もう遅い、勇者ども。万能支援職レオンは王国の柱となる

まっちゃ

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第一部:追放と再生編

第11話 「王都の動乱 ― 勇者の墜落」

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王都レイファルド。
青い空の下、王城の中庭では、久々に勇者一行の凱旋式が行われていた――はずだった。

しかしその日、群衆の歓声はひどく薄かった。
誰もが噂していたのだ。

「最近の勇者様、魔王討伐どころか負け続きらしい」
「元支援職のレオン殿の方がよっぽど英雄だとか」

アレンの笑顔が引きつる。
背後でミリア(聖女)が焦燥の色を隠せずにいた。



式典後、王の間。

「勇者アレン。先日の遠征で三百の兵を失い、北の防衛線も崩壊。
 これは一体、どういうことだ?」

王の重い声に、アレンは顔を歪める。
「そ、それはレオンが……いえ、元支援役の裏切り者が、王国に情報を……!」

「嘘を申すな」

静かな声が響いた。
王の傍ら、白い軍服を着た男が立っていた。
――レオンだ。

中庭が一瞬、凍りついたように静まり返る。

「なっ……!? おまえ……どうしてここに!」
アレンが叫ぶ。

レオンは淡々と頭を下げる。
「報告のために戻りました。
 北方防衛戦、敵軍壊滅。損失――ゼロです」

その言葉に、王の表情が緩む。
「さすがだ。支援魔導師団の働き、見事であった」

王がレオンを称えるのを見て、アレンの拳が震える。
「お、お前……支援職のくせに! 英雄面するな!」

レオンは一歩近づき、静かに言った。
「支援職“のくせに”ではなく――支援職“だからこそ”だ」

 その声には怒気も嘲りもなかった。
 ただ、冷たい真実の重みだけがあった。



ミリアが必死に口を挟む。
「レオン、お願い……私たちも間違ってたの。戻ってきて。
 勇者アレンも、本当は――」

「許しを乞うのは、ずいぶん早いな」

レオンの目が彼女を射抜いた。
「君たちが俺を追放したあの日、何と言った?
 “支援職なんて足手まとい”――そうだろう」

ミリアが顔を伏せる。

「ならば今さら頼るな。俺の支援は、仲間のためにある。
 ――もう、お前たちはその“仲間”じゃない」

 アレンが怒りに震え、剣に手をかけた。
「てめぇッ、調子に乗るなよ!」

 しかし次の瞬間、レオンが指を鳴らす。
 床の魔法陣が光り、アレンの剣が宙に浮かんだまま弾き飛ばされた。

「……支援術の応用、“武装封印”だ。
 君のような脳筋には、扱えまい」

 ざまぁ、完了。



王はため息をつき、静かに告げた。
「勇者アレン。お前の任を、一時停止とする。
 今後の討伐任務は、支援団長レオンに一任する」

アレンの顔が蒼白になる。
「な、何を……!? 俺が、勇者だぞ!!」

「勇者である前に、敗者だ。
 結果を出せぬ者に、王国は頼らぬ」

 その言葉は、王城の床よりも冷たく響いた。

アレンは歯を食いしばり、レオンを睨む。
「覚えてろ……! 俺が魔王を倒して、お前を見返してやる!」

 だが――誰も、その虚勢を信じなかった。
 王城を出るアレンの背中に、兵士たちの冷たい視線が突き刺さる。



夜。
レオンは王の間を出て、月明かりの下で息を吐いた。
「……終わったな」

フェンが隣で尻尾を揺らす。
「ざまぁ、決まったな」

 レオンは小さく笑う。
「そうだな。だが――まだ、これからだ」

 その瞳には、さらなる決意の光が宿っていた。
 過去を切り捨てた男の、真の物語が、ここから始まる。
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