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一章 アリス・バース・デイ

先代の「アリス」 その1

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「アリス!」
「分かってる、油断は大敵だからね!」
 巨大なディスカーダーと相対する、ワンダーランズの面々。
「流石に、俺もそろそろ限界だな……」
 ダムとディーは既に戦線を撤退、ハートと白ウサギに至っては力が尽きかけていた。武器の名を呼び、力を解放する魔力も残っていない。
「まだ他のチームの援軍は来ないの……!?」
 この襲撃の同時刻、いくつかの地点で巨大ディスカーダーが発生していた。数が多いので複数チームで向かうわけにもいかず、苦肉の策でチームごとに各個撃破、という形になった。このディスカーダーはその中でも最上位クラスの脅威で、チームの人数も多く実力も高いワンダーランズが向かうことになった。しかし、現状は悲惨なことになっている。
「このままじゃみんなやられちゃう……」
「でも引くわけには行かないのよ!?」
 ハッターの言うことはもっともだ。全滅してしまっては元も子もない。
「……なら」
 アリスは剣を下ろし、アバターカードを持つ。
「……『ハートの女王、帰還せよ』」
「えっ!?」
 同時に、ハートの身体が光に包まれ、本拠地へと強制帰還させられた。
「ちょっと、なにしてるのアリス!」
「聞いて、ハッターちゃんに白ウサ君」
 アリスはディスカーダーを見据えたまま、真剣なトーンで続けた。
「白ウサ君、まだ速度強化の魔法を使える魔力……ここと近くのチームが居る場所の往復出来る分は残ってるよね」
「……ああ、なんとかな」
「ハッターちゃんを任せたよ。近くのチームのところまで行って、救援を要請してきて。今本部に呼びかけても時間かかるだろうから、直接行った方が早い」
「それじゃあアリス、あなたは!?」
「ここで、時間を稼ぐ」
 もう一度剣を構え直し、体制を整えたアリス。自分を犠牲にして、時間を稼ぐ……とても一人の力では出来そうにない。ましてや、この負傷している状態ではほぼ無理だ。
「大丈夫、なんてったって私は『日本支部最強の剣士』でしょ?どれだけ一緒にチームやってきたの、ハッターちゃん?」
「いくらなんでもそれは……」
「白ウサ君!」
「分かった……ハッター、すまないな」
 白ウサギはハッターを担いだ。
「白ウサギ!下ろしなさい!アリスが!」
「少し眠ってて」
 騒ぐハッターに、アリスは睡眠の魔法をかけた。たちまちハッターは眠ってしまい、寝息を立て始めた。
「ごめんね白ウサ君、辛い役割背負わせちゃって」
「いつも暴走するハッターを止めてたのは俺かアリスだろ?慣れたもんよ」
「……次の『アリス』と、遺されたみんなにもよろしくね」
「じゃあな、アリス……いや、結阿」
 それだけ言って、白ウサギは速度強化魔法をかけ、素早く去っていった。
「もう、類ったら。ハッターちゃんが起きてたらどうするのよ」
 互いの本名を呼び合い、今生の別れを告げたアリスと白ウサギ……否、恋人としての二人、森臣結阿と古蘭類こらん るい。アリスは深呼吸をして、ディスカーダーに叫んだ。
「あなた、律儀に待っててくれたのね。ちょっとは知性があるの?」
 アリスの問いに、ディスカーダーは唸って答える。それがなにを意図しているのかは分からないが、返答が出来るほどの思考は可能なようだ。
「じゃあ、見せてあげる!日本支部最強の実力を!『ヴォーパルソード』!」
 アリスは武器の名を呼ぶ。たちまち衣装も変わり、彼女の本気を窺わせる。そして、持てる魔力を最大限に解放し、ディスカーダーに吶喊する。
「せやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
 まさに獅子奮迅。全力のその先を超えた力でディスカーダーを圧倒するアリス。いくら強いとはいえ、ディスカーダーも疲弊して動きが鈍重になってきている。アリスの速度にはついていけておらず、ただ全身を斬られ続けるのみだった。
(ここで、私がこいつを倒せば!みんなに苦労が行かない!)
 斬る。
 斬り続ける。
 手応えを感じなくとも、いつか倒れると信じてアリスは斬り続けた。
 しかし、ディスカーダーもタダでは終わらない。この短い防戦の中で、アリスの攻撃するパターンを学習したようだ。『負の感情の塊』とくくるには、不可解なことだった。次第にアリスに攻撃が飛び、斬撃のチャンスを逃していく。
――グォォォォォォォォォォォォン!!!!
 先程のアリスの真似をしたのか、ディスカーダーは天に轟くような声をあげる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
 倒しきる予定だったが、倒せなかった。アリスは既に息も絶え絶えだ。
(視界が……霞んで……頭も回んなくなってきたな……)
 かろうじて気力で立っているものの、あと数回、最悪一撃で、アリスは戦闘不能になるだろう。
(……なら。この一撃に賭ける! )
 剣を低く構え直し、魔力を込め始める。これが、アバター『アリス』である所以。「任意の物を巨大化・矮小化させる」。『アリス』に与えられた固有能力だ。みるみるうちに、剣はディスカーダーの体躯を二倍以上も上回った。
「ヴォーパル、最期まで付き合ってくれてありがとう」
 アリスにとって相棒とも呼べる剣の名を呼び、頭上に振り上げる。
「ディスカーダー!あなたの最大の一撃を頂戴!」
 言葉を理解してか、ディスカーダーはその拳を握りしめ、何かのパワーを溜めているようだ。互いの力が干渉し、空気がビリビリと震える。
「ふぅ…………っ!『挑むは幼き、挑まれるは猛き。幼きが放つは龍をも討ち取る必殺の一撃』!『リベリオン・トゥ・ザ・ギルティ』!せぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
 終極魔法を発動したアリス。巨大化したヴォーパルに終極魔法を掛け合わせたこの状態が、『アリス』のアバターの最大限の本気である。
 ヴォーパルを振り下ろすと同時に、ディスカーダーはパワーを溜めた拳を振り下ろされるヴォーパルに向かって突き出す。次第に剣と拳がぶつかり合い、拮抗勝負が始まった。
 剣が押し。拳が押し返し。また剣が押し返す。何度かそれを繰り返し、ついに終わりが訪れる。
「……あっ」
 アリスは分かってしまった。剣越しに、力が下回ってしまったことを。
 そして、その次の瞬間。
――バギィンッ!
 大きな音を立てて、ヴォーパルが真っ二つに割れてしまった。大きさも元に戻ってしまい、ついにアリスは戦う手段を失ってしまった。
 ならば、剣で止めていた拳はどうなるか。もちろんアリスに向かって一直線に振り下ろされる。
「あ……ああ……」
 先ほどまでの自信はどこへやら、アリスは戦意を喪失してしまっていた。……いや、アリスも最初から怖かったのだろう。だが戦える手段があったことでギリギリのところで保てていた。しかしそれが無くなってしまった以上……。
 拳が迫る中、アリスは一つの考えしか出来なかった。
 せめて、逃げ回ることで時間を稼ごう、と。
「……っ!」
 アリスは拳から逃げるように駆け……ようとしたところで、身体の限界が来たようで、その場に倒れてしまう。
 そこに、容赦なく振り下ろされる拳。
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!」
 全身は免れたものの、両脚は機能を失ってしまった。こうなってしまったら、残された移動手段は這いずるのみ。
「う……っ、ううっ…………!」
 激痛。それ以上に、負けてしまった悲しみが強かった。アリスの目からは涙が溢れ、土を黒く染めていく。
「ごめんね、みんな……負けちゃった……」
 そんなアリスのことなど知らず、ディスカーダーはアリスの片腕を掴み持ち上げた。矮小な人間の体躯など、すぐに宙に浮いてしまう。ディスカーダーは顔の目の前にアリスを持ってきた。
「やだ……死にたくない!まだ!私はみんなが来るまで死にたくない!」
 泣け叫び、もがくも、ディスカーダーには通じない。アリスをあざ笑うかのように、ディスカーダーはアリスを真上に軽く投げた。
「あ」
 魔法も使えない今、攻撃をされようが放置されようが地面に強く追突し、死ぬだろう。それをアリスは悟ってしまった。
 無慈悲な拳の一撃が、アリスを襲う。拳は的確に身体の中心を捉え、凄まじい勢いでアリスを地面に叩き落とす。
 もちろん、即死だ。
『アリス』の衣装は消え、『森臣結阿』へと戻る。衝撃でえぐられたクレーターの中心に、その死体は横たわる。ディスカーダーも力を使い果たし、自分を維持できなくなったのか、自然に霧散していった……。


 
 アリス死亡同時刻。
 死んだのを真っ先に知ったのは、別チームに合流しようと移動していた白ウサギだった。
「……やっぱり、間に合わなかったか」
 実は先ほどの別れの際、白ウサギはアリスに視覚共有の魔法をかけていた。なので、リアルタイムでアリスの戦況は知っていた。
「……結阿が戦ってたディスカーダーも、反応消失……あいつは、勝ったのか?」
 端末を見て、白ウサギは呟いた。もう誰かと合流する意味は無いと踏み、近場の木にハッターを寄りかからせる。その近くに、自分も座った。
 静かな乾いた風。白ウサギは空を見上げていた。
「……はぁ」
 そして、大きなため息。
 白ウサギ……類にとって、彼女は二つの意味で大切な存在だった。恋人、森臣結阿として。ワンダーランズの仲間、アリスとして。仲間には互いに恋人であることを隠していたが、おそらくダムには既に察されているだろうと、白ウサギは思っていた。
 類は、今までの思い出を辿っていく。
 二人は幼馴染で、ずっと仲が良かった。学校も、大学まで同じ。人生のほとんどを一緒に添い遂げていた。恋人になったのはいつからかもう覚えていないが、自然とそうなっていた。
 そんなとある高校一年の日に、二人に揃ってLoOKsからカードが届いた。当時、『ワンダーランズ』というチームは存在しなかった。つまり、新設されたチームだったのだ。そこで二人は、チームメイトの三人と出会う。マッドハッター、トゥウィードル・ディー、トゥウィードル・ダム。結阿はすぐに全員と打ち解けたが、類はなかなか馴染めなかった。そんな時も、架け橋となったのが結阿だった。彼女が居なければ、今でも類は馴染めていなかっただろう。
 そして、幾多の戦闘をこなし、チームワークも深まり、他チームとの交流も増えてきた。時はあっという間に流れていき、二年の月日が経っていた。最初は仲が悪かったダムとディーが仲良くなり、それに期間を置かずハートの女王が加入した。そんな時も、やはり結阿が率先して仲良くなっていった。
 結阿は、『アリス』は、名実ともにワンダーランズのリーダーだった。いつからだろうか、比較的新人の部類に入るのに『日本支部最強の剣士』と呼ばれていたのは。『アリス』としては近くも遠い存在になってしまったが、『森臣結阿』としては、依然として変わらない距離だった。
「類はいつも私の憧れ」。口癖のように言っていた言葉だ。この言葉に、幾度と無く心救われ、元気付けられてきていた類。それを思い出し、類の両目からは涙が大量にこぼれ落ちる。
「俺は……あいつを守ってやれなかった……クソッ……クソォッ!」
 地面に項垂れ、何度も何度も地面を殴りつける類。もうあの言葉を、あの声で、あの姿で、あの表情で、あのトーンで、二度と聞けない。その現実が、類を殴りつけ、後悔を心に刻んでいく。彼にとっては、半身を失ったようなもの。その空いた半身に、深い絶望が溜まっていった。
「あいつが居なけりゃ……俺はどうして生きていけば……」
 慟哭の声に目を覚まされたのか、ハッターが少しずつ覚醒していった。
「う、ううん……ここは……って、アリス!」
 アリスのことを思い出してからは、覚醒は早かった。すぐさま白ウサギに詰め寄るハッター。
「白ウサギ!アリスは?!どうなったの!?ねえ!」
 だが。何度揺さぶっても反応は無い。
「白ウサギったら!…………え?」
 違和感を覚え、ハッターは端末を見る。そこには、一つディスカーダーの反応。しかも、すぐ目の前。
「まさか……白ウサギ!正気を取り戻して!」
「俺は……あいつが居ないなんて……!」
 ゆらりと立ち上がった白ウサギの姿は、左半身がディスカーダー化していた。白い衣装は黒く染まり、腕は異形と化し、顔半分は真っ黒の中から真紅の目が覗く。
「ぁぁぁぁぁぁああああああああああっっっっっ!!!!!」
 叫ぶと同時に、周囲の空気がどんよりとしていく。
「白ウサギ!」
 ハッターが呼びかけるも、一切反応をしない白ウサギ。アリスを喪った絶望と哀惜、アリスを葬ったディスカーダーに対する憎悪と憤怒。その暗い感情が、白ウサギを媒介にディスカーダーを生み出してしまった。
「くっ……この負傷状態で戦うなんて、あまりも無謀すぎる……!」
 ディスカーダー化の影響か、白ウサギの傷は癒えていた。対して、ボロボロで治療もあまり受けていないハッター。どちらが勝つかは明白だ。
「なんだ……そこに居るのはディスカーダーか……?」
「白ウサギ……?まさか、私がディスカーダーに見えてる……!?」
「ディスカーダーめ……殺してやる……!殺しテヤルゥゥゥゥゥゥ!!」
(まずい、やられる……!)
 正気を失い暴走している白ウサギに襲いかかられるハッター。自らも死を覚悟して、防御の姿勢は取りつつも目を瞑る。
 しかし。その攻撃はハッターには届かなかった。
「……え?」
 恐る恐る目を開けると、そこには魔法の障壁が展開されていた。
「た、助かった……?」
 だが、そんな障壁も破らんとしている白ウサギ。この障壁もいつ破られるか分からない。ハッターはどうにかしてこの状況を打開する方法を模索した。
 と、そんな時。
「君のチームメイトはこんなにも凶暴だったか?」
 突如、頭上から聞こえてくる声。そして、その声の主は続けた。
「全く手のかかる……『シュガースウィート・ロック』」
 すると、白ウサギの身に砂糖が張り付いていく。しだいに、それは全身まで及び、固まって動きが封じられた。
「帽子屋君、間に合ってよかったよ」
「充分遅いわよ」
 箒に横座りしている、魔女の装いの女性が降りてくる。
「お連れの二人は?」
「あの二人を連れてくるより私が一人で来る方が早いからね」
 箒から地面に降りた彼女は、『お菓子の家の魔女』。ハッターの言う二人とは、『ヘンゼル』と『グレーテル』のことである。
「それにしても……なんだい、これは。メンバーからディスカーダーが産まれる、なんてのは見たこと何度もあるけれど、メンバーがディスカーダーになるのは初めてだよ」
 呻きながら必死にもがいている白ウサギを見ながら、魔女は言った。
「一度全てのディスカーダーの反応が消えた後、君の反応の近くにまた現れたから、ボロボロの身をこき使って急いで来たんだけどね」
「嘘つきなさい、全く疲れて無いように見えるわよ」
「効率的に敵を倒してるのだから脳は疲れるだろう?」
 言いつつ、自分の魔法でチョコレートを生み出し食べ始める魔女。
「目の前で危険な物が暴れてるってのに余裕ね」
「無論、どうすればいいかは考えている。私の『シュガースウィート・ロック』はそう簡単に破れはしないさ」
 魔女はもう一度チョコレートを生み出し、ハッターに差し出した。ハッターは受け取りつつも、この状況でマイペースに食べれるほどの余裕はなかった。
「君に質問しよう。何故彼はディスカーダーになってしまったんだ?」
「アリス……」
「アリス君か、その彼女は?」
「……死んだわ」
「そうか、それは失礼した。だが、大切なチームメイトとはいえ、そんなにも悲しむものか?……おっと、失礼」
 ハッターの殺気を感じ、とっさに謝罪する魔女。
「たしかに、私とてあの二人が死んだら悲しみはするだろうさ。しかし、ディスカーダーになるほど悲しむものなのか?ということだ」
「一理はあるわ。でも、あなたみたいにみんな聡明じゃないし単純なのよ」
「思うに、アリス君と白兎君は現実世界で何か特別な関係だったのではないか、と推測する。例えば……恋人、あるいは夫婦。あくまで推測には過ぎないが」
 ハッターは今までの二人を思い出す。言われてみれば、ただのチームメイト、というには仲が良すぎるように思えた。仲良くなってからのダムとディーの完璧な連携を、二人は最初から備えていた。アリスも白ウサギも、二人で行動していることが多かった印象だ。あの朴念仁のダムが空気を読むレベルで、だ。
「その顔、ということは概ね正解なのだろうな。そうならば納得がいくな」
 同時に、魔女はチョコレートの最後の一欠片を飲み込む。その早さからして、脳が疲れているのは本当のようだ。
「さて、結論が出たところでこれをどうするか考えなければ。一時的無力化を講じているが、このままというわけにもいくまい」
 諦めが悪いのか、それとも本能的なものか、未だに白ウサギは暴れている。
「あなたでも対策は思いつかないの?」
「二つは」
「聞かせて」
「一つ、このまま始末する。二つ、強力な睡眠魔法をかけ、本部で精密検査をする。私的には強力とはいえ睡眠魔法が破られる可能性を考慮すると、始末する方が得策と考える」
 白ウサギを始末……その提案だけは、ハッターは飲めずにいた。確率が低いとはいえ、後者の方に賭けてみたい、と。
「まあ、聞くまでもあるまい。『ファシネイト・スリーピング』」
 そんなハッターの思考を読み、魔女は睡眠魔法をかける。アリスがハッターにかけた簡易的なものよりも何倍も強力なものだ。白ウサギはだんだん動きがなくなっていき、次第に動かなくなり寝息を立て始めた。だが、ディスカーダー化は解除されなかった。
「ふむ、解除されない、か……解剖してみたいな」
「やめて、あなたのアバターネームの元の逸話からしてシャレにならないから。ヘンゼルかグレーテルに燃やしてもらうように頼みましょうか?」
「冗談だよ、冗談。それはさておき、確認したところ今は一時的に君にリーダー権が移っているようだよ。一緒に帰還といこうじゃないか」
ハッターが端末を確認すると、たしかにリーダー権が移っているようだった。個人的に、白ウサギの方に移っていると思っていたが、この現状からして白ウサギにリーダー権が移っていなくてよかった、と安堵した。
「そうね、一刻も早く白ウサギを元に戻さなきゃ……『マッドハッター、白ウサギ、帰還』」
「『お菓子の家の魔女、帰還』」
 二人は同時に言い、本部へと帰還していった。
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