもあって、そのあとも設定がブレるはなんやらで大変だったし。

 相手が幼女で単純だというのに甘えて、適当やってきた結果である。自業自得と言えばそれまでなのだが、もう少し持ってくれる物だと思っていた。というか、願っていた。

 儀式なんて言って俺の魔力源に直接魔力注いでもらっているのが、バレた理由として一番可能性高いのかもしれない。 魔術書とかあやふや知識とか関係なく、普通に魔力量が少なすぎるのがばれていていろいろ疑われたという説が濃厚なのだろうか?

 俺の感覚でいえば、魔力大きいのは何となくわかっても少なかったり抑えてたりすると、どれぐらい少ないのかとかが全く分からない。でも、幼女は天才だしね。何ならはじめっから、このおねえちゃんの魔力少ないなみたいなこと思われてた説はある。

 ……そもそも論すぎる結論である。これに関してはどうしようもない。だって、これ自体が目的なのだから。というか、こういうのもあってどうせどう頑張ってもバレるからと他も適当になっていた節がある。

 普通に考えて、整合性を気にするなら魔術書とかまず渡さないしね。一応貢物的な立ち位置のつもりだったのだけれど。タイミング的にそれきっかけになっちゃったかもしれない。

 でも、むしろそれきっかけで良かったまである。師匠からもらったもので師匠偽物って気付いたのなら、師匠の悪意で気づくより印象が幾分かマシであるはずだ。結局やってることがやってることだから、一瞬でそんな印象は地に落ちることになるだろうけど。

 でも、そんなつもりじゃなかった的な? 言い訳にも使いやすいしね。ほら、悪意あったらそもそもそんなバレそうなもの渡すわけないでしょ論法。そもそもバレなければ使う必要なかった? それは無理な話である。

 まぁ、すべてもしばれていたらという仮定の話だ。

 もしかしたら、ばれていないという可能性もないことはない。うん、多分バレてない。……非常に希望的かつ俺に都合のいい思考ではあるような気がするが、人間とは基本的にそんな生き物である。

 ばれていたとしたら、当然これから先魔力を増やす当てがなくなる。これも問題といえば問題である。でも、それ以前に幼女に殺されかねないということの方がよっぽど重大な問題だ。何事も命あっての物種である。

 もし自分の才能がチュウチュウと他人に吸われているなんてことがわかったら、俺だったら間違いなくただじゃおかないわけで。おそらく幼女もおなじようなことを思うはずである。少なくとも、許してやろうという気にはならない。

 目の前で巨大な魔法陣を空中に投影している天才幼女。そんな、魔法一発で何百何千人とコロコロしてしまいそうな幼女に命狙われるって、億越えの賞金首か何かだろうか? 即お陀仏不可避である。

 正直、今すぐにでもこの場から逃げ出したい。

 ちらりと幼女の方を見る。今度は、実に真剣な表情でいくつも魔法陣を生み出し首をひねっては消すというのを繰り返している。どの魔法陣もおんなじような形だ。魔術書を渡してそれほど立っていないのだが、もしかしてもう魔法の改良にでも入ろうとしているのだろうか? 俺の出まかせ魔法ではなく本物のきちんとした魔法に触れたの最近のはずなんだけど、俺には全く持って何をやっているのかわからない次元である。

 全く持って逃げられる気がしない。逃げようとしようものなら、空から隕石となが降ってきてあたり一面が焦土になってもおかしくなさそうな気が……実際はそんな無駄なことせず、直接心臓を握りつぶしたりするのかもしれないが。まるで魔王様である。大魔王からは、逃げられない。

 もし俺が逃げられるとしたら、そもそも俺に対して怒ってないという前提でしか成り立たない。バレて怒ってないということはあり得ないので、そもそもまだ知らないということになる。それならそもそも論逃げる必要もない。余計に真実に近づく可能性を増やすだけ、それに不信感も持たれるというもの。ただのおまぬけさんである。

 というか、もし俺が魔法全然使えない詐欺士なのがばれてるのだとしたら、修行終わった後にいう理由もよくわかんない。だってそんなことされてるって知ったら、少しでも早く痛い目見せてやりたいと思わない? だから、多分ばれてはいないと思うんだ。

 現実逃避? 

 ……そ、そんなことないよ。極めて現実的思考による結論さ。

 でも、今日の話が違うにしてもどのみちいつかはばれることが分かり切っているわけで。それまでにしっかりと対策を考えなければ。

 え? それまでに離れればいい? 確かに、という説もある。でも、魔力増やせるのならぎりぎりまで増やしておきたいというのが人の性だ。
 
 ギャンブルと同じである。勝ってるうちにやめれば儲けられるというのはわかっているのだが、勝ってるうちはもっと勝てるんじゃないかとどんどん金を突っ込んでしまうのだ。そして気付けば勝ち金はなくなり、初めの手持ちもすっからかん。あるあるだ。

 それに離れたからと言って結局搾取していたという事実はなくなるわけじゃないし、幼女ならどこにいても探そうと思えば簡単にばれそうな気がするから、もう引き返せる段階じゃない気がする。

 返せと言われて返せるものでもないしね。

 そもそも俺の魔力操作じゃ魔力の受け渡しなんて高度なこと不可能だし、幼女がちょっと切り取る量でも俺はごっそり行くわけで幼女にやってもらうにしても結局ただじゃすまない。

 俺の場合、幼女にもらった魔力が大半を占める訳で、それ一気に行かれたら……魔法使えなくなるなんて生やさしいものじゃ済まないだろう。廃人か死亡か二つに一つである。

 もう、本当に行くとこまで行くしかないという奴だ。

 さて、もし今日バレたと仮定して、俺はどう切り抜けたものだろうか。幼女から魔力を搾取しても許される正当な理由? そんなものはない。

 いや、そらそうなんだけど。でも、その結論はさすがに困るというかなんというか。俺も命がかかってるわけで、証拠突きつけられて剣銃突きつけられて魔が差しましたなんて本当のこというバカはいない。撃たれて終わりである。

 ……よし、知らなかった。そういう体で行こう。

 そもそも俺、幼女と初めて出会った時魔法使い見習いとか名乗った覚えがある。別に知識不足でどうこう言われる筋合いはない。まぁ、当時の理論で行けば今の俺は立派な魔法使いではあるが。そんなのは関係ない。

 魔術書を拾って魔法を使おうと四苦八苦していた。けど、実際は魔術書でもなんでもないただ妄想が書き殴られただけのいわゆる黒歴史ノートだった。

 それを参考にしてたからめちゃくちゃ間違えまくった上、儀式なんて変なものが生まれた。もちろん初めは半信半疑だったんだけど、幼女がこの魔術書の通りにしたらどんどん上達していったから本物だと思った。

 こんな設定でどうだろうか?

 あながち嘘というわけでもない。儀式とか契約とか魔法に目覚めるための手段とか全部妄想だし、言わば俺の黒歴史ノートそのものである。

 まぁ、他人に見られたら恥ずかしがるとか以前に殺されかる可能性のあるガチ目の黒歴史ではあるが。

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「あの、私王立魔法学園に行きたい」

 へ?

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