君と君…オレと私…君と私

SINRA

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2家族(4)

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凛「お待たせ!」

隆弘「じゃあ行こうか。」

凛「いや、父さん逆!逆!」  

隆弘「えっ?こっちか?」

凛「方向音痴は相変わらずだね…」

純「やっぱり方向音痴なんですか?」

隆弘「あぁまぁ少しね。苦笑」

凛「少しどころじゃないでしょ!地図の見方もわからないんだから。」

隆弘「それは仕方ないだろ!初めての場所なら地図をどの向きにしたら良いか分からないんだから!」

凛「アプリがあるじゃない。」

純「でも彩月、何であの人が凛のお父さんって分かったんだ?」

蒼崎「あなた達が走って行った後先生が教えてくれたのよ。」

菜奈「そぉだったんだ…」

蒼崎「えぇ。」

純「でもついて行って良かったのか?」

蒼崎「涼川さんが情けない顔するものだからついね。それに私たちが帰れば、いやでも2人きりになるのだから。」
(それに砕けて話す時と敬語で話す時があるわね…複雑なのは確かなようね。)

蒼崎「涼川さん。」

凛・隆弘「何?・はい?」

蒼崎「……ごめんなさい。凛さんの方です…」

隆弘「あぁそぉだよね。笑」

蒼崎「凛さん勘違いとはいえ、お父さんのことを変質者呼ばわりしてごめんなさい。」

凛「あぁ…私も変質者と思ってたし。苦笑
まぁ自業自得って事で!笑
それに蒼崎さんは不審者とは一言も言ってないじゃない。」

そして話してる間に喫茶店に着いた。

カラン

定員「いらっしゃいませ。」
落ち着いた声。

隆弘「5名なんですけど。空いてますか?」

定員「はい、こちらに…って涼川さん?今日入ってたっけ?」

隆弘「知り合いかい?」

凛「あぁうん。ここでバイトさせてもらってるから。 石田さんお疲れ様です。えっとこちら父です。今日はお客としてきました。」

石田「あぁえっと、石田秀樹です。あぁマスター!涼川さんのお父さん来てます!」

マスター「これはこれはこんな所から失礼します。この店のマスターをしてるい新田と申します。涼川さんにはいつも助けられてますよ。」

隆弘「あぁこれはご丁寧に、こちらこそ、いつも凛がお世話になってます。  ですがよく採用されましたね…見た目的に場にそぐわない気がするのですが…」

純「確かにこぉゆう雰囲気のとこじゃ場違いだよな!」

凛「純まで…」

マスター「まぁ普通はそぉかもしれませんけど、以前妻と東京に行きましてね。たまたま入ったのが男装カフェだったんですよ。それで妻が気に入りましてね。礼儀正しい子ですし、採用してみたんですよ。」

菜奈「確かに凛ちゃんの男装似合いそう!」

マスター「おっと長々とすみません。とりあえずお好きな席へどうぞ。」

隆弘「あっはい。ありがとうございます。」
と軽く頭を下げ蒼崎さんと隆弘さんはテーブル席に座る。

菜奈「凛はここでウェイトレスしてるの?それともキッチンの方?」

凛「・・・いや…ウェイターの方…」

菜奈「ウェイター⁉︎男装してるの?」

凛「うん、まぁ…」

純「マジかよ!ちょっと見せてみろよ!」

菜奈「うん!見てみたい!」

隆弘「僕も凛が働く所を見てみたいかな。」

凛「父さんまで…」

マスター「はっはっはっ、せっかくだからお父さんとお友達の注文を取ってあげたらどうだい?今ちょうど暇な時間だしね。」

凛「マスターまで⁉︎」

菜奈「やったぁ!早く着替えてきて!」

マスター「せっかくだから特別日用の方にするといい。」

凛「えっ⁉︎ちょっとマスター⁉︎」

蒼崎「特別日用?少し気になるわね。」

凛(真顔で言わないで…)

マスター「あぁ妻の要望でね。まぁ見てのお楽しみということで。笑」

純「マスター!ノリいいね!早く見せろよ凛!」

凛「絶対面白がってるでしょ!」

純「そんなことねぇって!笑」

凛「笑ってるじゃんか!」

蒼崎「笑ってないわ。早く着替えてきなさい。」

凛「蒼崎さんまで…うぅ…」

オレは渋々更衣室に着替えに行った。

菜奈「楽しみだぁ!」

隆弘「…ホントによく笑うようになったな…」

蒼崎「昔からじゃないんですか?」

隆弘「…そぉだね。小学校の頃は子どもたちとよく遊んでいたけれど、どちらかというとお世話している。って感じで、私たち親にも遠慮する子だった。」

蒼崎「面倒見が良かった…ってことですよね?」

隆弘「うん…まるで子ども好きなお姉さんって感じだったよ。中学に上がると男の子とよく遊ぶようになってね。2年に上る頃には女の子とも遊ぶようになったみたいだ。それが夏休みに……ちょっとあってね…あまり笑わなくなったんだ。」

隆弘は寂しそうに言う。

隆弘「だから凛があんなに笑顔を見せてくれる事がとても嬉しいよ。君たちのおかげかもね。ありがとう。」

蒼崎「そんな…私は涼…凛さんのおかげで今みんなといられるんです。凛さんが私に前へ進むキッカケをくれなかったら私は今も1人で本を読んでいたと思うから、だからすごく感謝してます。」

隆弘「そぉか。あの凛が…」

隆弘は嬉しそうにでも寂しそうに笑った。
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