もう遅い、勇者ども。万能支援職レオンは王国の柱となる

まっちゃ

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第一部:追放と再生編

第13話 闇の残響──魔王軍、第二波

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 アレンが滅んでから数週間。
 王国は平穏を取り戻しつつあった。
 レオンは王宮顧問として日々の政務をこなし、街の復興に尽力していた。
 人々は口々に言う。
 「今の王国は、レオン様が支えている」と。

 だが、その静けさは長くは続かなかった。

 ある晩、北方の空が裂けるように赤黒く染まった。
 魔王軍、第二波――アレンの魂が残した“闇の種”が、瘴気とともに芽吹いたのだ。
 その中から、かつての勇者の影がゆらめく。
 『レオン……俺の名誉を返せぇぇ……!』

 幻影が吐き出す呪詛が、王都を覆う。
 民は再び恐怖に包まれた。

 そこへ、一人立つレオン。
 黒衣に身を包み、静かに杖を掲げる。
「……アレン。死してなお、醜い。お前は“勇者”ではなく、“呪者”だ」

 彼が詠唱を始めると、空が光に裂けた。
 “万能支援職”レオンの真骨頂――支援術と攻撃魔法の融合。
 《聖滅・グランドアーク》
 白銀の紋章が地を走り、闇の瘴気を吸い上げ、天空に打ち上げた。
 轟音。
 空そのものが悲鳴を上げ、闇は光に飲み込まれて消えた。

 静寂の中、王都を包む呪詛が晴れていく。

 「すげぇ……あれが、支援職の力なのか……?」
 「もう“勇者”なんていらねぇ……レオン様がいればいい!」

 民の歓声が再び響いたその頃――
 再建作業に従事していた元仲間たちは、泥にまみれた姿で震えていた。
 「ひぃ……あれ、アレンの……声だったよな?」
 「ま、まさか呪いまで残してやがったなんて……!」

 そこへ、白馬に乗ったレオンが現れた。
 彼の冷たい視線が、彼らを射抜く。
「……まだ贖罪は終わっていないようだな。アレンの残した闇も、お前たちの中にある」

 元仲間の一人、女僧侶エリナが涙を浮かべて叫んだ。
「お願い、もう一度だけチャンスを! 私たち、本当に反省してるの!」

 レオンはしばらく無言で見下ろし――やがて、静かに言い放った。
「……お前たちは、自分の弱さすら他人のせいにする。その腐った根を断ち切らない限り、何度でも同じことを繰り返すだろう」
 そして、馬を進めながら告げた。
「俺が助けるのは“国”だ。お前たちではない」

 彼らの前を通り過ぎる瞬間、冷たい風が吹いた。
 レオンの背に差す光が、まるで神罰のようにまぶしく輝いていた。

 地に伏した元仲間たちは、もはや泣くことすらできなかった。
 民はその姿を見て、ひとことだけ呟く。

 「……ざまぁだな」
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