目標のある幸せ ー卒業ー

根来むそお

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目標のある幸せ ー卒業ー 第二話

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 修学旅行の日も、いつものように春代が迎えに来て玄関から私を呼ぶ声がする。

「おはようございまーす。失礼しまーす。紗良ーいるー? 行くよー」

「分かったからちょっと待って、それじゃあお母さん行ってきます」

「紗良さん、気をつけて行ってらっしゃい、春代ちゃんも気をつけてね」

「わかりました。紗弓さん、行ってきまーす」

 春代はそう言って私の手を引くと嬉しそうに家を飛び出す。
 梅雨の季節にしては天気も良く、これから向かう広島も晴れということだったので、春代と出かけるのに天気がいいのはよかったと心から思う。
 学校につくと新幹線の駅までバスで行くためにみんなが校庭に集まっていた。

「ところで紗良くんは何でそんなに荷物が少ないのかね」

 春代が私の荷物を見て何を持ってきたのかと言っていた。

「むしろ、はるのほうが何を持ってきているのかでしょ、それを持って歩くのですか?」

「だって、宿でゲームとかしたいと思って、女子トークにお菓子も買ってきたし」

「金額決まってましたよね。宿に帰ったらご飯食べてお風呂入って寝るでしょ。そもそも寝る前にお菓子とか、胃に負担がかかって寝不足の原因になるって言われてるし」

「そんなこと言ってるのは紗良だけだよ」

 私だけではない。論文にもそういう可能性が示唆されていると出ているという話しは春代は全く聞いてはくれない。
 修学旅行は単位のための勉強に行くものだと思っていたので二泊三日の日程表を見ただけでろくに行動内容を調べもしなかったし、単純に小学生、中学生と大してやることが変わらないのだなと思っていたが違うのか?

「そうでしたか。まあいいです。荷物が重かったら少し持ってあげますから」

 とりあえず荷物を一つ渡せと手を出す。

「本当に? ちょっと紗良の表情がいつもよりさらに消えちゃったみたいで気にはなるけど。ありがとう」

 広島に着くと、そこからはバスに乗り宮島と宮島水族館にいった。
 宮島ではこれが写真でよく見る能舞台かと思って、もっとよく見ておきたかったが、みんなは鹿ほどにも興味がなくどんどん進んでいくので置いていかれそうになる。

 個人的には生の鹿も初めてみるので興味深いと思ってじっと見ていたら、何故かせんべいを奪い取る勢いの鹿ですらよってこなくなり一定の距離を保つようになったのはどういうことなの?

 水族館では図鑑で見た魚が実際に動いているのを見ると、こうなっているのかと思うことも多く、興味深いとじっとしていたら、またもや置いていかれそうになり春代に手をつながれた。

「なんだかんだ言って、紗良は楽しんでいるよね」

「実物は情報量が違いますからね。写真や挿絵では裏側とか見えないですから」

「情報量ね……それは良かったね。じゃあまた水族館とか動物園とか行こ」

「はるが付き合ってくれるんですか? 私、その場から動きませんよ」

「もちろん、何かをじっと見てぶつぶつ言ってる紗良を見ているのが昔から好きだから」

 春代が今日は置いてかれるから行くよ、と言いながら私の手を引いてくれた。
 バスで宿につくとご飯を食べて、何人かに分かれて順番にお風呂に行き、布団を敷いて寝る時間になった。

「それではおやすみなさい」

 私はそそくさと端の布団に入って横になる。

「ちょっと紗良、なにもう寝てるのよ」

「何って、寝る時間ですから寝ますよ。寝られるときに寝ないと。寝不足は体に良くないですし」

「言ったでしょ、布団を敷いてからが女子トークの時間だって」

「言っていましたが、女子トークって何ですか? 特にこれといった議題があるとも思えませんが」

「議題って……、とりあえず好きな人の事とか」

「はるは、私に今そういう人がいると思っているのですか?」

「いえ、思っていません」

「じゃあさ、相羽さんの理想の人っているの?」

 クラス委員をしている和田秋穂が訊ねてきた。

「私の理想の人ですか? 理想かどうかは分かりませんが、私の両親は普通に仲がよくていいと思います」

「へえ、お父さんってどんな人?」

「いってもまあまあ普通の人ですが、愛想がないのが欠点ですね」

「こういってはなんだけど、それって相羽さんと一緒じゃない?」

「ハイ駄目、もう紗良がお父さんは普通って言った時点で、かなりのイケメンじゃないと勝てないからこの話しは終了」

 春代が話しを遮ると、みんながそうなの? と言った。

「紗良の家は秋穂が言うように紗良に似た風の男の紗良と、もう一人大人の女性で愛想の良い紗良が、夫婦でいると思ったら大体間違いないから」

 みんなが「どんなけイケメンカップルなの? その夫婦」といって、それに引き換え自分の親がどうとかクラスの男子がどうとかいうのを私は横で聞いていた。

「はる、昨日のあれが女子トークですか?」と翌朝春代と並んで話しかける。

「ん? まあ、あんな感じかな。みんな話しがしたいだけだから。話すことでストレスを発散する感じ」

 私としては、同感はできないが気持ちをあえて口にすることで、気持ちの整理ができるということはわかるので、あれがそうかと自分の中で納得する。
 次の日は広島公園に行き平和について話を聞いたりしたあと、また夜は同じように女子トークやゲームをすることになった。
 ゲームについては勝ち負けとかがつくと嫌だからということにして遠巻きに見ているだけにしていたが、春代は私が運以外の要素で全部勝ってしまうのを避けたいと思っているのを汲み取って、自分の後見に回れと仲間外れにならないように輪の中にいれてくれる。
 なので時々春代にこれはこうしたほうが良いですよ、とアドバイスをしながら寝る前のひと時を心地よい雰囲気の中で過ごすことができた。

 最終日には自由時間があり、お好み焼きを食べに行ったり球場を見に行ったりした後、新幹線で春代と他愛もない話しをしながら帰った。

「お母さん、ただいま」

「紗良さんお帰りなさい、どうだった? 楽しかった?」

「水族館とかにもいけて楽しかった。行ってよかったと思う」

「そう。それならよかった。着替えてシャワーでも浴びてきなさい」

 シャワーを浴びた後、修学旅行であったことを話してあげたら、お母さんが楽しそうに聞いてくれていた。


 私たちのグループの活動には握手会というものがあり、ファンの人と話しをする機会でもある。そんな握手会の休憩時間に美香やさなえと話しをするのも楽しい時間だと、私は思っている。

「紗良ちゃん、この格好どう?」

「美香はいつも本当にかわいくてきれいな格好をしてますね、今日も可愛いですよ」

 そう言って微笑むと本当にうれしそうな顔をして喜ぶので、こちらも自然といつもの仏頂面が笑顔になってくる。

「美香は紗良に微笑まれても、大丈夫なの?」

「大丈夫って何? さなえさんは美香のことがうらやましいんですか? 私は大丈夫も何も微笑まれて普通にうれしいよ。だからこうやって紗良ちゃんに見てもらってるんじゃない」

「そうなんだ。美香はいつもあの笑顔を見せてもらってるから慣れてるのか。もう紗良の笑顔中毒なのかもよ」

「さぁちゃんは、何をわけのわからないことを言っているんですか? 私は仕事ではみんなに笑顔を見せているつもりですが」

「私と話しているときは、ほぼ仏頂面でしょうに。今でも紗良の笑顔を間近で見ると本当にドキドキするんだから。紗良はもっと自分の笑顔の価値を理解するべきだと思う」

「価値を理解? 笑顔を見せているつもりと言いながら自分で言うのも恥ずかしい話ですが、私は基本的に仏頂面なんですよ。幼馴染のはると話すときにも普通は仏頂面です」

「じゃあどんな時に笑顔なわけ?」

「例えばさっきの美香の時みたいに可愛いなと思ったりとか、主にお仕事の時ですかね。そのために練習していますから。私が何もないのにヘラヘラしてたら頭がおかしくなったと思われそうですよ」

「ヘラヘラって。別にいいんだけど、たまには私にも微笑みなさいよ」

「美香わかっちゃった。それがさぁちゃんの本音でしょ。微笑んでもらいたいんだ」

「さぁちゃんがいい子にしてたら私も微笑んであげますよ。さあ休憩時間は終わりです」

 握手会ではファンの人から短い時間でこれをしてほしいとか言われることが多く、私の場合は極端で微笑んでくださいと叱ってくださいが半々くらいだった。
 微笑んでくださいは練習しているので何とかなるが、叱ってくださいは正直なところわけがわからない。

「こんにちは紗良さん。僕を叱ってください」

「こんにちは、ありがとうございます。ところで、叱るって何でですか? 何に対して?」

「じゃ、じゃあ仕事をしろとか」

「仕事をしなさい! これでいいですか?」

 ファンの人が私にそう言われて「ありがとう」というのと同じくして、剥がしの人の「時間です」のセリフとともにファンの人は消えていく。
 次から次へとファンの人が来てくれるので深く考える間もなく、握手会が終わってからようやく考える時間ができた。

「結局、何がしてほしかったのだろう?」

「何? 紗良に悩み事?」

「絵里奈、お疲れ様」

 珍しく握手会のスケジュールが取れた絵里奈を目当てにしたファンが、それはもう長蛇の列だったので、やっと終わったようだ。

「別に悩んでいる訳ではないですが、ファンの人から微笑んでとか言われるのは良いにしても、叱ってくださいとか何を言っているのだろうかと思いまして」

「別に何も深く考えなくていいんじゃないかな。みんなは軽い感じに微笑んだり叱ってほしいだけだと思うよ」

「そうなんですか?」

「そうそう、だって紗良が本気で気持ちを込めて相手の目を見て微笑んだら、催眠術にかかったみたいになるもの」

「はぁ。そうですか?」

 そんな超能力は私にはない。

「ほら、石の女神像があるとするじゃない、その女神像に祈っていて突然人の姿になって微笑んできたらどう?」

「ちょっと驚きますね」

「何言ってるの? 石が動くんだからすごく驚くのよ。紗良の笑顔はそんな感じ」

「全然わからないですが、ギャップに驚くということですかね」

「だめだこりゃ。紗良自身には伝わらないかぁ」

「それでは、叱ってくださいというのはなんだと思います?」

「それは紗良にお母さんみたいに叱ってもらったら、やらないといけないなって思うんじゃない?」

「叱られてやる気が出るというのは、私には正直なところ分かりませんが、そういう性格の人たちなんですね」

 そういう性格の人たちだと言われれば納得できなくもないが。

「紗良はいつも自分でやってから叱られる人だものね。でも紗良に叱ってほしい人は本気で紗良が怒ったときのことを知らないからそんなことが言えるのかも」

「どういうことですか?」

「私が襲われたときに助けてくれたでしょ、あの時の相手を睨み付ける紗良は本当に怖かった。私にはすぐに優しい笑顔を見せてくれたけど、あんな風に怒られるとわかっていたら、とても叱ってくださいとか私は怖くて言えない」

「それは遺伝ですね。うちのお母さんも怒らせたら信じられないくらい怖いですよ。思い出すだけでも震えがきます」

「紗良が震えるって、あんなににこやかで優しそうなのに」

「普段はものすごく優しいですよ。私も今まで生きてきて三回ほどしか鬼のように怒るところを見たことがありません。そのうちの一回が絵里奈を助けた時です。危ないことをするなと言って、それはもう烈火のごとく怒られました。そのあと泣かれましたが」

「えっと、それは申し訳ないです」

 絵里奈は悪くないですから気にしないでくださいと言って二人で笑った。


 テレビ収録の休憩時間に、そういえば修学旅行はどうだったのか? と、さなえに訊かれた。

「どうだったかですか? 楽しかったですよ、寝る前の女子トークというものも体験しまして」

「私たちだって女子だから一緒だったでしょ」

「そうですかね。もう少し家族の愚痴みたいな感じで、そういうことをさぁちゃんと話したことはないと思いますが」

「家族の愚痴が聞きたいならいつでも話してあげるわよ」

「そんな対抗意識を燃やされても困ります。私は聞いていただけで話しはしていませんし」

「美香も修学旅行とか行きたいけどないんだよね」

 今年の春から美香は通信制の高校生になっていた。

「美香は今だったらチームアルファーで忙しいから、あっても多分行けないでしょう」

「そうだよね」

 しょんぼりとする美香を見ると、どうしても助けたくなってしまうのは美香が可愛すぎるからだろうかと思ったが、元気を出してもらいたいので、休みが合ったら今度お出かけしましょうと軽く言った。

「本当? 紗良ちゃんとお出かけ?」

「私も行く」

「だから、どうしてさぁちゃんまで来るんですか?」

「そうだよ、美香が連れていってくれるって言われたんでしょ」

「美香のケチ。いいじゃない私だって一緒に行きたいから」

 何故かさなえの方が泣きそうなので、「わかりました、それじゃあ四人で行きましょう」と言った。

「四人?」

 そう言って二人が私を見たが、この二人を一人で制御する自信がない。

「三人だと何をするにも半端になりますから、誰かもう一人いける人がいる時にということで、それでお願いします」

 二人は渋々ながらも別にいいかということで納得してくれた。

 頭の中で村雨部長でも呼ぼうかと思ったが、さすがに部長にもプライベートはあると思ったし、私たち三人に囲まれる村雨部長を想像すると少し可哀想なのでそれはやめた。

 その後マネージャーが、美香が何故かすごいウキウキな様子で可愛かったと言っていたのを聞いたので、これは絶対に行かないといけないやつだとわかったので、真剣に考えることにした。


 学校の帰り道。春代に相談してみる。

「紗良はそれで悩んでるわけ?」

「はるに頼もうかとも思ったんだけど、いつもはるに頼ってばかりなのもどうかと思うし、そもそも仕事のことではないしね」

「そうだね、私は構わないけど、メンバーで固めたほうがなんとなくいいかなぁ。何回かのうちの一回が私ならいいだろうけど」

「絵里奈なら都合が合えば来てくれると思うけど、二人が変に気を使うよね」

「それはそうだよ。紗良と絵里奈ちゃんの間になんて強すぎて二人が入れなくなっちゃう。そもそも絵里奈ちゃんの都合の合う日なんてあるの?」

 そんなことを話していたら家についてしまったので、春代にサヨナラといって家に入った。

「そうだ、お母さんに訊いてみよう」

 私は部屋に戻って制服を着替えると早速お母さんに訊いた。

「紗良さんは、そんなことで悩んでいるの?」

 春代と同じような反応をされたが、お母さんは普通に答えてくれる。

「紗良さんは美香ちゃんと行くことにしたんでしょ、それでさなえちゃんが連れてけと、モテモテでいいわよね。それなら同期でさなえちゃんと年が近くて、仲がよさそうな子を誘えばいいんじゃない?」

「それなら、うまく行くかな?」

「どう考えても、美香ちゃんは年下だし、紗良さんは美香ちゃん中心に相手をするでしょ、残された二人がぎくしゃくしてたらどうにもならないから、さなえちゃんの仲がいい人が必要よ、それもできるだけ近いほうがいいわ、遊びで気を使ってなんてつまらないもの」

「なるほど、それはそうだね」

 お母さんがそうアドバイスをくれたので、その内容に合う人物を一人に絞った。

 ようやく四人の休日が合うことになり、美香が行きたいといっていた夢の国へ行くことにした。
 二人にはメンバーを連れていくとだけ言っておいたので当日の顔合わせになり、私が美香を連れて歩いていくとさなえがすでに来ていた。

「待ち合わせ時間はまだですが、いやに早いですね」

「そう? 今来たとこだけど」

 実にわかりやすく嘘をついたのが分かった、よっぽど楽しみにしてたんだなと思って、そうですかと言って頭を撫でてあげたら、やめなさいよと言いながら全然よけるそぶりがないのが可愛い。

「みんな来てたの? 待たせちゃった?」

「全然大丈夫です、まだ待ち合わせの時間ではありませんし」

「なんで真由が来たの?」

 同期でさなえと仲のいい菅井真由美だった。

「何でって、紗良に誘われたから」

「あなた今日用事があるって言ってたよね」

「うん言ったよ。これのこと」

 さなえは自分のことでいっぱいで、真由美が休みに何をするか深く聞かなかったらしい。

「さあさあ、四人揃ったことですし、今日は楽しみましょう。ねっ?」

 取り敢えず中に入って何をするかと話をしていると次から次へと美香に先導された、早く乗れるのはこっちだ、パレードはここだと驚くほどの情報量で年上の三人が引率されているようだった。
 お昼はここで食べますと連れていかれたレストランで美香に訊いてみる。

「美香はよく来るのですか?」

「二回目よ」

「それにしては手際よく誘導してくれていますが」

「えー、だって楽しみだったから全部頭に入れてきたの。何があっても良いように何パターンかシミュレーションして、ダンスとか覚えるのと一緒」

 私たち三人は、一緒か? と顔を見合わせて、美香もいろんな才能があってグループにいるんだなと思った。

「そうですか。私は初めてですけど、おかげですごく楽しいですよ」

「本当に? 良かった」

 そう言って笑う顔は本当に天使だなと思って見ていると、さなえが「ところで紗良」と、私に話しかけてきた。

「その格好は何がモチーフなの?」

「モチーフとは?」

「黒のパンツに、白いワイシャツって、それでその伊達メガネ」

「動きやすくて、目立たないようにと思ったのですが」

「そんなスタイルでその格好をしていたら逆に目立つし。SPにしか見えないから。美香を守るボディーガードみたいな」

「紗良ちゃんはかっこいいよ」

「美香は紗良が何を着ててもかっこいいでしょうよ。そもそもスタイルがいいんだし。お母さんは何か言ってなかった?」

「それで行くの? って言っていました」

「何の目的でその服装を持っているのかも疑問だけど、誰かにドレスコードを聞いてきなさいよね、ブログにSPと行きましたって載せるわよ」

「まあまあ、さなえは大好きな紗良が他から何か言われるのが嫌なんだよね」

 真由美はさなえがぐちぐちいうので、気持ちを代弁して止めた。

「そんなことはないわ」

 顔を赤くしてそう言うさなえもチームアルファーで活躍しているのが頷ける可愛さだった。

「ありがとう。私のことを心配してくれて」

「別にいいけど。その完璧なスタイルは目立つんだから服装に気をつけなさいよね」

「さぁちゃんってツンデレ?」

 美香はお黙りなさいと、さなえが言っているのを微笑ましく見ていた。
 その後も四人で楽しんでいたが、フィナーレまで見ていると混むからということで適当な時間に帰ることにして夢の国を出る。

「また、紗良ちゃん一緒にお出かけしてくれる?」

「美香が行きたいところがあったら、また行きましょう」

 美香は約束だよと言って手を振って帰っていくところを、満足してくれたのならよかったなと思いながら見送っていた。

 家に帰ってお母さんに今日の服装は変だと言われたと話をしたら、「コスプレの日か何かだと思っていたのでその格好で行くのかと訊いた程度にしたんだけど、もう少しちゃんと見てあげればよかった」と言われた。
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