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31 目指す場所は

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 目を隠し地面に伏せるクロス、それを見たカナ達は唖然としていた、アーリマンの特殊能力は死の宣告、相手を敵と認識した時に発動する即死スキルをクロスは知っていたからである。

「お兄ちゃん大丈夫ですよ」
「えっ?でも・・・」
「この子は友達です、名前はアー君、仲良くしてください」

 アーリマンは周りを少し飛びテーブルの真ん中に降りた、目をつぶりジッとしている、本当に大丈夫なのか心配だが、取り敢えず席に着いた。

「ねぇクロス大丈夫?」
「だってこれ見てくれよ」

 クロスは革の袋からモンスター図鑑を取り出しカナ達に見せた、みんなはモンスターの危険性よりもアーリマンを友達と言うルミナスに関心が湧いた。

「ところで何故お主はそんな格好をしておるのじゃ?」
「こ・・これは・・」
「そのトンガリ帽子、妾の方が似合うのでわないか?」
「キャ~やめてください」

 リエリーはトンガリ帽子を奪い取ると、帽子の下にはモフモフの三角形の耳、イヌミミが付いていた、それを見たクロスは興味が湧いたのか触りだす。

「あっ・・ダメです・・お兄ちゃん」
「ちょっ・・クロスなにやってんの」
「そうですよクロスさん」

 カナ達に怒られクロスは少しへこんでしまった、ルルは手を叩き「そろそろ話をまとめるっス」と言いそれぞれのあった事を話し出す。

「まずは私達ね、オラリスを出てからダイアスに戻ったわ」

 カナとリエリーはダイアスからの出来事を話しはじめた。

 私達はまずダイアスに戻り、形見の刀を取りに行ったわ、その時、外が騒がしくてリエリーと見に行ったの。
 その時じゃ、外にいたのは妾のお付き、メイド長のクリスが倒れておったのじゃ、ケガをしとっての、それで何があったのか聞いたんじゃが、気を失ってしまっての。
 しばらくしてから、クリスさん目を覚ましたんだけど、その時クリスタが襲われたって聞いて、相手は『黒の教団』って言ってたわ、しかも1人でクリスタを崩壊させたみたい、名前は『アリス・メデューサ』って言ったらしいわ。

「1人でクリスタを?王様達は?」
「敵に・・・アリスは石化の呪いを使うようじゃ、その呪いでクリスも」
「そうなんだ・・・」
「次は僕たちですね」

 僕達はオラリスの北の森を抜け忍びの里へ戻りました、実は餓狼一族の時、お姉ちゃんに助けられたみたいで、手紙をもらったんです。
 カゲトラは戻ってお姉さんに稽古をしてもらったんだよな。
 はい、そこで秘伝を伝授してもらいました、その帰りにそこの女の子を助けたんです。

「そうなんだ」
「ところでカゲトラよ、お主、何か隠しておるじゃろ」

 リエリーはニヤニヤしながら問い詰める。

「えっ?いやっ・・何も・・・」
「カーミラから聞いたぞ、アヤメちゃん」
「????」
「忍者っスから、性別ぐらい隠すっスよ、次は自分の番っスね」

 自分はルル、カーミラの一番弟子っス、自分は仇を探す為に世界を回ったっス、そこでわかったのは、グリエルと言う男が世界をメチャクチャにしようとしてる事っス、クリスタを崩壊させたのがアリスで黒の教団っスよね、グリエルは教団のボスっス、それと自分の仇も黒の教団にいるっス。

「あれっ?ルルもこれから俺たちと?」
「そうよクロス、何かある?」
「いえっ無いです」
「なぁ~ルルよ黒の教団は何処におるのじゃ?」
「そうっスね、コレを見るっス」

 ルルは地図を出し今いる場所と、黒の教団がいる場所を説明した、それを見たクロス達は距離がある事に驚く。

「遠すぎるよ」
「教団がいる場所は森の中?」
「ここは召喚士の森っス」
「周りには砦のようなものがあるのじゃがコレは?」
「たぶん幹部達がいるっス」
「あのぉ~召喚士の森は私の故郷です」

 クロスはどうして森を出たのか聞いた、するとルミナスは森で起きた事を話し出した。

 私の故郷は召喚士の森で、沢山の召喚士がいました、そこに突然、黒の教団を名乗る5人が来たのです、1人はグリエル、もう1人はアリス、後は雷帝と氷帝、森の召喚士は殆ど竜王と名乗る男に殺られました、逃げる時アー君とこの金のプレートだけ持ってきました。

「このプレートは?」
「私の家に代々受け継がれる物です、モンスター召喚ができるのですが、私にはまだ出来ないんです」

 カナはみんなの話をまとめ、これからのルートを紙に書き写した。

「取り敢えず目指す場所は召喚士の森ね」
「そうっスね」
「妾はアリスをぶちのめすのじゃ」
「ははっ、みんなこれからも頑張ってね」
「何言ってるのクロス、あんたも行くのよ」

 クロス達は召喚士の森に行く為、次の町オイリーを目指した。

「ねぇみんな、俺、はじめての冒険なんですけどスケール大きすぎない?」
「うるさいわねクロス」
「良いでは無いか」
「クロスさん頑張りましょう」
「無茶できるのは若いうちっス」
「頑張って、お兄ちゃん」



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