1 / 66
第1話 地球へ侵略する異星人登場。が、ちょっと意外な展開に。
しおりを挟む
銀河狭しと宇宙艦隊で暴れまくり、多くの戦いでチャマンカ帝国に勝利をもたらしたガシャンテ将軍にとって、恒星間航行も未経験の原始人が住む星を制圧するなぞ、ハシリダケをつかまえて食べるより簡単に思えた。
未開人達は、チャマンカ星の猿(ドドザンカ)に似た生物から進化していた。
かれらが『地球(テラ)』と呼ぶ青い惑星は今や、ガシャンテ将軍の乗る宇宙戦艦モガラモガラの眼前にある。
いよいよこの星も、チャマンカに屈する日が来たのだ。
地球に関する情報は事前に送りこんだドローンから、すでに得ている。
ドローンは光学迷彩で視覚的に存在を見えなくするタイプと、虫や鳥に偽装して地球の様子を撮影・録音する物がある。
そんな前準備の後で、この星に攻め入る事にしたのだ。
ガシャンテはもうすぐ狩られる獲物を前に、優越感と満足感に浸っていた。
「地球人諸君」
ガシャンテは艦橋でマイクを前に話しはじめた。
その声は地球上の全てのテレビ、全てのパソコン、全てのスマホに割りこみ、ガシャンテの画像と共に、テレビやパソコンの画面に映しだされる。
ガシャンテの地球の熊に似た顔と、額に埋めこまれた大将の階級を示す赤くて丸い階級章が、全地球の全モニターに投影された。
「私は君達が銀河系と呼ぶ広大な領域のほとんどを支配するチャマンカ帝国大将ガシャンテ・ザムラだ」
彼は自分の発言が、70億いる原住民の心に深く染み入るようゆっくりと、語りはじめた。
「現在私が指揮する5万隻の宇宙艦隊が、地球上空にある」
そのタイミングで、艦隊は同時に地球の主要都市の上空へ一斉にワープアウトした。
ワシントン、モスクワ、北京、台北、ソウル、平壌、ホー・チ・ミン、バンコク、ニューデリー、ムンバイ、イスラマバード、ロンドン、パリ、ベルリン、ストックホルム、ローマ、マドリード、プラハ、メッカ、バグダッド、テヘラン、ヨハネスブルグ、キャンベラ、東京、吉原、堀の内、中州、すすき野、ニューヨーク……。
「ただちに、我々チャマンカ帝国に降伏せよ。君達には、地球時間で24時間の猶予を与える。その間降伏せず何の回答もなければ、我々はすぐこの星に総攻撃を加える。君達の持つ原始的な兵器は核ミサイル含め何の役にも立たないので、あらかじめ警告する」
その放送が流れた時、一色蒼介(いっしきそうすけ)は、家賃5万の都内にある安アパートで缶チューハイを飲みながら、テレビを観ていた。
(やべーわ。これ)
彼は現在40歳で、ニートの身。
大学を出て就職したが勤務先が絵に描いたようなブラック企業で、心身共に疲弊したため逃げだすように職場を去り、そのまま無職を続けていた。
その後はまるで抜け殻になったような虚脱状態が続いている。
大昔の中国で40歳を不惑と呼んだ偉い人がいたそうだが、蒼介はまだまだ惑いを捨てきれなかった。
貯金も残り少ないが、就職に対する恐怖が強く、現状そんな気になれない。
そんな彼に失望し、恋人も去ってしまった。
彼の眼前のテレビ画面には、昼の新宿の高層ビルの上空に浮かぶ『宇宙戦艦』が映しだされている。
それは巨大なちくわのような形をしていた。アナウンサーの解説を信じるなら、長さは1キロ。
色は銀白色で、その艦体から無数の砲塔が四方八方に突きだしている。
そんな宇宙艦隊が東京の上空だけで、50隻ぐらい浮遊していた。
やがて女性のアナウンサーがまるでホラー映画のように、突然叫び声をあげる。
絶叫混じりの発言によれば、核保有で知られる東アジアの独裁国家が隣国の首都の上空に浮かぶ艦隊に対し、核ミサイルを発射したのだ。
隣国の上空に撃ったのは、自国の上空で核爆発が生じると、自らが被害を蒙るからだろう。
放たれたミサイルは艦隊に接近し、殲滅するかのように見えたが、その直前でちくわ型宇宙艦隊の先端の巨大な穴から一斉に放たれた閃光が、ミサイルの全身を包みこむ。
そのためミサイルの周囲に半透明のバリヤーのような物が張られ、どでかいシャボン玉のような物の中にミサイルが包まれる形になった。
やがてミサイルは爆発したが、爆発はシャボンの中にとどまった。
後でわかったが、爆発時に飛散した熱も光も放射能も、宇宙人の進歩したテクノロジーによって、無毒な物質に瞬時に変換されたのだ。
この映像は全世界のテレビやパソコン、スマホの画面に流された。
ガシャンテ将軍は、地球時間で何年も前から、眼前の惑星に潜入させていた多数のドローンのカメラが撮影した画像に映った驚愕におののく地球人達の表情を観ながら悦に入った。
これからチャマンカ帝国による地球人奴隷化計画を、始めるのだ。
地球人が抵抗できないようにするため、最初のステップを発動させる必要がある。
それからいくらもたたないうちに人類は、さらなる脅威を見せつけられた。
突如地球のあらゆる場所から武器や兵器が消失してしまったのだ。
世界中から一瞬にして戦車やミサイル、拳銃やライフル、機関銃、バズーカ、大砲、戦闘機、軍艦が消失する。
後には丸腰になった兵士達が残された。
軍用機のパイロットや海軍の軍人は戦闘機や軍艦が消失すると、近くの陸地に瞬間移動させられる。
またもや世界中の液晶画面にガシャンテの、嬉々とした声が響き渡った。
「地球人諸君、君達の抵抗を無力化するため武装解除した。何、心配は不要だ。諸君らの歴史でやってきたような丸腰の捕虜を虐殺・虐待するような野蛮な行為を、我々はせん。おとなしく我が方に従えば、命は取らん。我が軍は、銀河を圧制と野蛮から解き放つ解放軍なのだ。君達も、チャマンカ帝国を統べる永遠帝に忠誠を誓いたまえ」
永遠帝とは、チャマンカ帝国の皇帝だ。
彼は高度なテクノロジーによって、チャマンカで唯一、不老不死を手に入れていた。
未開人達は、チャマンカ星の猿(ドドザンカ)に似た生物から進化していた。
かれらが『地球(テラ)』と呼ぶ青い惑星は今や、ガシャンテ将軍の乗る宇宙戦艦モガラモガラの眼前にある。
いよいよこの星も、チャマンカに屈する日が来たのだ。
地球に関する情報は事前に送りこんだドローンから、すでに得ている。
ドローンは光学迷彩で視覚的に存在を見えなくするタイプと、虫や鳥に偽装して地球の様子を撮影・録音する物がある。
そんな前準備の後で、この星に攻め入る事にしたのだ。
ガシャンテはもうすぐ狩られる獲物を前に、優越感と満足感に浸っていた。
「地球人諸君」
ガシャンテは艦橋でマイクを前に話しはじめた。
その声は地球上の全てのテレビ、全てのパソコン、全てのスマホに割りこみ、ガシャンテの画像と共に、テレビやパソコンの画面に映しだされる。
ガシャンテの地球の熊に似た顔と、額に埋めこまれた大将の階級を示す赤くて丸い階級章が、全地球の全モニターに投影された。
「私は君達が銀河系と呼ぶ広大な領域のほとんどを支配するチャマンカ帝国大将ガシャンテ・ザムラだ」
彼は自分の発言が、70億いる原住民の心に深く染み入るようゆっくりと、語りはじめた。
「現在私が指揮する5万隻の宇宙艦隊が、地球上空にある」
そのタイミングで、艦隊は同時に地球の主要都市の上空へ一斉にワープアウトした。
ワシントン、モスクワ、北京、台北、ソウル、平壌、ホー・チ・ミン、バンコク、ニューデリー、ムンバイ、イスラマバード、ロンドン、パリ、ベルリン、ストックホルム、ローマ、マドリード、プラハ、メッカ、バグダッド、テヘラン、ヨハネスブルグ、キャンベラ、東京、吉原、堀の内、中州、すすき野、ニューヨーク……。
「ただちに、我々チャマンカ帝国に降伏せよ。君達には、地球時間で24時間の猶予を与える。その間降伏せず何の回答もなければ、我々はすぐこの星に総攻撃を加える。君達の持つ原始的な兵器は核ミサイル含め何の役にも立たないので、あらかじめ警告する」
その放送が流れた時、一色蒼介(いっしきそうすけ)は、家賃5万の都内にある安アパートで缶チューハイを飲みながら、テレビを観ていた。
(やべーわ。これ)
彼は現在40歳で、ニートの身。
大学を出て就職したが勤務先が絵に描いたようなブラック企業で、心身共に疲弊したため逃げだすように職場を去り、そのまま無職を続けていた。
その後はまるで抜け殻になったような虚脱状態が続いている。
大昔の中国で40歳を不惑と呼んだ偉い人がいたそうだが、蒼介はまだまだ惑いを捨てきれなかった。
貯金も残り少ないが、就職に対する恐怖が強く、現状そんな気になれない。
そんな彼に失望し、恋人も去ってしまった。
彼の眼前のテレビ画面には、昼の新宿の高層ビルの上空に浮かぶ『宇宙戦艦』が映しだされている。
それは巨大なちくわのような形をしていた。アナウンサーの解説を信じるなら、長さは1キロ。
色は銀白色で、その艦体から無数の砲塔が四方八方に突きだしている。
そんな宇宙艦隊が東京の上空だけで、50隻ぐらい浮遊していた。
やがて女性のアナウンサーがまるでホラー映画のように、突然叫び声をあげる。
絶叫混じりの発言によれば、核保有で知られる東アジアの独裁国家が隣国の首都の上空に浮かぶ艦隊に対し、核ミサイルを発射したのだ。
隣国の上空に撃ったのは、自国の上空で核爆発が生じると、自らが被害を蒙るからだろう。
放たれたミサイルは艦隊に接近し、殲滅するかのように見えたが、その直前でちくわ型宇宙艦隊の先端の巨大な穴から一斉に放たれた閃光が、ミサイルの全身を包みこむ。
そのためミサイルの周囲に半透明のバリヤーのような物が張られ、どでかいシャボン玉のような物の中にミサイルが包まれる形になった。
やがてミサイルは爆発したが、爆発はシャボンの中にとどまった。
後でわかったが、爆発時に飛散した熱も光も放射能も、宇宙人の進歩したテクノロジーによって、無毒な物質に瞬時に変換されたのだ。
この映像は全世界のテレビやパソコン、スマホの画面に流された。
ガシャンテ将軍は、地球時間で何年も前から、眼前の惑星に潜入させていた多数のドローンのカメラが撮影した画像に映った驚愕におののく地球人達の表情を観ながら悦に入った。
これからチャマンカ帝国による地球人奴隷化計画を、始めるのだ。
地球人が抵抗できないようにするため、最初のステップを発動させる必要がある。
それからいくらもたたないうちに人類は、さらなる脅威を見せつけられた。
突如地球のあらゆる場所から武器や兵器が消失してしまったのだ。
世界中から一瞬にして戦車やミサイル、拳銃やライフル、機関銃、バズーカ、大砲、戦闘機、軍艦が消失する。
後には丸腰になった兵士達が残された。
軍用機のパイロットや海軍の軍人は戦闘機や軍艦が消失すると、近くの陸地に瞬間移動させられる。
またもや世界中の液晶画面にガシャンテの、嬉々とした声が響き渡った。
「地球人諸君、君達の抵抗を無力化するため武装解除した。何、心配は不要だ。諸君らの歴史でやってきたような丸腰の捕虜を虐殺・虐待するような野蛮な行為を、我々はせん。おとなしく我が方に従えば、命は取らん。我が軍は、銀河を圧制と野蛮から解き放つ解放軍なのだ。君達も、チャマンカ帝国を統べる永遠帝に忠誠を誓いたまえ」
永遠帝とは、チャマンカ帝国の皇帝だ。
彼は高度なテクノロジーによって、チャマンカで唯一、不老不死を手に入れていた。
0
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる