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幕間

Vol.4 代替わり

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アリス「こんにちは……アリスです……」
トラソル「トランプソルジャーでーっす!」
アリス(またあの部屋に呼ばれたわけだけど……まさか越恵と一緒だなんて……)
トラソル「どうしたんですかアリスさん?」
アリス「いや……ちょっとね……とりあえず今回のテーマ、確認しよっか……」
トラソル「はいはいーい、えーと、『今回のテーマ:代替わり』ですって」
アリス「また胃に悪いテーマを……」
トラソル「?」
手毬糸「……悪いな、アリス」
アリス「本当ですよ」
トラソル「あ、もしかして例の代表さんですか?初めまして!」
手毬糸「ああ、君は手紙で加入したのではなかったな、初めましてトランプソルジャー。私はLoOKs日本支部代表、手毬糸原佳だ」
トラソル「よろしくおねがいします!」
アリス「で、今回のテーマですけど」
手毬糸「ああ、そうだったな……さて、代替わりについて、だったな」
トラソル「このアバターってのも代替わりするんですね」
アリス「うん、するよ」
手毬糸「第一、イギリスにある本部が600年ほど前からあるのだから、それから代替わりしていない奴が居たら恐怖だろう」
トラソル「そんな前からあるんですね……」
アリス「私も初耳です」
手毬糸「まぁ、誰もこの組織の設立については興味無いだろうがな……話を戻そう、代替わりの条件についてだが、主に3つだ」
トラソル「そんな簡単にやめれちゃうんですか?」
手毬糸「まず1つはもちろんとして本人志願。個人の都合もある故、今のところこれが一番多いな」
トラソル「ほえー」
手毬糸「次に一定の年数に達したら自動的に代替わりが発生する。と言っても特に年数は定められていないし長くても30年ほどだ」
アリス「つまりは死ぬまで働かせられるってことも……?」
手毬糸「ところでアリス、そこにもう一つ紙があるだろう?それを覗いてみろ」
アリス「え?」
トラソル「なんか紙というか、封筒が……そもそもさっき入ってきた時ありましたっけ」
アリス「なんか細長い紙が入って………………」
トラソル「……アリスさん?」
手毬糸「それは実績に合わせた『報酬』だ、諸々の手続きはこちらでしているから問題ないがな。これなら続けるような奴が居ても不思議ではないだろう?」
アリス「……これ、下手したら年収やばいんじゃ」
手毬糸「諸々の手続きは済ませている、と言っているだろう?幸いにも財源はあるのでな」
トラソル「……実はやばい組織だったりしません?」
手毬糸「やばい組織、という点については同意する」
アリス「……じゃなくて、話戻しましょう」
トラソル「そうですよ、その報酬の額も気になりますけど、最後の条件が話されてないじゃないですか」
手毬糸「……アリス。別に席を外してもいいんだぞ」
アリス「いえ、これはある意味使命のようなものですし、『アリスさん』にも託されたものですから」
トラソル「?」
手毬糸「3つ目の条件……それは、本人が死亡すること、だ」
トラソル「し……ぼう?」
手毬糸「そうだな……話してもいいものか、ふむ」
トラソル「ちょちょちょ、どういうことなんですか?し、死亡って」
手毬糸「『アレ』についてはもう話されたのだろう?」
アリス「と言っても、トラソルちゃん加入前ですし」
手毬糸「本人が話しているならいずれ知るだろうしいいか」
トラソル「だから!何の話なんですかって!」
アリス「えーと……」
手毬糸「いい、私が話す。……先月、6月3日のニュースを覚えているだろうか」
トラソル「え?えーと……ニュースニュース……」
アリス「変死体のニュースだよ」
トラソル「……あーっ、あのお姉ちゃんに見せたニュース!」
手毬糸「それは知らないが……ともかく、あのニュースで上がっていた名前、『森臣結阿』という女性のことなのだが……それが、ディスカーダーとの戦いで殉職した『先代のアリス』なのだよ」
トラソル「え……」
手毬糸「このディスカーダーとの戦いは、死と隣り合わせなのだよ。先程アリスに見せた報酬も、そのためだ」
トラソル「き……聞いてないですよ!?」
手毬糸「こちらとしてもそう思っている。大変この組織のシステムというものは理不尽なのだとな」
トラソル「他の皆さんは……この事知っているんですか」
手毬糸「無論、知っている」
トラソル「そんな……じゃあなんで、戦っているんですか。報酬が高いとはいえ、命と隣合わせの場所に、それも訓練積んでない一般人になんて」
手毬糸「抜けてもいいのだぞ?勿論こちらの世界の記憶は消させてもらうが」
トラソル「でも……皆が頑張ってるのに、私だけ逃げたくないです」
手毬糸「そうか、ならその志を持っているがいい。とても素晴らしいことだ」
トラソル「……くっ」
アリス「トラソルちゃん、気持ちは分かる。私も初めて聞いた時は驚いたし。今も戦うのは怖いって思ってる。けど……受け継いだ力を、皆の為に使いたいから」
手毬糸「……ほう、アレから考えたな」
アリス「はい。なった当初はてんやわんやでしたけど、もう覚悟を決めました。それに……」
手毬糸「それに?」
アリス「剣……ヴォーパルを通して先代のアリスさんから、煽られたんです。『私には遠く及ばない』って。それになんだかムカついちゃって。追いついてやろうって思いましたし」
トラソル「つ、強いですね~……」
手毬糸「その心意義で今後も努めていってくれ。ではアリス、今回の総括を」
アリス「はい。えーと、『代替わりの条件は3つ。ひとつ、本人志願。ふたつ、一定年数。みっつ、死亡』……ですね」
手毬糸「新人のトランプソルジャーも、励んでくれ。ではな」
トラソル「…………はぁ~、なんか嫌なこと聞いた気分~」
アリス「まぁまぁ、気分を落とさないで。それに、報酬があれば好きなもの買えるし」
トラソル「……!!!! そうですよ!!!!これでルナウルのグッズが大量に買える!!!!」
アリス「あー、ルナウル好きなの?」
トラソル「はい!!!!それはもう!!!!」
アリス「じゃあ、いい人を紹介するよ。きっと、仲良くなれるよ」
トラソル「まさか、他のファンの方が!?」
アリス「うん、そうだよ。会ってみたい?向こうの人の都合にもよるけど……」
トラソル「会いたいです!!!!」
アリス「そっか、じゃあ聞いてみるよ」
トラソル「ありがとうございます!!!!はぁ~、まさか同好の士と話せるなんて~……感激……」
アリス(本人が居るって知ったら、びっくりするだろうなぁ……)
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