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人間ゼンジドウ洗濯キ
しおりを挟むそれから私達は経験者の3人に洗濯の仕方を教えて貰ったのだが、未知の体験すぎて色々と衝撃的であった。
⚪︎⚪︎⚪︎
まず最初に準備として、衣類を色や素材で分別する。
分類した同じ種類の衣類ごとに洗濯していくそうだ。
ここから洗濯の行程になる。
洗濯用の溜池や川の水流を用いて衣類を濡らし、灰汁とオリーブオイルを混ぜて固めた石鹸を用いて洗濯物を洗う。
その際に衣類を、洗濯板でこすり、洗濯棒で叩いて綺麗にする。
そして、石鹸で洗って水を吸い重くなった洗濯物を一度脱水し、綺麗な水を濯いで石鹸を洗い流し、また脱水して綺麗になった衣類を干していくらしい…。
これが庶民式の洗濯手法なのだそうだ。
私は自分の着ている衣類が、こんな方法で洗われていると知らなかったので衝撃を受けた。
そして何より、実演してくれた可愛らしい彼女達には本当に申し訳ないのだが、薄汚れた水に塗れて、華奢な少女の小さな体の全身を使い、思いっきり衣服を謎の板に擦り付けて、更には得体の知れぬ棍棒を使いバシン!バシン!と、容赦なく衣服に叩きつける彼女達の様は、恐ろしく野蛮に見えて、明確な恐怖を覚え、既に若干のトラウマにさえなっている。
『つ、つら!!無理ぽよ!絶対無理ぽよ!筋金入りの箱入りお嬢様のレナたんにはハードルが高いポヨ…』
(セッシャ…セッシャもそう思うのね…私もそう思う。出来そうにないわ…。)
『クゥー!!洗濯機さえあれば!!ボタン1つで、水流ぐるぐる渦巻きトルネード洗浄で綺麗になるというのに!!拙者は…拙者は歯痒いでござる!!』
(水流グルグル渦巻きトルネード…?)
グルグル渦巻きトルネード……風魔法に、ぐるぐると渦巻き状に魔力を練り上げ、いわゆる竜巻を起こす魔法がある。
アカデミーでは、ドレスを風で捲り上げて相手を辱めるイジメに、よく使われていた魔法だけど…。
(…水の流れでぐるぐると渦巻き状に回せば、衣類が綺麗になる。と、セッシャは言ってるの?
もしセッシャの言うことが本当ならば、魔法で水をぐるぐる回す方が、衣類を棒で叩いたり擦るよりは、まだ出来そうな気がする…。)
「洗濯の仕方、教えてくれてありがとう…。少し…試したい事があるから、やってみても良い?」
コクコクと頷く洗濯経験者の3人と、同じように洗濯の仕方を聞いて顔を青くしている令嬢2人に了承をとる。
⚪︎⚪︎⚪︎
段々状に上から下へと水が流れ落ちる構造になっている、洗濯池の1つを借りて、石鹸を一つ掴み魔法で砕き、池に溶かし込んだ。
そこに洗濯物を入れ、洗濯池の淵に近づいて立ち、池ごと水をぐるぐる回し水流を作る。
ぐるぐるとした水流で舞うように洗い上がった洗濯物を、手前に手繰り寄せ、持ち上げようと試みる。
だが、重すぎてとてもじゃないけれど、持ち上げられなかったので、持ち上げながら魔法で衣類から水を奪っていく。
(これは、水や飲み物をかけられるイジメを受けた時の対処魔法の応用だ。びしょ濡れの令嬢など、さらなるイジメの格好の標的になるし、令嬢としての秩持的にも許されない。よって、心底くだらないとは思うが、令嬢の嗜みの1つなのだ。)
持ち上げられるくらいまで衣類から水を抜き、その後、1つ上段の綺麗な洗濯池を使い、再度水流による濯ぎを行い、再び脱水する。
「…こんな感じで…綺麗になってたり…しないかな?」
『レナたん!!!カッコよすぎだぉ!!完璧だよ!洗濯出来てるでござる!
よっ!人間全自動洗濯機!凄い凄い!!惚れてまうやろー!!!
クゥー!!……って、ポヨっ!グボォアシャ…』
(………セッシャの反応的には大丈夫そうだけれど………どうだろう?)と、
洗い上がった洗濯物を渡そうと、経験者の3人の方を見ると、驚きに目を見開いていた。
「す、凄い…」
「魔法…ですか?凄い!!」
「き、綺麗になってます!!」
「本当?良かった…」
(……いや、本当に良かった。あの3人が教えてくれた方法は、腐っても根っからの令嬢な私には、到底真似出来そうになかったから…良かった本当に助かった…。……ありがとうセッシャ。)
先程の経験者3人のやり方を聞いて、私と同じように顔を青くしていた2人の令嬢達も、少しホッとしているようだった。
そして、令嬢達が
「この方法なら私も出来そうです…水魔法が得意なので」
「…私も何とか…お手伝い出来るかも知れません…」
「ありがとう…じゃあ私は洗い側をやるから、濯ぎ側をお願いしても良い?…あとは経験者の3人には干すのと洗濯物の分類と…この方法じゃ落ちない強靭な…手強い汚れを…お願い出来る?」
「はい!」
「頑張り…ます!」
「私も!」
(良かった…何とかなりそうな気がしてきた。)
その後、それぞれが作業を分担し、取り組み始めたのであった。
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