36 / 60
第1章 悪役令嬢がメイドに至るまで
レオドリアムとリリアベル
しおりを挟む私、ジゼレーナの情報も含めて整理していくのも良いかもしれない。
私はリリアちゃんに一回会ったが、ジゼレーナとしては会っていない。
レオとは目覚めてから何回か会ったけれど、冷気を浴びた記憶しかない。
さらさらの金髪に綺麗な青い瞳のザ・王子カラー。
レオこと、レオドリアム・ウェルグリー。
ジゼレーナの元婚約者で、優秀な王太子。
私は記憶を知れても感情を知る事ができないので、ジゼレーナがいつレオに恋をしたのかは分らないが、婚約関係になったのは、まだ幼い頃。
ジゼレーナは八歳で、ルルカが兄として家に来てから約二年の月日が経過していた。
ルルカは理解力が早く、年齢以上の事を学んでおり、側近候補に、御学友に、今の内から仲良く、という感じでお城に呼ばれた。年も近いし、ジゼレーナ嬢も一緒に来ていいよという事で、親同伴でお城に赴き、レオと出会う。
特に問題もなく、半年後、婚約成立。
ジゼレーナとレオとルルカは勉学に励み、数年後、リリア登場。
レオとリリアの出会いは知らないが、レオは恋敵の多い恋をした。たぶん初恋。
そして見事、リリアちゃんの心を勝ち取った。
愛らしいピンクの髪に大きな新緑の瞳。
みんな大好きリリアちゃんこと、リリアベル・モスト。
年の離れた兄が一人。体の弱い妹ちゃんもいて、家も遠かった為、妹大好きリリアちゃんはパーティーに出なかった。
だからこそ、学園で急に現れて皆の心を掻っ攫って行く謎の令嬢リリアベルに、令嬢や令息達がプチパニックだった。
小動物の様な可愛らしいちょこまかとした動きに親近感を抱き、柔らかく優しい声に心が温まる。見ているだけで癒されるその姿と、慈愛に満ちた内面に、みな挙って惚れた。
勿論、令嬢方からの嫉妬も沢山あった。
その一人がジゼレーナ。というか代表格。
どんな意地悪で面倒臭い攻撃にも負けず挫けず嘆かず、高位貴族の美男美女に庇われ慰められ餌付けされ。
令嬢達の嫉妬が増したが、嫉妬の視線は次第に憧れの視線へと変わる。
だがジゼレーナは変わらず絆されず初心を忘れず、リリアベル・モストへの攻撃はどんどん過激になり、牢屋にドン。
結果、ジゼレーナは公爵家に縁を切られ、レオの婚約者でもなくなった。
今現在、リリアとレオの二人は親公認友達公認貴族公認のラブラブカップル。ジゼレーナも消えた事で、リリアベルはこのまま王太子妃になりそう。
……な所でリリアちゃんに刺客が……!まぁなんてこと!
きっと、王太子妃になってそのまま王妃になるだろうがまだ婚約者ではない今の内に!という事から攻撃を受けた……のだろう。
彼らにとって、ジゼレーナは憎き敵でしかないが、私は情報提供者でもあるわけで、犯人探しに協力します!とでも言って生き延びよう。
たぶん、今向かっている場所に到着したら色々と聞かれるだろうから、今の内にセリフを考えよう。
ジゼレーナは改心した。ジゼレーナは変わった。
そう信じて貰わなければ。信じさせねば。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
206
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる