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第1章 悪役令嬢がメイドに至るまで
兵士さんに質問です
しおりを挟む兵士さんに言われてからパンを浸すのは、素直に従ったみたいで少し癪だが。私のお腹をこれ以上待たせる訳にはいかなくて、パンを丸ごとスープに入れた。固くて千切れないんだ。丸ごと入れるしかなかったんだよ。……頭が出ていて全身浸かってないけど。
恥ずかしさが少し消えたので、チラッと兵士を見たのだが、今もまだ私を見ていた。
恥ずかしさが蘇りそうだ。
このままだと食べづらいから、少し話しをしようか兵士よ。この夢も、もうじき終わるかもしれないしね。ほら、食べ終わり時とか。
気になる事とか知りたい事は聞く!
後々目が覚めてから、あれ何だったんだろうってなるのは嫌だからね。
顔を上げると、兵士と目が合った。
私はその目を真っ直ぐに見据えて問う。
「私はどこで刑に処されるの?」
沈黙。
流石に初めの質問がコレでは重たかっただろうか。死ぬとか処刑とかって直接的な言葉を使わずに、それでいてわかりやすい感じの言葉で聞いたのだが。
一瞬遅れて、兵士の顔にうっすらと驚きが出てきた。
えっ。もしかして聞き流してた?それで反応遅れたとか?
少し待ったが兵士は答えない。
罪人と話してはいけないのかも。食べる食べないの話はバリバリしていたけれど。
次の質問へ行こう。
「着替える?」
兵士の顔に疑問という文字が浮かんだ。伝わっていないのだろうか。短すぎたかな。
「このドレス、高価な物でしょう?そんなもの着てて良いの?まあ、汚れてはいるけれど、……切れてもいるか」
自身のドレスを見回し、汚れの状態を確認しながら話していると、切れている箇所がある事に気付いた。それも話しに加えておく。
「でも、元々は高価な物だし、有効活用というか、再利用というか……そういうの、できたりするんじゃない?」
そろそろ食べられるかな?私は空腹なんだ。
視線をパンに移す。
「まぁ、罪人が着てた服を使いたいかっていうのもあるのだろうけどね」
私はパンを手で持ち上げる。
柔らかめになっているっぽい。だってまだ固そうなんだもの。
少し齧ってみる。齧れた……凄い進歩だ……。小さく齧ったからか、よく噛めた。令嬢の歯でも問題ないようだった。元令嬢だけども。更に言えば、本当の私はどちらでもないのだが。
スープを吸ったパンは少しだけ、スープの味がした。まあまあ美味しい。
「どんな罪人でも、死ぬ時は、好きな服を着る事を許可されています。決まった値段もありません」
兵士から応えが返ってきた。
私は顔を上げて兵士を見る。
兵士の瞳と目が合った。兵士は私を見つめ、続きの言葉を口にする。
「最後の時ですから。罪人であれ敵であれ、それは尊重すべき事だと言われています。その人の人生の締めくくり、最後の瞬間ですから」
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