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プロローグ

新しいルームメイト

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翌日、学校に行ったが、クラスのみんなの姿を見て劣等感れっとうかんを感じ、寮に帰ってきてしまった。
寮に帰るとフロントで受付にいたスタッフの方に呼び止められた。
その女性は俺に気まずそうに話しかけてきた。
「今日から部屋を移動していただきたいのですがいいでしょうか?」
「ああ、その事ですか。いいですよ」
女性スタッフは驚いていた。
「それではこの部屋に荷物を移してください……。すみません、彼はあれでも貴族なので要望を無視するわけにも行けないのです……」
そう言って、部屋番号の書かれた紙と、その部屋の鍵を渡してきた。
「いいですよ、仕事だから仕方ないですよね」

「――……ろ。…きろ。起きろ!」
俺の腹が殴られ、飛び起きる。
寝ている間に夜になったみたいだ。
目の前には水色の長髪と、青と黄色のオッドアイを持った健康体系の9歳ほどの少女がいた。
この少女が俺を殴ったらしい。
「ええと、君誰?」
少女が訪ねてきた。
いや、こっちからしたらお前こそ誰なんだよ、なんだが。
「俺はレン。今日からこの部屋に住むことになった。ところでなんで子供がこんなところにいるんだ?間違えて入っちゃったなら早く出ようね」
そう言って少女を部屋の外に押し出して部屋の鍵を閉めた。
2度寝をしようとベッドに戻ろうとすると、解錠する音が聞こえた。
「閉め出さないで欲しいんだけど……」
少女が不満を言いながら部屋に入ってきた。
何故少女がこの部屋の鍵を持っているのか不思議に思っていると答えてくれた。
「言っとくけど、私もこの部屋に住んでるからね。君のルームメイトなんだよ」
「え…?でもお前って9歳くらいの子供だよな。魔法学校の寮に住んでるのはおかしくないか?」
「いや、私15歳だよ?いろいろあって体の成長が9歳から止まっちゃったんだけどね」
体格に関しては触れちゃいけなかったかな?
「あ、じゃあ名前教えてくれないか?ルームメイトだし、知っておいた方がいいだろ」
「私はシア。君は?」
「俺はレン、よろしくな」
「うん、よろしく。じゃあ、私寝るから。夜這いとかはしないでね?」
「しないよ。じゃあ、おやすみ」
シアはそのまま2段ベッドの上段に行き、そして寝た。
俺は部屋の外にある売店でフルーツ牛乳を買った。
売店の近くに設置してあったソファに座ってフルーツ牛乳を飲んでいると、他の寮生の話が聞こえてきた。
「学校の地下には地下迷宮ダンジョンがあるらしいぜ。今度一緒に行かないか?」
「いいけど、その地下迷宮って入ってもいいのか?」
「学校の方で手続きをすれば入っていいらしい。まあ、1層以降は行ったら駄目みたいだが」
そこまで話を聞いて部屋に戻ることにした。
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