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8. 答えのない問題は苦手 (リヒター視点)
「愛しい人、私と踊っていただけますか?」
そう言って、黄色い花を差し出したヴェルナーを、周りの若いカップルが羨望の目で見ている。さすが貴族、所作が洗練されていて紳士だ。
花を受け取ったはいいものの、どうしていいか分からず戸惑っていたら、ヴェルナーが花を胸ポケットに挿してくれた。女の子は髪に花を挿している子が多いが、どこかに花を身に着けていると、パートナーがいますよ、という印らしい。
ちなみにこの世界、貴族の嫡子以外は、男女どちらと付き合うのも自由だ。跡継ぎを残す必要がある嫡子は男女での結婚が義務だが、愛人はむしろ跡取りで揉めない同性のほうが歓迎される雰囲気もある。と言っても愛人を持つにもお金がかかるので、貴族か商人などの裕福な庶民に限られる。
始まったダンスは、決まった振りはなく、みんな適当に音楽に合わせて踊っている。こういうの苦手。
お手本があるものを模倣するのは得意だけど、適当とか創造性とか、選択の余地がありすぎるものは苦手だ。答えは1つに決めておいてほしい。
周りの子どもたちを見ながら、なんとなく踊っていると、ヴェルナーがくすくす笑っている。
ただでさえダンスは苦手で、夜会で踊れるようにかなり頑張って練習した。王子妃として、全てを完ぺきにこなせることを求められてきたのだ。
けれど、これは全く違うダンスで踊れるわけがない。ヴェルナーにこうして出来ないところを見られてしまった。悔しい。
「出来なくて戸惑っている方が人間らしくて可愛いよ」
大人の余裕を見せて慰められているが、これ慰めなんだろうか。
ヴェルナーは私のことを可愛いというけど、可愛いと言われていたのは学園に入る前までだ。子どもだと言われているような気がする。まあ実際10歳も違えば、ヴェルナーにとって私は子どもなんだろう。今も子どもが頑張ってて微笑ましいなあって感じの目で見ている。ヴェルナーは私の保護者か。
「もう子どもじゃありません」
「ごめんね。愛しい人、ご機嫌を直していただけますか?」
繋いだ手の甲に軽く口づけをされて、周りの女の子が黄色い歓声を上げた。紳士はそういう仕草も様になる。王子は俺様だったから新鮮だな。
紳士に負けずに私も頑張らなければ。
これはアメリカのドラマで見るプロムのパーティーだと想像するんだ。間違っても盆踊りではない。手を上に挙げるとなんとか音頭になりそうだし、下に出すとドジョウをすくってそうになるし、DNAは全く違うはずなのに、こんなところまで顔を出してくる2拍子大好き農耕民族の影響強すぎ。
四苦八苦しながら、ステップを踏んでいると、なんとなく様にはなったようで、ヴェルナーからも踊れているよ、と合格点を貰えた。ふう。
それからは、パートナーのいない子どもを誘って踊ったりと、なんだかんだと収穫祭を楽しんだ。
収穫祭も終わり、土壌改良の試験運用のための薬剤作りもひと段落したころ、結婚式の衣装の打ち合わせのために王都からデザイナーが来ると知らされた。
土の薬剤の改良版は、まだ情報を公開していないため私しか作れない。薬剤を使用する農地も限定して、思わぬ影響がないかを確認しているが、5年使い続けても平気そうなので、来年からは一般に売り出されることになるだろう。
「王都でやりましたよ?」
「髪を切って雰囲気が変わったからね」
やってしまった。
そういえば前世でも、切りに行く時間がなくてロングになった髪をショートにしてくださいと言ったら、服が合わなくなると美容師さんにかなり心配されたんだった。その時は髪を乾かす時間がもったいなくて、構わず切ってもらったけど。
「ヴェルナー」
「私は関われないよ。当日までお互いの衣装は見ないものでしょう」
執事を見るも、微笑まれるだけだ。どうしよう。
前回は座っているだけで、アルベルトの母上とデザイナーさんで決めてくれたのに。
だいたい、デザインとか一番苦手な分野だ。
システムを新規で作るときに一番頭を悩ませるのは画面デザインだ。社内システムではデザイナーもつかないし、お客さんも見やすい感じでとざっくりとした指示しかくれない。そうなると、ベースとして過去に作った他システムのものをコピーするが、そこに使われている色がコーポレートカラーと合わないと大変だ。合わないのは分かっても、何色にすれば合うのかが分からないので、少しずつ変えながら試すしかない。色見本とか見たって分からないし、最終的にはめんどくさくなって、ダメならだれかが言ってくるだろうと投げ出すことになる。
どうしていいか分からず固まってしまった私のために、異例ではあるが、ヴェルナーが同席してくれることになった。ありがとう!
デザイナーさん曰く、前回決めたものは今の髪形に合わないので、全てやり直しだそうだ。
「どのようなものがよいか、イメージはありますか?」
「お任せします」
私に聞かないでください。いやほんと、無理だから。やる気がないとかじゃなくて、分からないから。
ヴェルナーが苦笑しながら、毎日私の着る服を用意してくれている使用人に、私の好みの形や色を聞いているが、出された服を着ているだけなので、好みなどない。
前世だってワンピースを愛用していたのは、組み合わせを考えなくていいからだ。
「あの、ヴェルナーが着てほしいと思うもので決めてください」
「じゃあ、ふりふりの可愛らしいのでも着るの?」
「……ヴェルナーが着てほしいなら」
「シンプルな感じにしよう」
からかわれたようだ。ひどいな。
ふりふりは、あのピンクのふわふわくんなら似合いそうだが、私には似合わないだろう。前回決まっていたのも水の精霊かな?という落ち着いて幻想的な感じだったし。
「色は前回の打ち合わせでは水色をベースにするというお話でしたが、いかがなさいますか?」
「ヴェルナー、前の時は何色だったのですか?」
「私は青、彼女はピンクだけど、同じのは避けようか」
「いえ、その……、思い出して辛くないですか?」
ヴェルナーは前の奥さんと死別している。本人からは何も聞いていないからどう思っているのかは知らないが、辛い記憶を思い出させるようなことはしたくない。
ヴェルナーは少し目を見張った後、微笑んだ。
「ありがとう。もう心の整理はついているから大丈夫。気を遣わせたね」
「いえ」
「リヒター、黄色は嫌かな?」
「黄色ですか?嫌ではありませんが」
「では黄色はどう?ダリアの黄色で」
ダリアは収穫祭の時の花で、本来はピンクのダリアを贈るのに、領民が私のために色を変えてくれた。そしてヴェルナーがダンスの前に贈ってくれたのが黄色のダリアだったから、黄色に賛成だ。
シンプルなデザインで黄色、それだけ決めて、あとはヴェルナーの衣装に合うように作ってもらうことになった。
結局、婚約破棄の話はうやむやに流されている。
けれど、ヴェルナーが間に入ってくれるなら、このままでもいいかなと思い始めた。
結婚式は王都で行われるので、いずれ王都に行かなくてはならない。父上と顔を合わせるのは気が進まないが、ヴェルナーがいてくれるなら、何とかなる気がする。
春になり、ヴェルナーとともに王都に向かう馬車に乗っている。
街道から見える麦畑には小麦が青々と実り、そろそろ冬小麦の収穫の時期だ。
今回、ヴェルナーには結婚式の前も公爵家のお屋敷に泊まってもらうようお願いした。
ヴェルナーは公爵領に移動する前は、実家である伯爵家ではなく小さな家を借りて生活していたが、すでにその家も解約している。本当は伯爵家に泊まるものだろうけど、正直今あの家にひとりでいたくない。
気付くとぼーっとヴェルナーを見つめていたようで、心配されてしまった。
「どうしたの?」
「いえ……、ヴェルナーが隣にいることに慣れたなと思いまして」
「それはよかった。まだ、婚約を解消したいと思っている?」
まさかここでその話をされると思わなった。
あれからヴェルナーも何も言わないので、立ち消えになったんだと思っていた。
もう結婚式の招待状まで送っているのだ。今更やめられない。
「いえ、あの話はもう忘れてください」
「リヒター、結婚したくないならしなくていい。君はもう少しワガママになるべきだよ」
「この状況でさすがに中止できません」
「構わないさ。君は薬師として、公爵家の後ろ盾がなくてもどこでだって生きていける」
「ヴェルナーはどうするのですか」
「君が嫌でなければついていくよ。ひとりにしないと言っただろう」
目が真剣だから、本当についてくるつもりだ。
こんな風に優しくされたら、離れられなくなってしまう。
俯いてしまった私の頭を撫でながら、甘えて良いんだよ、と言ってくれるから、涙があふれた。
ずっと誰かに甘えたかった。甘やかしてほしかった。
違うな。ずっと父上に甘えたかったのだ。
「父上は……、父上は母上に似ていない私を可愛がってはくださらなかった」
学園に通うために王都の屋敷に戻った私を見て、父上は仰った。「子どものころはリディアにそっくりで女の子のようだったのに、やっぱり男の子だな」と。
母上に似ていない私は、可愛くないのだろう。前のように抱き上げたり頭を撫でることもなくなった。
私は父上の期待を裏切ってしまった。
「お父上は、今でもリヒターのことを可愛いと思っていらっしゃると思うよ。少し、愛情表現が苦手なだけで」
「髪を伸ばしたら、母上にそっくりだと仰ってくださいました」
「それなのに切ったの?」
「あの時のことは、自分でもよく分かりません。でももう必要ないと思って」
殿下に言われて髪を伸ばしたら、父上が母上に似ていると喜んでくださったから、だから伸ばしていた。
情けないな。いつまでも手に入らなかったものを渇望して、前に進めないでいる。
髪を切ったのも、公爵家から出たかったのも、母上の面影から逃げ出したかったのかもしれない。
結婚式ではきっとおじい様とおばあ様にも会うことになるが、その時に笑っていられる自信がない。
そう言って、黄色い花を差し出したヴェルナーを、周りの若いカップルが羨望の目で見ている。さすが貴族、所作が洗練されていて紳士だ。
花を受け取ったはいいものの、どうしていいか分からず戸惑っていたら、ヴェルナーが花を胸ポケットに挿してくれた。女の子は髪に花を挿している子が多いが、どこかに花を身に着けていると、パートナーがいますよ、という印らしい。
ちなみにこの世界、貴族の嫡子以外は、男女どちらと付き合うのも自由だ。跡継ぎを残す必要がある嫡子は男女での結婚が義務だが、愛人はむしろ跡取りで揉めない同性のほうが歓迎される雰囲気もある。と言っても愛人を持つにもお金がかかるので、貴族か商人などの裕福な庶民に限られる。
始まったダンスは、決まった振りはなく、みんな適当に音楽に合わせて踊っている。こういうの苦手。
お手本があるものを模倣するのは得意だけど、適当とか創造性とか、選択の余地がありすぎるものは苦手だ。答えは1つに決めておいてほしい。
周りの子どもたちを見ながら、なんとなく踊っていると、ヴェルナーがくすくす笑っている。
ただでさえダンスは苦手で、夜会で踊れるようにかなり頑張って練習した。王子妃として、全てを完ぺきにこなせることを求められてきたのだ。
けれど、これは全く違うダンスで踊れるわけがない。ヴェルナーにこうして出来ないところを見られてしまった。悔しい。
「出来なくて戸惑っている方が人間らしくて可愛いよ」
大人の余裕を見せて慰められているが、これ慰めなんだろうか。
ヴェルナーは私のことを可愛いというけど、可愛いと言われていたのは学園に入る前までだ。子どもだと言われているような気がする。まあ実際10歳も違えば、ヴェルナーにとって私は子どもなんだろう。今も子どもが頑張ってて微笑ましいなあって感じの目で見ている。ヴェルナーは私の保護者か。
「もう子どもじゃありません」
「ごめんね。愛しい人、ご機嫌を直していただけますか?」
繋いだ手の甲に軽く口づけをされて、周りの女の子が黄色い歓声を上げた。紳士はそういう仕草も様になる。王子は俺様だったから新鮮だな。
紳士に負けずに私も頑張らなければ。
これはアメリカのドラマで見るプロムのパーティーだと想像するんだ。間違っても盆踊りではない。手を上に挙げるとなんとか音頭になりそうだし、下に出すとドジョウをすくってそうになるし、DNAは全く違うはずなのに、こんなところまで顔を出してくる2拍子大好き農耕民族の影響強すぎ。
四苦八苦しながら、ステップを踏んでいると、なんとなく様にはなったようで、ヴェルナーからも踊れているよ、と合格点を貰えた。ふう。
それからは、パートナーのいない子どもを誘って踊ったりと、なんだかんだと収穫祭を楽しんだ。
収穫祭も終わり、土壌改良の試験運用のための薬剤作りもひと段落したころ、結婚式の衣装の打ち合わせのために王都からデザイナーが来ると知らされた。
土の薬剤の改良版は、まだ情報を公開していないため私しか作れない。薬剤を使用する農地も限定して、思わぬ影響がないかを確認しているが、5年使い続けても平気そうなので、来年からは一般に売り出されることになるだろう。
「王都でやりましたよ?」
「髪を切って雰囲気が変わったからね」
やってしまった。
そういえば前世でも、切りに行く時間がなくてロングになった髪をショートにしてくださいと言ったら、服が合わなくなると美容師さんにかなり心配されたんだった。その時は髪を乾かす時間がもったいなくて、構わず切ってもらったけど。
「ヴェルナー」
「私は関われないよ。当日までお互いの衣装は見ないものでしょう」
執事を見るも、微笑まれるだけだ。どうしよう。
前回は座っているだけで、アルベルトの母上とデザイナーさんで決めてくれたのに。
だいたい、デザインとか一番苦手な分野だ。
システムを新規で作るときに一番頭を悩ませるのは画面デザインだ。社内システムではデザイナーもつかないし、お客さんも見やすい感じでとざっくりとした指示しかくれない。そうなると、ベースとして過去に作った他システムのものをコピーするが、そこに使われている色がコーポレートカラーと合わないと大変だ。合わないのは分かっても、何色にすれば合うのかが分からないので、少しずつ変えながら試すしかない。色見本とか見たって分からないし、最終的にはめんどくさくなって、ダメならだれかが言ってくるだろうと投げ出すことになる。
どうしていいか分からず固まってしまった私のために、異例ではあるが、ヴェルナーが同席してくれることになった。ありがとう!
デザイナーさん曰く、前回決めたものは今の髪形に合わないので、全てやり直しだそうだ。
「どのようなものがよいか、イメージはありますか?」
「お任せします」
私に聞かないでください。いやほんと、無理だから。やる気がないとかじゃなくて、分からないから。
ヴェルナーが苦笑しながら、毎日私の着る服を用意してくれている使用人に、私の好みの形や色を聞いているが、出された服を着ているだけなので、好みなどない。
前世だってワンピースを愛用していたのは、組み合わせを考えなくていいからだ。
「あの、ヴェルナーが着てほしいと思うもので決めてください」
「じゃあ、ふりふりの可愛らしいのでも着るの?」
「……ヴェルナーが着てほしいなら」
「シンプルな感じにしよう」
からかわれたようだ。ひどいな。
ふりふりは、あのピンクのふわふわくんなら似合いそうだが、私には似合わないだろう。前回決まっていたのも水の精霊かな?という落ち着いて幻想的な感じだったし。
「色は前回の打ち合わせでは水色をベースにするというお話でしたが、いかがなさいますか?」
「ヴェルナー、前の時は何色だったのですか?」
「私は青、彼女はピンクだけど、同じのは避けようか」
「いえ、その……、思い出して辛くないですか?」
ヴェルナーは前の奥さんと死別している。本人からは何も聞いていないからどう思っているのかは知らないが、辛い記憶を思い出させるようなことはしたくない。
ヴェルナーは少し目を見張った後、微笑んだ。
「ありがとう。もう心の整理はついているから大丈夫。気を遣わせたね」
「いえ」
「リヒター、黄色は嫌かな?」
「黄色ですか?嫌ではありませんが」
「では黄色はどう?ダリアの黄色で」
ダリアは収穫祭の時の花で、本来はピンクのダリアを贈るのに、領民が私のために色を変えてくれた。そしてヴェルナーがダンスの前に贈ってくれたのが黄色のダリアだったから、黄色に賛成だ。
シンプルなデザインで黄色、それだけ決めて、あとはヴェルナーの衣装に合うように作ってもらうことになった。
結局、婚約破棄の話はうやむやに流されている。
けれど、ヴェルナーが間に入ってくれるなら、このままでもいいかなと思い始めた。
結婚式は王都で行われるので、いずれ王都に行かなくてはならない。父上と顔を合わせるのは気が進まないが、ヴェルナーがいてくれるなら、何とかなる気がする。
春になり、ヴェルナーとともに王都に向かう馬車に乗っている。
街道から見える麦畑には小麦が青々と実り、そろそろ冬小麦の収穫の時期だ。
今回、ヴェルナーには結婚式の前も公爵家のお屋敷に泊まってもらうようお願いした。
ヴェルナーは公爵領に移動する前は、実家である伯爵家ではなく小さな家を借りて生活していたが、すでにその家も解約している。本当は伯爵家に泊まるものだろうけど、正直今あの家にひとりでいたくない。
気付くとぼーっとヴェルナーを見つめていたようで、心配されてしまった。
「どうしたの?」
「いえ……、ヴェルナーが隣にいることに慣れたなと思いまして」
「それはよかった。まだ、婚約を解消したいと思っている?」
まさかここでその話をされると思わなった。
あれからヴェルナーも何も言わないので、立ち消えになったんだと思っていた。
もう結婚式の招待状まで送っているのだ。今更やめられない。
「いえ、あの話はもう忘れてください」
「リヒター、結婚したくないならしなくていい。君はもう少しワガママになるべきだよ」
「この状況でさすがに中止できません」
「構わないさ。君は薬師として、公爵家の後ろ盾がなくてもどこでだって生きていける」
「ヴェルナーはどうするのですか」
「君が嫌でなければついていくよ。ひとりにしないと言っただろう」
目が真剣だから、本当についてくるつもりだ。
こんな風に優しくされたら、離れられなくなってしまう。
俯いてしまった私の頭を撫でながら、甘えて良いんだよ、と言ってくれるから、涙があふれた。
ずっと誰かに甘えたかった。甘やかしてほしかった。
違うな。ずっと父上に甘えたかったのだ。
「父上は……、父上は母上に似ていない私を可愛がってはくださらなかった」
学園に通うために王都の屋敷に戻った私を見て、父上は仰った。「子どものころはリディアにそっくりで女の子のようだったのに、やっぱり男の子だな」と。
母上に似ていない私は、可愛くないのだろう。前のように抱き上げたり頭を撫でることもなくなった。
私は父上の期待を裏切ってしまった。
「お父上は、今でもリヒターのことを可愛いと思っていらっしゃると思うよ。少し、愛情表現が苦手なだけで」
「髪を伸ばしたら、母上にそっくりだと仰ってくださいました」
「それなのに切ったの?」
「あの時のことは、自分でもよく分かりません。でももう必要ないと思って」
殿下に言われて髪を伸ばしたら、父上が母上に似ていると喜んでくださったから、だから伸ばしていた。
情けないな。いつまでも手に入らなかったものを渇望して、前に進めないでいる。
髪を切ったのも、公爵家から出たかったのも、母上の面影から逃げ出したかったのかもしれない。
結婚式ではきっとおじい様とおばあ様にも会うことになるが、その時に笑っていられる自信がない。
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