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続編/高宮過去編
高宮side―1
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十三年ぶりに家族と再会して多少のぎこちなさはあるもののわだかまりが解けだした。
両親は結婚に反対なんか当然なく素直に喜んでくれて、その姿を見た時になんだか胸の中が浮き出すような感覚を覚えた。
こんな風に両親が嬉しそうにしている姿を初めて見る、そんな気がして自分が本当に家族と何も向き合ってこなかったんだと知ることになる。
「……ずっとごめんね、俺、なんにもわかってなくて」
思わずこぼれた言葉に、母親が息を呑んだのがわかった。
「自分のしてることが正しいって思い込んでただけなんだなって今気づいた……ごめん。俺、なんにもわかってなかったよ、ほんとにみんなの気持ち、ごめん」
謝るのも無責任な気がしたけど、謝るしかできなくて。それで気が晴れたわけではないけれど、言わないといけないことは言葉にしなくては、そんな気持ちだけが心にあった。
彼女がソッと俺の手に触れてきてまた涙目で見つめてくるから安心して、ああ、彼女をここに連れてきて良かったな、そんな風に感じていた。
「謝らないで、駿。お母さんも本当にあなたにお母さんらしいことしてあげられなくて……後悔ばかりしても遅いのに、どうしてもっとってそればかり……だからあなたがこれから悩んだり迷ったりした時は心から支えたいし応援もしたいって思ってる。させて欲しいの、遠くからでいい、なんでもいい、あなたにはもうそばで支え合える人がいるだろうけど、でも、あなたの家族として、あなたを想ってること、許して欲しいの」
涙を滲ませながら母に言われて胸がいっぱいになった。
心の中にいくつもの部屋があったなら、その中は誰も入れない空室があった。でも今その部屋の扉は開いて、窓が開き風が抜けて日差しが入った、まるでそんな風に心の中で感じていた。
「ありがとう、これからは色んなこと相談させて?」
そう返した俺に母はまた泣いてしまって、父と颯ははにかみながら笑っていた。
そして――。
「だから泣きすぎ」
「もうほっておいて……」
メガネを外して泣き続ける彼女の顔は全体的に浮腫んで腫れてしまっている。
実家からの帰り道。余韻がひどい彼女はまだグズグズと泣いていた。
「何をそんな泣くことがあるの?俺のことでしか泣けないとか嘘じゃん、めっちゃ泣くじゃん、俺以外のことでー」
「どこがぁ?これもう駿くんのことでしょ?あなたのことで泣いてるんです!」
「そぉ?それほんとに俺のことぉ?」
「良かった、お母さんもちゃんと言いたいこと言えたって感じだった……良かったねぇ」
「ほら、今お母さんもって、俺のことじゃないじゃん。俺のことで泣いてるわけじゃないじゃん」
「駿くん、うるさい!」
そんな風にバカみたいに戯れ合いつつ、ふたり家路まで帰ったんだ。
両親は結婚に反対なんか当然なく素直に喜んでくれて、その姿を見た時になんだか胸の中が浮き出すような感覚を覚えた。
こんな風に両親が嬉しそうにしている姿を初めて見る、そんな気がして自分が本当に家族と何も向き合ってこなかったんだと知ることになる。
「……ずっとごめんね、俺、なんにもわかってなくて」
思わずこぼれた言葉に、母親が息を呑んだのがわかった。
「自分のしてることが正しいって思い込んでただけなんだなって今気づいた……ごめん。俺、なんにもわかってなかったよ、ほんとにみんなの気持ち、ごめん」
謝るのも無責任な気がしたけど、謝るしかできなくて。それで気が晴れたわけではないけれど、言わないといけないことは言葉にしなくては、そんな気持ちだけが心にあった。
彼女がソッと俺の手に触れてきてまた涙目で見つめてくるから安心して、ああ、彼女をここに連れてきて良かったな、そんな風に感じていた。
「謝らないで、駿。お母さんも本当にあなたにお母さんらしいことしてあげられなくて……後悔ばかりしても遅いのに、どうしてもっとってそればかり……だからあなたがこれから悩んだり迷ったりした時は心から支えたいし応援もしたいって思ってる。させて欲しいの、遠くからでいい、なんでもいい、あなたにはもうそばで支え合える人がいるだろうけど、でも、あなたの家族として、あなたを想ってること、許して欲しいの」
涙を滲ませながら母に言われて胸がいっぱいになった。
心の中にいくつもの部屋があったなら、その中は誰も入れない空室があった。でも今その部屋の扉は開いて、窓が開き風が抜けて日差しが入った、まるでそんな風に心の中で感じていた。
「ありがとう、これからは色んなこと相談させて?」
そう返した俺に母はまた泣いてしまって、父と颯ははにかみながら笑っていた。
そして――。
「だから泣きすぎ」
「もうほっておいて……」
メガネを外して泣き続ける彼女の顔は全体的に浮腫んで腫れてしまっている。
実家からの帰り道。余韻がひどい彼女はまだグズグズと泣いていた。
「何をそんな泣くことがあるの?俺のことでしか泣けないとか嘘じゃん、めっちゃ泣くじゃん、俺以外のことでー」
「どこがぁ?これもう駿くんのことでしょ?あなたのことで泣いてるんです!」
「そぉ?それほんとに俺のことぉ?」
「良かった、お母さんもちゃんと言いたいこと言えたって感じだった……良かったねぇ」
「ほら、今お母さんもって、俺のことじゃないじゃん。俺のことで泣いてるわけじゃないじゃん」
「駿くん、うるさい!」
そんな風にバカみたいに戯れ合いつつ、ふたり家路まで帰ったんだ。
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